第93話 最終防衛(ガーディアン)プロトコル
ボビンとグレンの“倍返し雷撃”が直撃し、
ラグナ残滓の仮面は大きく砕け落ちた。
空間に黒煙が立ちこめ、
基幹層全体が揺れる。
《——損傷率:42%
演算核外殻、破損……修復不能》
ラグナ残滓の声に混じるノイズは、
限界の証。
グレンが息を吐きながら、勝利の笑みを浮かべる。
「よし! 顔面にヒビ入れば十分だろ!」
ボビンは、盾を肩に乗せながら静かに言った。
「……まだだ。
あいつ、立ってる。」
◇
崩れた黒煙の奥で——
ラグナ残滓の演算核が露わになる。
青白い球体が脈動し、
周囲の空間を歪ませていた。
《——対象A
危険度:最大
排除優先度:第一位へ更新》
「……やっぱり俺か。」
カケルが一歩前に出る。
「演算核さえ上書きすりゃ、この暴走止まんだよな?」
後方で、ルシアナが新たな図式を描く。
「ええ。
いま外殻が破れたから、直接干渉できる……!」
「ただし……演算核は“世界初期化の中心”でもある。
触れた瞬間に、カケルの情動が消されるリスクがあるわ!」
ミレイユの声が震える。
「でも……カケル以外では干渉できない……!」
「あなたの“感情の波形”だけが鍵なの!」
(俺の……感情が……鍵)
カケルは胸に手を当て、深く息を吸った。
(怒りも、悲しみも……
誰かを守りたいって気持ちも……
全部まとめて、俺の力なんだな)
「——行く。」
◇
その時、ラグナ残滓が広がった影から声を放つ。
《——最終防衛プロトコル起動
“ガーディアン群体”展開開始》
「ガーディアン……?」
ルシアナが青ざめた。
「まずいわ!
演算核を守るための……
神界システム最大の防衛プログラム!」
「つまり……
“ボスの側近が本気で出てくる”ってことね!」
ミレイユが解説すると同時に——
空間が裂け、
黒い人影が無限とも言えるほど同時に現れた。
先ほどの端末とは違い、
明確な“意志を持たない鎧”のような存在。
——ガーディアン。
《——侵入者を排除します》
「……おおっと、マジかよ……!」
グレンが構え直す。
「さっきの何倍いるんだよ!」
「ボビン!!」
「……心得た。」
黒いガーディアンが一斉に突撃してくる。
◇
バインッ!!
ボビンの盾に全てが叩きつけられる。
盾が淡く光り、反射の準備が整う。
「倍返し——」
その瞬間、
「ボビンッ!!
こっちへ流せ!!」
グレンが横から叫ぶ。
ボビンは盾の角度をわずかに傾けた。
「……任せろ。」
ガガガガガガガッ!!!!
盾に蓄積された衝撃がグレンの前へ誘導される。
「いくぞ……
《オルトロス・ブレイカー・ZEROモード》!!」
ズガアアアアアアアアッ!!
二重の雷撃が、
ガーディアン群をまとめて貫いた。
《——ガーディアン群、42体……消失》
空間に大型の衝撃波が広がる。
「ぬるい。」
ボビンが鋼の声で呟き、
盾を構え直した。
◇
同時に、フィンも動いていた。
「カケルさんの前は……通さない!」
地面を蹴った瞬間、
その姿が完全に消える。
シャッ、シャッ、シャッ!
一つ、また一つと、
ガーディアンの“連結点”が切り裂かれる。
《——対象D
活動速度……測定不能》
「フィン……すげぇ……!」
カケルが息を呑む。
◇
そして——
「ピュイッ!!」
ミュコが跳ねた。
ぴょん。
ぴょん。
跳ねるたびに光の残像が無数に広がり、
ガーディアンの座標認識を狂乱させた。
《——小型干渉……追尾不能……!》
(お前……本当に……なんなんだ……!)
◇
後方では——
ルシアナとミレイユの連携がついに完成しようとしていた。
「カケル!
“情動波形リンク”の準備できた!!」
「演算核の波長に干渉できるのは……
カケルの情動だけ!!」
ルシアナが光の図式を広げる。
「この道を通って……
あなたの“感情”を核に叩き込むの!!」
「分かった……!」
カケルが前へ走り出した。
◇
ラグナ残滓の声が揺らぐ。
《——排除対象A
優先度:絶対
防衛出力……最大に設定》
演算核が黒く光り、
周囲の空間に亀裂が走る。
「来る!!
本気で俺を殺しに来る!!」
カケルが叫んだ。
「だけど——
俺にも……
守ってくれる仲間がいる!!」
数が多すぎるガーディアン。いわゆる「雑魚敵の物量作戦」ですが、これが一番厄介です。
カケルに核を触らせまいとする必死の抵抗。
誰もが限界かと思ったその時……。
次回、あのマスコットがついに覚醒!?
ミュコ、大きくなります!




