第92話 倍撃(ダブルインパクト)・オルトロス連撃
ラグナ残滓の演算核が黒々と脈動し、
神界の空間がさらに軋みをあげた。
《——削減対象A
追尾プロトコル・最優先に設定》
黒の奔流がカケルを追い、
ラグナ残滓本体も動き始める。
その瞬間——
「グレン!! こっちだ!!」
ボビンの低い声が空間を貫いた。
グレンは反射的に振り返る。
「ボビン!? 何を……」
ボビンは巨大盾を地面に叩きつけた。
盾面全体が紅く脈動を始める。
「受けた攻撃……全部“蓄積”してる!!
今の盾は、限界ギリギリの“倍返しバースト”状態だ!!」
(……なるほど……
だったら——)
グレンの目が鋭く光る。
「分かったよ、ボビン!!
死ぬなよッ!!」
「……お前もな。」
二人の視線が交差した。
◇
《——情動阻害弾、射出開始》
ラグナ残滓の仮面が、
黒い“杭”のような攻撃を十数本、同時に放つ。
それらはボビンとグレンの中心へ向かって一直線。
「来るぞ!!」
「心得た。」
影の杭が先にボビンの盾へ到達した。
ドゴゴゴゴッ!!!!
凄まじい衝撃が盾へ叩きつけられる。
ボビンの足元の地面が砕け、空間そのものに亀裂が走る。
だが——
ボビンは動かない。
肩一つすら揺るがない。
◇
《——解析……異常値……!
反射蓄積……危険閾値超過……!》
盾の内部で蓄積された衝撃が、赤黒い光となって脈動し始める。
ボビンの声が低く、震える。
「グレン……!!
“今”だ!!!」
「応ッ!!」
グレンが駆ける。
雷が走る。
聖剣が解放される。
「——《オルトロス・ブレイカー・MAX》!!!」
ズガアアアアアアアッッッ!!!!
二重の雷撃(双頭)がボビンの盾へ吸い込まれるように走り——
盾全体が白雷に飲み込まれた。
ボビンが吼える。
「いくぞォォォォ!!!!
《ウオオオ・コンビネーション倍返し攻撃》だァァァァァ!!!!!」
盾の光が暴発する。
◇
《——反射エネルギー確認
数値……エラー
値……表示不能》
ラグナ残滓の演算核が震える。
「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」
グレンの雷撃とボビンの反射バーストが合わさり、
巨大な白雷の奔流として放たれた。
それは巨大な槍のように空間を貫き——
ラグナ残滓本体へ直撃した。
ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
空間が反転するほどの衝撃。
黒の奔流が霧散し、仮面の端が大きく欠ける。
《——本体損傷率:42%
演算核外殻……破損確認》
「よっしゃああああッ!!!!」
グレンが歓声を上げる。
ボビンは息を整えながら、
ひと言。
「……ぬるい。」
その“ぬるい”一言が、
仲間の士気を再び一気に跳ね上げた。
◇
ラグナ残滓は混乱していた。
《——想定外の連携……
想定外の情動値……
想定外の反射……
……計算不能……!》
その“誤差”こそ——
仲間たちの強さだった。
◇
カケルは拳を握る。
「ありがとう……グレン……ボビン……!
お前らの攻撃のおかげで、核が……“見える”!!」
ルシアナが叫ぶ。
「今の一撃で、演算核の外殻が破れたわ!!
次……カケルの情動波形が届けば……!」
ミレイユが続ける。
「上書きできる!!
本当に可能になった!!」
ラグナ残滓の仮面が黒煙を上げる。
《——対象Aの排除を最優先に再設定……
演算核を守護プロトコルへ切り替え……!》
「来るぞ……!」
カケルが前へ出る。
「今度は……“あいつ”が本気で俺を殺しに来る!!」
ボビン&グレンの合体技、炸裂!
盾に溜めてから撃つ、ロマン砲ですね。
ラグナ残滓の「顔面」を砕く一撃、爽快でした。
次回、追い詰められた敵が最終防衛システムを起動。
数が多すぎる敵をどう捌くのか……?




