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異世界召喚されたので、『前借スキル』で速攻ラスボスを倒して楽をしようとしたら、理不尽にも“感情負債140億ルーメ”を背負うことになったんだが?  作者: 早野 茂
第3章 南方の《狂》気と32個の風鈴が奏でる浄化

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第51話 狂、完全敗北 ― 封印引きこもり宣言

 封印の鎖に首を締め上げられ、

 半分白目をむいて泡を吹いている狂を前に、

 カケルは腕を組んで言った。

「せっかく今、いい感じに固定されてるしさ。

 この状態で“狂”、やっちまおうぜ!」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」

 この狂の叫びは、今日一番の震えだった。


『ま、待て!待ってくれ人間!!

 わ、わたしは封印に戻る!

 戻るから!!

 一度だけ……封印を緩めてくれ!!』

 半泣きで言いながら、

 その心の中では――

(フフ……封印が緩んだ瞬間、飛び出してやる……!

 この人間どもに地獄を味わわせてやる……!)

 と、ドス黒い企みが渦巻いていた。

「へぇ~封印に戻るのか。良いね、それ」

 カケルがあっさり頷く。

「え!?いいの!?

まぁさすがにこの状態で狂をなぶり殺したら

目覚め悪いし。

再封印も目的だしな」とドラン。

「だけど、こういう時のカケルって信用ならないんだよな……」とグレン。

 仲間たちは少しホッとしつつも、不安が消えない。


「グレン、ちょっと剣構えて」

「お?こうか?」

 グレンがオルトロス・ブレイカーを鞘から抜き出し額の高さに掲げ、

 起動する。

バチチチチチチ……!!

ゴォォォォォォッ!!

 凄まじい光がほとばしる。

『あああああああッ!!?

 あ、熱い熱い熱い!!

 な、何をする気だ貴様ァ!!』

 狂は鎖ごと身を震わせた。

「だって封印緩めた瞬間に飛び出す気満々だろ?

 だから――こうする。」

 カケルはグレンの腕を掴むと、

 光の奔流をまとう聖剣の刃を、

 狂の額に押しつけた。

ジューーーーーーーーーッ!!!!

『ぎゃああああああああああ!!!!!

 熱いィィィィィィィィ!!?

 や、やめろおおおおおおお!!』

「もし出てこようとしたらさ、

 今度は縦に真っ二つな?

 ユー、アンダスタン?」

『アンダスタンド!!アンダスタンド!!

 めっちゃアンダスタンドしたから!!!

 封印戻る!!戻るから!!

 早く緩めてええええええ!!』


「じゃ、いくぞー。

 封印石……お手玉〜」

ポンッ……

 封印鎖のテンションがほんのわずか緩む。

その瞬間。

ズボォォォォォォッ!!!

 狂はものすごい勢いで

 封印の奥へ逃亡した。

「めっちゃ逃げるじゃん……」

 グレンが呟いた。


ピコーン!

 突然、空中にウインドウが開く。

《感情発生:ー6億ルーメ》

「え?」

「は?」

「ど、どういうこと?」

 ルシアナが顔面蒼白になる。

「このアホちんがぁぁぁぁぁぁ!!!!

 テメェが直接解決しちゃダメだって何で忘れてんだよ!!!!

 討伐の三分の一弱のカウントになるんだぞ!?

 憤の時は負債が20億減ったのに、今6億増えたんだよ!!」

「ゴ、ゴメン……つい流れで……」

「流れで封印するなああああああ!!」

 周りは何のことだか分からず、ポカン。

「じゃ、すぐ狂を出して……

 みんなで“討伐”すればいいんだよね!?

 はいはい、分かりましたよ!」

 カケルは封印石を構えた。

「狂、出てこい!」


 封印石をお手玉。

パカン。

出てきたのは――

一枚の紙切れ。

ルシアナが震える声で読み上げる。


【お願い】

もう放っておいてください。

封印からは二度と出ません。

声もかけないでください。

  ――狂


静寂。

次の瞬間。

ルシアナ「四魄柱を封印にひきこもらせてどうするんじゃボケェェェェ!!!」

カケル「いや、俺のせいじゃなくね!?

 向こうが勝手にひきこもっただけでしょ!?」



スルヴァ(←影から観察中)

(……こいつら……四魄柱を……

 精神的に破壊して封印に“自主帰宅”させやがった……

 こんなの想定外……!!)

 スルヴァは声も出せず、震え続けた。

《感情発生:恐怖・絶望・驚愕150,000ルーメ》

お読みいただきありがとうございます!

聖剣によるお灸、そして「封印に戻る」宣言。 四魄柱を討伐するのではなく、「自主的に引きこもらせる」という斜め上の解決法でした 。

その代償として、カケルの借金が増えましたが……(笑)。

スルヴァの精神状態が心配です。

次回、狂編エピローグへ。

面白かったらブクマ・評価など頂けると嬉しいです!


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― 新着の感想 ―
「だけど、こういう時のカケルって信用ならないんだよな……」とグレン。おっしゃる通り。それなのに「グレン、ちょっと剣構えて」「お?こうか?」と素直に応じてしまうグレン。まさか、あんなふうに使うとは…しか…
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