38 風呂キャンはダメ絶対
「ニイチャン、こっちこっち」
傭兵ギルドを出た僕はアイリに手を引かれ街を進んでいた。
因みに副ギルド長はきていない、この街では顔が知られているので行くのはマズイらしい。しかし、手を引かれて小走りは腰が痛くなりそうだ…
「ねぇヒフミさん、タクシー使っちゃダメなの?」
「この子たちはスラムに住んでいるそうなのでタクシーで行ったら物乞いにたかられますよ?今回はひっそりとと行かなければ行けない可能性があるので目立つ行為は控えた方がよろしいと思います。」
「思ってたんやけど、こんなに発展してのにスラムなんてあるんやね、なんか不思議で仕方ないんやけど」
「そうですね、行き道がてらに首都星コーネリアについてご説明致します。
まずは、貴族と一般の民は学習機会もあり魔法と科学について知識を存分に得られます。しかし、犯罪を犯した者、そしてその子孫は例外です。犯罪者の孫世代はこの近隣に住むことが許されるのでアイリさんの様な方もおられるのですが一度その烙印を押されている家系は国からの直接的な支援を受けようと思ったら自力で駆け上らなくては受けることはできません。そしてその努力が出来ない物は自ずと集まりスラム化しているのです。」
むーこの国のルールとは言え…
「んーそっか…」
難しい顔をしていたんだろう、ヒフミさんは続けて話してくれた。
「そのような顔をしないでください。想像しているような貧民街=スラムではありませんから地球の中世のような暮らしをさせている訳ではありませんよ。むしろお金を払えば端末を持てます。端末があればタクシーだって使えます。アレは現金が使えないというだけですから」
「確かにアイリの服とかはしっかりした物着てるけどなんか小汚いのは間違いないじゃん」
「ちょっと黙って聞いてたら小汚いとか酷くない?コレでも一生懸命働いてるから汚れてるだけなんだ!」
「ご、ごめんごめん」
思わず本音が漏れてしまったのを聞かれてしまってアイリさんに怒られてしまった。でも小汚いのは間違いないんだよなぁ…
「お風呂とかちゃんと入ってる?髪とか洗ってる?」
「べっ別に2、3日入らなくたって死にはしないんだ!別にいーだろ」
くっコイツ、風呂キャン宣言しやがった…嫌いなんだ!絶対風呂に浸けてやるからな…
「ヒフミさんコイツ絶対ピカピカに磨いてやるからその辺の予定立ててもらえるかな?」
「かしこまりました。」
「ちょっと余計な事しなくていーから。」
「言っとくけど、弟君は病気なんやろ?ほな清潔にしとかんと治るもんも治らへんのやで、わかってるか?そんな事やから病気になってまうんや」
「…そ、そうなの?…わ、僕のせいで?」
「それはちゃんと診てみやなわからん、とにかく道案内」
ちょっと腹が立ってきてしまって思わず素が出た…子供に手を引っ張られるのも走りにくかったのもありアイリさんを抱きかかえて走る事にした。
「ちょっとニイチャン?抱っこなんてされる歳違うんだからやめてよ!」
「こっちのほうが早いから…それより道案内してほしいな。指さしでも良いから、ほらちゃんとくっついてないと危ないから」
「う、うん…あっ、あっち」
ギュッと首元に抱きついてアイリさんは指を差した。その方向に走って行く。森を走るよりも楽な道なんて走ったらあっという間に目的地に到着した。
「地下なの?」
「うん、わ、僕たちみたいな子供には住む場所なんか無いんだって言われて弟とここに住むようになったんだ。お医者様がここなら、雨風凌げて監視カメラにも映らないから追い出される事は無いって教えてくれたんだ」
「盲点ですね。ココは把握出来てませんでした。」
ヒフミさんが怒っている?相変わらず無表情ではあるが僕はそう思える。
「犯罪臭が凄いな…ヤバい雰囲気がする」
「そんな事無いよ、僕たち見たいな子が10人位いるんだ。」
アイリさんは驚愕の事実を伝えてくる。笑顔で…
「ヒフミさん?コレはヤバくないかな?」
「はい、全員保護対象だと思われます。すぐに保安員に連絡します。」
アイリさんに聞こえないよう小声で話す。
「ねぇアイリさん、お医者さんもここに住んでるの?」
「んーん、お医者様はたまに僕たちの様子を見に来てくれて、元気が無い僕たちにお薬をくれるんだ。でも…最近それを飲んでも弟のアレンは元気にならなくて…」
