第88話 援軍、天空より
《——削減進行度:78%》
ラグナ残滓の冷たい声が空間を震わせる。
カケルは肩を落としながらも、まだ踏ん張っていた。
「……っ、まだ……やれる……!」
「カケル!! お願い、無理しないで!!」
《——情動核へ干渉強化》
黒い圧が押し寄せ、カケルの膝が落ちかける。
その瞬間——
◇
一方、地上──前借亭の奥の部屋。
ミレイユは卓上の魔導端末を、指から煙が出るほどの速度で操作していた。
「座標特定……神界基幹層! パスはカケルの『感情帳簿』がつないでる!」
「行けるのか、ミレイユ!?」
グレンが叫ぶ。ミレイユは愛用のゴーグルをバチリと下げ、不敵に笑った。
「本来、人間が神界に行くなんて不可能よ。
でも今、世界中の感情がカケルに向かって逆流してる……」
彼女は端末のエンターキーを拳で殴りつけた。
「この“感情の逆流”に乗って、無理やりゲートをこじ開ける!!
——強制転移、接続ッ!!」
◇
基幹層の空間が爆ぜた。
まぶしい光が降り注ぎ、ミレイユがこじ開けた巨大な裂け目が生じる。
その中から—— 五つの影が落ちてきた。「カケルーーッ!!」
ミレイユの声が空間を震わせた。
◇
「……お前ら……!?」
カケルが顔を上げる。
そこに立っていたのは、見慣れた仲間たち。
グレンが豪快に笑う。
「当たり前だろ!
放っとけるかよ、相棒を!」
フィンは震えながらも前へ踏み出す。
「カケルさん……!
僕たちも、ここで戦います!!」
ミュコが飛びつきながら鳴いた。
「ピュイ!!」
ミレイユは涙を拭きもせず駆け寄る。
「カケル!! 本当に大丈夫なの!?
……よかった……!」
そして——
ボビンが前に出た。
大盾を正面に構え、
言葉は短く、しかし力強く。
「……“守りに来た”。」
カケルが目を見開く。
ボビンはさらに一歩前へ。
「ここから先は、
“おれが守る”。」
盾を地面に突き立て、
黒い圧を真正面から受け止めた。
闇の波が弾ける。
「ぬるい。」
その一言で、
空気が震えた。
(……ボビン……
お前……そんな強かったのかよ……!)
カケルの胸に温かいものが戻る。
◇
一方、ラグナ残滓は反応する。
《——対象Aの情動波形、上昇》
《——仲間による“保護感情”の活性化……非合理》
《——削減効率:低下》
分析の声に混じるノイズは、
仲間の存在が生み出した“誤差”。
◇
「……よし」
カケルはゆっくり立ち上がり、拳を握る。
「行こうぜ……みんな」
ラグナ残滓の仮面が揺れる。
《——完全形態移行率:94%
削減処理を継続》
影が広がり、空間が唸りをあげた。
お待たせしました!
やっぱりこのメンバーが揃わないと始まりませんね。
ボビンの「守りに来た」、グレンの「相棒」、みんな最高です。
ここから反撃開始です!
次回、それぞれの強さを活かした総力戦!
システム外の動きで敵を翻弄します!




