35 ジビエ
空飛ぶ屋台に戸惑いながらも空飛ぶタクシーで森の入口に到着したソウマは周りを見渡しファンタジー感あふれるハイテク風景に感動していた。
「中身はどうあれ串焼きとかってなんか憧れたファンタジー風景だよ。朝ごはんは食べたけどお昼ご飯もまだだし、少し食べても良いかな?」
「急ぎではありますが、大丈夫でしょう。多めに買って収納し森の中で食べながら行ける物にしましょう。」
「やった!じゃまずはあの串焼き!」
と、ソウマは駆け寄ってやはりあくまでもファンタジー風だと思った。見た目は木でできた屋台なのに手触りは金属…塗装されてる。しかし不思議な調理器具である。真ん中のクリスタルの様な部分を中心に串を並べて刺すと肉がこんがりと焼けていく。
「ねぇ、ヒフミさんあの真ん中のクリスタル?みたいなあれで肉を焼いてるの?あれって何?」
「あれは放熱する魔道具ですね。調理器具としてはポピュラーな魔道具で効率も耐久性もよくとてもコストパフォーマンスがいいのでこう言う屋台に使われます。燃料は屑魔石を使います。」
「屑魔石?」
「はい、魔石を加工した時に出る欠片を粉末にした物を固形にし燃料にします。」
「欠片のままでは使えないの?」
「欠片のままでは使用者によって効率性が変わります。そして魔法適性の有無によっては使用できない方がいます。粉から固形にする工程で魔力水を混ぜているので使用者を選ばず魔道具の燃料として使えるのです。そして使い終わると魔素に変わるのでゴミも出ません」
「ほぉそれは便利でエコだね。」
「あの魔道具は熱を出すだけで炎を出すわけでもなく、化石燃料を使う訳でもないので二酸化炭素の排出や排気ガスで環境汚染の心配もございません。」
「地球人が知ったら喉から手が出る程欲しがる物を屋台で使ってるとかエグいって」
「こう言う森を残す理由ですね。宇宙に出る際も魔石燃料は必須です。宇宙船のジェネレーターの動力源にも魔石を使います。その分大きい魔石が必要になりますが、魔石はこの王国を支える大切な資源となっています。」
「なるほど…すっげぇな…」
凄すぎて小並感な言葉しか出ない。
「まっとにかく、オジサン串焼き10本ください」
「あいよ。入れ物いるかい?」
確かに袋とか持って無いからいるな。エコな屋台なのに袋使うとかなんか申し訳ないな…
「あ、ゴメンナサイ、入れ物ください。」
「入れ物が2リル、串焼き一本3リル、合わせて32リルだ」
日本円で入れ物二百円はたけぇな…クソ!環境問題か…と諦め渋々払ったのだが、入れ物が凄い、大きさは串が入る位の箱なのに収納魔法がかかっていた。驚いてヒフミさんを見ると
「簡易の収納箱なので最長2日たったらただの箱になります。回収ボックスが森の出入り口にあります。傭兵ギルド等、各ギルドにもあるのでその回収ボックスに入れると、1リル返却されます。」
「そう考えると2リルも安いのか…」
「この箱は後30時間程持ちます。そして容量ももう少しあるので他の屋台の食べ物も入れれます。ソウマ様のようにアイテムボックスがあればそこに直接入れることは可能ですが、アイテムボックスは人目のつかない場所での使用をしてもらいたいので、入れ物を購入したのは正解です。」
そう言えば、傭兵ギルドでアイテムボックス使った時怒られたなと思い出し、そしてついうっかりアイテムボックスの存在を忘れていたのを思い出し、でも正解だったんだなぁと安堵した。
他の屋台でパンと飲み物を買った。水筒も2リルで同じようなシステムで返却したら1リル返ってくるらしい。
人目につかない場所に移動し買った物を収納、そして装備を整えた。腰に刀と拳銃を装着防具は今着ている服でも十分な防御力があるらしい。
準備を整えたソウマは、森の入口にある門をくぐる
門を抜ける時、何か膜を抜けるような破るような違和感があった。肌に伝わる何か…さっきまで何も感じなかったのに森に入った途端の違和感
