第69話 夜明け前、家路へ
妬が霧散し、影の世界は音もなく揺らぎ始めた。
グレン
「……消えていくな」
ボビン
「もうここに用はねぇな!」
フィン
「ルシアナさんの“精神の揺らぎ”……軽くなっていきます……!」
カケル
「じゃあ、ここでやるべきことは全部終わったってことか
急ぐぞ。ルシアナが目を覚ます頃だ」
カケルが言い、四人は泉の裂け目へ駆けた。
光が切り替わり、
足元の地面がふっと森の土に変わる。
「……戻った!」
冷たい夜風が肌に触れる。
討伐隊はそのままリベリスへと駆け出した。
前借亭の灯りはまだ点いていた。
ミレイユが扉を開け、心配そうな顔をする。
「カケルさん……! 皆さん……!」
「ただいま。ルシアナは?」
「……はい。さっきから安定してきました。
精神波の乱れが嘘のように静かで……
討伐隊の皆さんが妬を倒した合図だと、すぐに分かりました!」
グレン「よかった……」
ボビン「ひと安心ってやつだな」
フィン「ルシアナさん……」
ルシアナはベッドで眠っていた。
表情は穏やかで、呼吸も落ち着いている。
カケルは、そっと手のひらをルシアナの額に当てる。
淡い光が、カケルの手からルシアナに移って行く。
「……よかった」
ミレイユ
「妬が切り離していたのは“独占感情を増幅された精神の欠片”です。
消滅したことで、精神が正しく戻り始めています」
その時――
「……っ……ん……」
ルシアナのまつげがゆっくりと震えた。
「ルシアナ!」
「……カケル……?」
焦点の合わない瞳が、徐々に形を取り戻す。
次の瞬間、涙が滲んだ。
「……こわかった……
泣いてる感情だけが、どこかに引きずられて……
でも……あなたが……呼んでくれた気がした……」
カケルはベッドの横に膝をつき、その手をそっと握る。
「呼んださ。
どれだけ離されても、迎えに行くに決まってるだろ」
ルシアナ
「……バカ……」
《感情発生 感謝20,000ルーメ》
ご覧いただきありがとうございます!
四人の連携、完璧でしたね。
倍返しするボビン、光を放つグレン、そしてトドメのフィン。
《妬》も、相手が悪すぎました。
サークルクラッシャー扱いされた上にボコボコにされる神様……少し不憫かもしれません(笑)。
次回、ルシアナの体調は?
そして今回の「負債」は……? お楽しみに!




