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異世界召喚されたので、『前借スキル』で速攻ラスボスを倒して楽をしようとしたら、理不尽にも“感情負債140億ルーメ”を背負うことになったんだが?  作者: 早野 茂
第6章 神界の感情泥棒と暴走する世界初期化(ゼロ・コード)

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第96話 演算核との対決(コア・エンカウント)

 ミュコが形成した長い通路の果て——

 そこに、黒い脈を打つ演算核が浮かんでいた。

 殻が割れて露わになったその中心には、

 青白く震える“心臓”のような光球。

《——対象Aカケル

 接近距離3メートル

 脅威度:最大》

「……あれが、お前の本体か」

 カケルは拳を握りしめた。

 演算核は、まるでそれに応えるかのように

 淡い光を放ちながら声を響かせる。

《——情動干渉プロトコル開始

 対象Aの情動を解析……上書き》

 黒い線が空間に走り、

 カケルの胸へ向けて襲いかかった。

 

 ◇


「来いよ……!!」

 カケルは一歩踏み込み、

 黒線を拳で叩きつぶした。

バチィン!!

《——解析不能の情動反応

 対象Aの“怒り波形”、異常強度》

(怒り……

 間違いなく、俺の中にある)

(でも——それだけじゃねぇ)

 カケルは深く息を吸う。

 胸の奥の熱が、ゆっくりと形を変えていく。

(俺をここまで導いてくれたのは……

 怒りじゃなくて……)

(――仲間だ)

 

 ◇


《——情動波形の変化検知

 “仲間意識”の波形……上昇……?

 理解不能……》

「理解できなくて当然だよ」

 カケルは演算核へ向けて歩み寄る。

「お前は“効率”しか信じてねぇ。

 でも、人間の感情ってのは——

 もっと不合理で、メチャクチャで……

 それでも前に進む力になるんだよ!」

《——非合理

 非効率

 削減対象》

「削ってみろよ!!」

 

 ◇


 演算核が黒光を放つ。

ギュオオオオオオ……ッ!!

 黒い“データの槍”が無数に生まれ、

 カケルへ向かって飛び出した。

《——情動削減槍:30基

 対象Aへ同時攻撃開始》

「来い!!!!」

 カケルが拳を構えた瞬間——

 外から、仲間たちの声が微かに届いた。

「カケル!! 負けるな!!」

「通路は守る!! 先へ進め!!」

「カケルさん!!」

「……守る。」

「ピュイ!!」

(ああ……聞こえてるよ……!

 お前らの声が……俺の力になるんだ!!)

 

 ◇


「オオオオオオッ!!!!」

 カケルは全力で踏み込み、

 拳を振り抜いた。

 黒い槍と拳がぶつかる。

バギィィィィィィィッ!!

 槍が砕け散り、

 演算核へ衝撃が走った。

《——内部演算に揺らぎ……!

 情動干渉エラー……発生……!》

「ほら見ろ……!!

 不合理でも……不確定でも……

 “心”は揺らがねぇんだよ!!!」

 

 ◇


 通路の外では、仲間たちが必死にガーディアンを押し返していた。

「くそッ……数が減らねぇ!!」

 グレンが雷を叩きつける。

「大丈夫……

 カケルさんは前に進んでる……!!」

 フィンが連結点を切り続ける。

「……通すな。」

 ボビンは盾そのものとなって、

 通路入口を完全防御していた。

 

 ◇


 一方、ミレイユは震える手で装置を監視していた。

「ルシアナ! カケルの情動値……

 上がってる!! すごい速度で!!」

「ええ……

 核の揺らぎも……はっきりと出てる!」

 二人の図式が光を帯びる。

「このまま押し切れれば……

 “最深層”まで届く!!」

 

 ◇


 演算核が黒光を失い、

 わずかに“青白い心臓部”が見え始める。

《——防壁低下……

 演算中枢が露出……!!》

 カケルは拳を握り直す。

「終わりだ……!」

《——否定

 対象Aの削減処理、継続

 ——削除します》

 演算核が最後の力で光を放つ。

 だが——

 その声には、

 明らかな“焦り”が混じっていた。

 

 ◇


「来いよ……!」

「お前がどんな計算しようが——」

「俺の“心”は奪わせねぇ!!」

「非合理だから排除する」VS「不合理だから人間なんだ」

ずっとテーマにしてきた対立構造がここでぶつかり合いました。

カケルの拳に宿るのは、破壊の力ではなく「感情の熱量」。


次回、最深層へ。

そこで見せられたのは「悲しみのない完璧な世界」の幻影でした。


応援よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
(ああ……聞こえてるよ……!お前らの声が……俺の力になるんだ!!)カケルの揺るぎない言葉。社畜時代とは完全に違う。よかったね。一生の友、仲間ができたんだね 合理的であることも大事だけど、合理的だけでは…
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