「この森に入った途端感じたこの違和感って」
「はい、これが魔素濃度の高い場所特有の気配です。サーチを発動してください。ここからはいつ襲われるか分かりませんよ」
「了解!」
サーチを発動して周りの気配を探った、この魔法は自分から半径1キロ程度の範囲で指定した物を探す魔法だ。今回は生き物を指定してみた。だが、頭が割れる勢いで反応があったので解除…
「生き物をサーチしたら虫とかにも反応して情報が多すぎた…」
「そうですね、この魔法は戦艦内で覚えたのでまだ慣れていなかったのですね。生き物ではなく魔物を指定してください。先ほども伝えた通り魔物の体内には魔石が存在します。なのでそれを指定しても良いのですが体内にある魔石には反応しない弱いものもあるので工夫は必要です。では実際見てみましょう。アチラの方にワイルドボアが居ます。コチラに走ってきていますね。約500メートル先です。」
むむ、敵襲来か…待ち構えていると森の茂みを抜け走ってきた2メートル位のデカさのイノシシだ。
「でっか!嫌無理じゃね?」
「大丈夫、落ち着いて一太刀浴びせてください」
ヒフミさんのオーダー通りまずは落ち着く…深呼吸の後、まずは横に交わす刀を抜き首めがけて一太刀…
ズバッと首を落とし、ズザザザっとイノシシが倒れ込んだ。
「お見事です。では良く観察してみましょう。この魔物に見える気配を覚えてください。」
初めての命のやりとりだと言うのにあっさりと次のステップに行ってしまった。
血を払い納刀し、言われるがまま観察すると何か感じてきた。
「このイノシシから感じるのは魔素?」
「はい!正解です。人間にも多少ありますが魔物はそれが顕著に表れます。ここは魔素濃度が高いのですが、色味?雰囲気?で自然に周りにある魔素と魔物が放つ魔素が違うと感じるはずです。それをサーチに取り込んでください。」
「なるほど…密度の問題なのか周りにある魔素はふよふよしてる感じだけどこのイノシシから感じるのはギュッとした魔素だ」
「感覚は、人それぞれなのですがそれの精度を高めて行けば魔物だけを探したり人だけを探したり出来るようになります。次がきました。約1キロ先から走ってきてますね。番だったのでしょう、他は見ませんね」
「番とか聞くとやりにくいんですけど」
サーチを起動する。魔素がギュッとした奴…
「見えた!やった。見えたよ」
「では迎え撃ってください」
「了解」
走って来たイノシシを同じように一太刀で首を落とす。
「先ほども言いましたがお肉は食べられますので全てアイテムボックスに収納してください。血抜きは後で致しましょう。ここで時間をくっては苔が間に合いませんよ?」
ホントに生き物を殺したとか思う暇もない様な指示を出してくれる。でもまぁそれが良いのかもしれない、震えて立ち止まっても先に進めないのだから…
イノシシを、アイテムボックスに収納して先に進む。収納したついでに肉串を出して食べた。この肉は何肉なんだろう…看板見てなかった。
「このお肉ってなんの肉って書いてたかわかる?」
「この串焼きは、ワイルドボアですね、今倒したイノシシです。」
「うむ。」
日本のイノシシと違ってそんなに獣臭く無い、甘いタレに浸けられて更に焼かれているので香ばしく美味しい
「帰ったら美味しく食べてやるからな」
と、アイテムボックスに収納した2体のイノシシさんを思い2本目の串焼きをかじるのであった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
お忘れかもしれませんがソウマさんは料理人です。ここにきてやっと食材ゲットです。
調理はまだ先になってしまいますが…
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