36 凍結領域
入口で出てきた2匹のイノシシさん
「こんなペースで間に合うかな?」
「間に合いませんね、サーチで魔物を感知して出来るだけ遭遇しないように行きましょう。後は駆け足で向かいましょう」
「サーチしながら駆け足かぁ…」
「森の中は足元にも注意しないといけません。さぁ行きましょうか」
「お、おう、よーし、行くか!さっきのイノシシの感覚をサーチに織り込んで…」
サーチで魔物特有の気配がわかるようになった。ワイルドボアは特に顕著にわかる、現状サーチに引っかかる魔物はいない。今のうちに距離を稼ごう。
「今のソウマ様なら1時間程走れば到着すると思われます。森を走る事に慣れては居ないと思いますが気をつけて行きましょう」
戦艦内の訓練施設でしか最近走ってなかったのでやはり森の中は走りにくかった。横を見るとヒフミさんは爽快に走っていたので走り方を真似しようと観察したが今ひとつわからない
「はぁ平常で1時間走った所で最近疲れるって気がしなかったのに、地面が柔らかかったり、大きな根があったり枝を避けたりしてると、はぁ、はぁ、はぁ」
大きな根を飛び越す、着地地点が柔らかく踏み込みが甘くなる、足が滑る。直進上に魔物の気配があり避けて通る。そんなこんなで1時間半かけてなんとか洞窟が見えてきた。満身創痍なので洞窟入口でしばらく休憩することにした。
「お疲れ様です。30分程オーバーですが予定内です。洞窟内のデータを端末に送っていますので確認しながら暫く休憩しましょう。」
休憩が許されたので飲み物を取り出し息を整えた。
「洞窟内はそんなにややこしくなさそうやね、分かれ道は無い感じやけど、魔物は…いるなぁ」
洞窟内に直線状にサーチを使った。自分を中心に丸くサーチするより直線的に使う方が距離は伸びるので3キロ程進んだ先に空間があることも分かったが、途中大き目な魔物がいるのも分かった。
「感覚的に太長い感じの魔物なんやけど、これってヘビかな?トカゲ?」
「どちらもいるようですね。どちらも毒は持ってませんので噛みつきと引っかき、尻尾に気をつけてください。ワイルドボアを一刀両断できるソウマ様なら倒せます。」
ヒフミさんがそう言うならそうなんだろう…串焼きを数本食べ、空腹も収まり準備完了。洞窟内は暗いので明かりの魔法を使って中を照らす。
「うっわ、想像してたより暗いなぁ、でも思ってたより広いし足元もしっかりしてる。」
「ここは龍神洞窟として有名な所なので人の手が入っています。夏場の利用は少ないので明かりは消えてますが、冬場になると毎日誰かしらヒカリゴケを撒いて明かりを確保しています。」
「ヒカリゴケ?」
「はい、よく見てください。コケの残りが多少残っているので奥の方がぼんやり見えてくると思います。」
中で一旦魔法で作った照明を消し奥の方を見ると確かにぼんやり見える様な…きがする
「ソウマ様なら照明魔法を使えるので必要ありませんよ。欲しいならギルドの受付で買うことが出来ます。しかしここでは必要無いと判断しました。」
洞窟内を照らしながら進むと大きなヘビが寝ていた。コチラに気づいていないようだ。先制攻撃のチャンスと魔法で攻撃することにした。ヘビは熱を感知しているとかなんとかだから火は辞めて…氷にする。この洞窟にはトカゲもいるみたいだし冬場には姿を見せないって事は冬眠でもするのだろう。つまり変温動物で間違いないのだろうから…
「我が前に立ちはだかる魂の全てを我が魔力をもって氷で包み込む、それは時をも止める永遠の静寂…凍結領域」
「あっまた余計な…」
洞窟内は凍りついた、そう魔物も凍りついた、サーチに表示されていた十数匹いたはずの魔物全てが凍りついていた。
「ソウマ様…加減を覚えてください。どうしてそんな余計な下の句の言葉を入れるのですか?上の句だけでも十分でしょ?」
「さ、寒い…」
「早く解除してください、でないと奥の方の苔まで凍りついてしまいますよ?」
「は、はい…」
魔法を解除した。一度凍りついた魔物は絶命していた。可哀想なのでアイテムボックスへ全て収納した。後で美味しく調理してあげなくてはいけなくなった…
「ヘビとトカゲは食べたことないなぁ…」
魔物は全て凍りついので後は回収しながら奥の苔を目指す。どうやら苔は凍らずに済んだようだ。
「高濃度の魔素水のおかげでこの付近は凍らずに済みましたね。あの中心にある大きな岩にこびりついているのが龍神苔です。苔のついでに魔素水も少し持って帰りましょう。」
と言うことで、水筒の中身を飲み干し魔素水を変わりに入れた。苔は採取してアイテムボックスに収納した。
「では、帰りましょう。洞窟攻略に時間がかからなかったので今から帰れば余裕に間に合いますね。」
帰りは真っ直ぐ入口の門まで走り抜けることにした。数匹のワイルドボアと遭遇したが全て一撃必殺でそして収納の流れ。行き道は苦労したが帰りは慣れたのか30分で帰ってこれた。
門をくぐり、空飛ぶタクシーを呼ぶ、待ち時間に残りの串焼きを食べながらヒフミさんに聞く
「帰りのほうが身体が軽いんだけど、なんでかな?レベルアップ?そんなわけないよね」
「魔物を倒すと溜め込んだ魔素が流れます。それは倒した本人に経験値として流れ込み一定値を超えると壁を超えます。この壁超えはレベルアップと言われます。今回割と沢山倒したのでレベルアップもしているのでは無いでしょうか」
「あるんだ、レベルの概念が…また一つ楽しみが増えた気分だ!」
話してるうちに空飛ぶタクシーが到着した。
「無事ミッション完了やね!」
「無事?」
ヒフミさんに冷たい目で睨まれた。
「ゴメンナサイ、魔法の詠唱ってなんかこうさ。どうも中二病的な言葉になってしまいます。あれだってホントはもっと言葉を紡ぎたかったし…あれでも我慢したんだから…あはは」
「笑ってごまかさないでください。手加減を覚えてくださいと言ってるのです。模擬戦とかであんな魔法ぶっ放したら相手はどうなると?」
「ゴメンナサイ…」
「まぁ閃いて使う魔法の詠唱は事故を起こしやすいのでもっと訓練してくださいね。」
「はい…」
許してくれたようで笑顔が優しかった。良かった。
「とりあえずミッションは終了したし、後はお医者さんが本物かどうかやな…」
「ですね、アイリさんの弟さんの容態を調べて見なくてはわかりませんのでお医者さんの前に会っておきたいですね。」
「そうだね。簡単な薬で治るなら先に治してしまいたいしね」
と、後の予定を2人で計画しながら傭兵ギルドに向かうのだった
最後までお読み頂きありがとうございます。
またも仕事が忙しくなってきました。そのせいでいつもの如く眠くて眠くて眠くて眠くて…
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