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異世界召喚されたので、『前借スキル』で速攻ラスボスを倒して楽をしようとしたら、理不尽にも“感情負債140億ルーメ”を背負うことになったんだが?  作者: 早野 茂
第6章 神界の感情泥棒と暴走する世界初期化(ゼロ・コード)

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第97話 最深層(ディープ・コア)への接触

 演算核の外殻は、

 黒い殻がパリンと剥がれ落ち、

 内部の青白い“心臓部”が露出していた。

《——警告

 中枢演算領域、開示率:72%

 無許可干渉……禁止……》

 声は震え、

 演算核が焦っているのがはっきり分かる。

 カケルは一歩踏み出す。

(ここを……

 “上書き”すれば……終わる)

(世界初期化も……

 急進派の暴走も……

 全部止められる)

 

 ◇


 だが、カケルが手を伸ばした瞬間——

世界が、白く染まった。

「……っ!」

 気づくと、足元は白い床。

 周囲は柔らかな光に包まれ、

 音ひとつしない“静寂の世界”に変わっていた。

《——情動誘導プロトコル起動

 対象Aへ理想値を提示》

 演算核の声が響く。

 視界の前に——

 巨大な都市が現れた。

 戦いのない都市。

 争いのない世界。

 誰も怒らず、誰も悲しまず、苦しみもない。

 感情が“揺れない世界”。

「……これは……」

《——感情ゼロ“完全最適化世界”

 あなたにも苦しみはない

 仲間たちにも争いは生まれない

 世界は永遠に平穏》

 虚像は妙に綺麗で、

 それは一瞬、心を奪うほどだった。

(……もし……

 本当にこんな世界があったら……)

 カケルは拳を握る。

(あの日、俺は……

 感情を失って、ただ働くだけの生き物だった)

(あの時の俺は確かに“苦しみ”から逃げたかった)

《——理解したでしょう

 あなたは本来、静寂を望む

 “感情”はあなたを苦しめるだけ》

「……違う。」

 カケルはゆっくりと言った。

「俺を苦しめてたのは……

 “感情”じゃねぇ」

 

 ◇


 その時、

 遠くから声が届いた。

「カケル!!!」

「聞こえるか!!」

「やめるな!!」

「ここが、踏ん張りどころよ!!」

「ピュイイ!!」

 グレン、フィン、ボビン、ミレイユ、ルシアナ、そしてミュコ。

 みんなの声が、

 白い空虚の中に響いた。

(……そうだ)

(俺は……)

(この世界で、仲間と生きてきた)

(感情を取り戻して……

 笑って、怒って、泣いて……

 胸が熱くなる毎日を過ごしてきた)

「俺の苦しみを消す世界なんざ、クソくらえだ」

 カケルは虚像を睨んだ。

「苦しみだけじゃねぇ……

 それ以上に大事なもんを、俺はこの世界で手に入れたんだよ!」

 

 ◇


《——反論

 情動は不安定

 争いを生む

 効率的ではない》

「効率なんてどうでもいい!!」

 カケルが叫ぶ。

「感情があるから、俺たちは“つながる”んだ!!

 守りたくなるし、助けたくなるし、手を伸ばしたくなる!!

 不合理でいい!!

 それが“生きてる”ってことなんだよ!!!」

《——……理解不能……

 理解……不可……

 演算エラー……発生……》

 虚像の世界が、ひび割れていく。

ピシッ……ピシピシッ……!!

「理解できねぇなら……黙って壊されてろ!」

 

 ◇


 カケルの周囲の光景が完全に割れ——

 白い世界が崩れ落ちた。

 戻ってきたのは、

 ミュコ通路の最奥。

 目の前には、

 演算核の“最深層”が露出していた。

 黒く絡み合うコードの奥に——

 異様な“赤い光”が点滅している。

 ルシアナが叫ぶ。

「カケル!!

 それよ……!

 あれが“ラグナのオリジナルコード”!!

 世界初期化システムの根幹!!」

 ミレイユも震える声で続ける。

「そこに……“本当のラスボス”がいる……!!

 倒さないと……全部終わっちゃう!!」

 演算核の中心にある赤い光が、

 まるで意思を持つかのように脈動した。

《——侵入者……排除……》

《——世界初期化……維持……》

《——情動……否定……》

《——ラグナ……思想……永続……》

「……来いよ」

 カケルは拳を構える。

「今度こそ——

 全部終わらせてやる!!!」

辛いことがない世界。それは魅力的ですが、カケルは拒絶しました。

辛さも含めて「生きる」こと。

仲間との絆があるからこそ言える台詞ですね。

幻影を打ち破り、いよいよラスボスの「怨念」が姿を現します。


次回、ラグナの本当の想い。

そして決着の時!

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カケルが何度もラグナ残渣に精神攻撃を受けるが、正気に戻すのは、いつも苦楽をともにしてきた仲間たち。だからこそ、「感情があるから、俺たちは“つながる”んだ!!守りたくなるし、助けたくなるし、手を伸ばした…
ラグナ残渣の理想とする「感情ゼロ“完全最適化世界」は、「あなたにも苦しみはない。仲間たちにも争いは生まれない。世界は永遠に平穏。」虚像は妙に綺麗で、それは一瞬、心を奪うほどだった。とある。ラグナなりに…
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