アイリさんは首を横に振りながら伝えてくれた
元気になる薬…もぅ…ダメ絶対ってやつじゃね?…
「昨日また来てくれたお医者様にそれを伝えたら龍神苔が必要だって…」
「昨日か、毎日来てる訳じゃ無いのかな?そのお医者さんって」
「うん、多くて3日に1回位、一ヶ月来ない日もあるかな?」
昨日来たって事は今日は大丈夫かな…よし取りあえず潜入だ。
地下一階は何もなくただ真っ暗だったけど地下2階は薄暗く、地下3階のアイリさんの部屋がある階は電気がついて周りが見渡せた。
「誰かに見られるのはよろしく無いと思うから、素早く行こう!」
「この時間、皆ご飯探しに行ってるから多分大丈夫だと思うよ」
中に入ると小さな男の子が横になっていた。
男の子、確かアレン君だったかな?アレン君は顔が熱のせいか赤く息は荒かった。
「取りあえず鑑定でどうなってるか確認するね。」
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名前 アレン
性別 男
年齢 5歳
状態 発熱 (インフル)
栄養失調
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「ねぇアイリさん、僕の知ってるかもしれない病名っぽいのが表示されてるんやけど」
「それは酷似した物に変換されているのでしょう」
「インフルっぽいって事か…」
「つまりはウイルス系ですか、ちゃんとヨクトマシンを入れていればかかることはないんですけど、この子は達はそれが無いんでしょう…本来なら出生後全員の体内に入れるはずなのですが…そうなると補充もされて居ないかと思われます。」
「確か、ヨクトマシンを体内に入れることによってウイルスとか効率的に退治もしてくれるようになってるんよね」
「はい、ココまで弱っているのなら地球であれば即入院でしょうが、ココにはソウマ様がおられます。」
「良いの?」
「仕方ありません。」
「オッケ!じゃスキャンかけてウイルスを見つけてそれを除去する」
「アレンは助かるの?ねぇ…?」
「病気は治せるよ。でも栄養失調にもなってるからすぐには元気にならないよ」
「大丈夫、お薬あるから!」
「あーそれは取りあえず辞めといてくれるかな?アイリさんもそれを飲むの暫く禁止ね」
「え?コレ飲まないと元気出ないんだよ…飲まないとバイトも出来ないんだ…」
「あーもぅ…取りあえず今日は、僕の部屋に来なさい!この後無理やりでも連れて行くからな!ヒフミさん、ごめんやけどよろしく頼むわ!」
「ソウマ様のいるホテルでは流石に無理です!なので別の施設を用意しましたので今日はそのホテルに行きましょう。他の方達には今日は帰れないと伝えてます。」
「流石、お早いお仕事で頭が上がらないです。と、よしコレでオッケーだ、文句は言わせないからね。アイリさん?覚えてる報酬は何だっけ?」
「報酬は…ぼ、僕で…です」
「じゃ言う事は聞いてもらうからね」
「は…はひぃ」
2人を抱えてダッシュした。誰かに見つかるとややこしくなりそうだし、見つかって子供を2人連れ出たってなったら、そのお医者さんって奴に連絡がいってしまうかもしれない。まだ外は明るいからこっそりとは行かないけど…サーチには人の気配が無いから今のうちに飛び出しヒフミさんが用意してくれた施設に駆け込んだ。
国が管理下に置いている施設らしい。なのでその道の人たちはココには滅多に近寄らないらしい。
「よし!取りあえずアレンの体を拭いて寝かしてあげよう。体力が大分持っていかれてるだろうからまだ暫く起きないと思うし」
「わかりました。私がやっておきます。」
「ありがとうヒフミさん。じゃ僕はアイリさんとお風呂入って来る。」
「え?え?なんで?」
「さっき言ったやろ?ピカピカに磨くって」
「だっ、だからって、い、今じゃなくてもいーだろ」
「ダメだ、個人的にも風呂キャンが嫌いというのもあるけど、衛生面での問題があるから病人に対しても綺麗にしなくちゃ行けない。」
「で、でもぉ…」
「でももへったくれもありません。」
そしてアイリさんを抱きかかえてお風呂に連れて行くのであった。
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それでは、次回、第二回目のお風呂回!




