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異世界召喚されたので、『前借スキル』で速攻ラスボスを倒して楽をしようとしたら、理不尽にも“感情負債140億ルーメ”を背負うことになったんだが?  作者: 早野 茂
第6章 神界の感情泥棒と暴走する世界初期化(ゼロ・コード)

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第94話 ミュコ、最大覚醒(マキシマムフォーム)

 演算核が黒光を放ち、

 基幹層全体が崩壊へ向けて大きく軋み始めた。

《——初期化プロトコル:加速

 削減出力:最大値へ》

「やばいわ!!」

 ルシアナの叫びが響く。

「このままだと、カケルが……!」

 ミレイユも青ざめた表情で叫ぶ。

「演算核を“完全露出”させた今なら……上書きできる!

 でも、敵が多すぎる!!」

 ガーディアン達は、

 黒い鎧のような身体でカケルへ向けて殺到し始める。

「カケルさん!! 危ない!!」

「俺が止める! そこを通すもんか!!」

「……ぬるい。」

 グレン、フィン、ボビンがそれぞれ迎撃に出たが——

 数が多すぎる。

(このままじゃ……

 誰かが抜けて……俺のところに来る……!)

 

 ◇


 その時だった。

「ピュ…………!!!」

 ミュコが震えた。

「ミュコ……?」

「どうした、相棒……!?」

 次の瞬間——

ミュコが“破裂寸前”まで膨れ上がる。

 その体積は、仲間たちの数倍以上。

 ぴょんぴょん跳ねていた姿は想像できないほど巨大な“ビッグスライム”へ。

「ピュオオオオオオオオ!!!!」

 叫ぶような声が空間を震わせた。

 

 ◇


《——警告

 対象Eミュコ

 サイズ異常拡大……

 解析不能……!》

 ラグナ残滓の声が焦りを帯びる。

「ミュコ……お前、まさか……」

 カケルが呟く。

「みんなを守るつもりなの……?」

 ミュコは大きく頷いた。

「ピュイッ!!」

 

 ◇


 そして——

 ミュコの身体が 壁のように伸び始めた。

 伸びる。

 伸びる。

 伸び続ける。

 まるで巨大なゼリーが空間そのものに沿って形を変え、

 カケルの前へ一本の“長い通路”を形成していく。

ズズズズズズッ……!!

 通路の両側はミュコの分厚いスライム壁。

 内部は安全地帯。

 外部のガーディアン達は——

ドン!!!!!

 壁に跳ね返された。

《——侵入不可

 壁状スライム……弾性強度:極大

 突破……不可能》

「すげぇ……」

 グレンが絶句する。

「これが……ミュコの……真の姿……!」

 ミレイユが震え声で呟く。

 ボビンが壁を叩く。

「……硬い。」

 フィンが目を丸くする。

「どんな攻撃でも……カケルさんには届かない……!」

 


 ガーディアンたちは焦り、

 一斉にミュコの壁を攻撃し始めるが……

ドォン!! ドォン!!

 パシュッ……!!

 すべて吸収され、跳ね返されるだけ。

《——破壊不可

 突破不可

 内部侵入……失敗》

 ラグナ残滓の演算核が明らかな“焦り”を見せる。

《——対象E……妨害因子

 排除優先度、第二位へ更新》

「第二位で十分だよォ!!」

 グレンが笑い、

 ガーディアン達を雷と剣でまとめて葬っていく。

「通路は我らが守る!!」

 フィンも高速で影の群れを切り裂く。

「……ぬるい。」

 ボビンはただ立ち塞がり、

 壁に近づいた者を倍返しで吹き飛ばした。

 仲間全員が——

 “カケルを先へ進ませるための盾”となっていた。

 

 ◇


「カケル!」

 ルシアナが通路の入口へ駆け寄る。

「演算核まで……一直線!!

 もう敵は届かない!!」

「情動波形リンク……最終調整完了!!」

 ミレイユの手が震えながらも図式を完成させる。

「あなたの“感情”を……

 そのまま核に叩き込めばいい!」

「行って……カケル!!」

 

 ◇


 カケルは深く息を吸った。

(怒り……

 悲しみ……

 悔しさ……

 胸が熱くなるほどの、誰かを守りたい気持ち……)

(やっと……感じられるようになったんだ……)

「ミュコ……

 通してくれてありがとう。」

 ミュコは誇らしげに揺れた。

「ピュイッ!!!」

「みんな……ありがとう。」

 カケルは通路の奥へ向き直る。

 そこにあるのは——

 黒く脈動する演算核。

「……終わらせる。」

 カケルはゆっくりと歩き出した。

 仲間たちが後ろで叫ぶ。

「行けぇぇぇ!!!」

「カケルーーッ!!」

「気をつけて……!」

「ピュイイ!!」

 

 ◇


 ラグナ残滓の声が震える。

《——対象A

 警戒……危険度:限界

 削減出力……最大値へ更新

 ——排除します》

 演算核が光を放ち、

 黒い波動が通路の先で渦巻く。

(来いよ……

 お前がどんな正義を語ろうが……

 俺は誰の感情も消させねぇ!!)

ミュコ、まさかの壁化(笑)。

スライムの特性を最大限に生かした「絶対防御の通路」が完成しました。

これでカケルは敵を無視して直進できます。

ありがとうミュコ、後で美味しいものを食べてね。


次回、通路の先で待つ最後の試練。

カケルの過去との決別です。

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― 新着の感想 ―
仲間全員が——“カケルを先へ進ませるための盾”となっていた。まさか、ミュコが巨大化して、通路確保するとは…想定外!であったが、もともと大きかったなぁ〜と思い出した。可愛かったから、すっかり忘れてた。 …
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