8話 接客
ついにGW、4月28日だ。
3人には、あれから多くのことを学んでもらった。
料理、洗濯、接客、夜食の提供など。
私は、みんなが頑張ってる間、ゆめさんと中庭を綺麗にしてた。
食材や備品を買いに行ったりもしたかな。
みんなは、一週間くらいで上達して、私とも大差ないくらい。
始めは、部屋も増えるし大変かなと思ったのだが、みんなのお陰で充実した。
「今日から、だよね。お客さんたくさん来るの」
「そうだね」
「『接客が命』って散々言われてきましたからね」
微笑する、愛。
「『清潔さは命』とも言うてたな」
思い返す、るる。
「緊張してきたなぁ〜」
深呼吸をする、りん。
みんな、頑張ってきた。慣れないことが多かったと思う。
「練習の通り、ね。みんな、頑張ろう」
「そうですね」
「勿論や」
「う、うん!」
ーーーーーー
5時。母とフロントを交代する。チェックイン自体は4時から行えるが、殆どは5時以降だ。
流石にまだ、宿泊客は来ない。
「何時くらいにチェックインする人が多いですか?」
「概ね、7時前かな。夕食をここで食べて、他の場所を見に行ったり、温泉に行く人が多いね」
「そうなんですね。少し、安心しました」
私と愛は、フロントだ。愛1人にまかせても良かったのだけど、トラブルでも発生したら、さすがの愛でも大変だろうということだ。
まぁ、夕食を運ぶときは抜けるのだけど。
そんなこんなで、ちょっぴり雑談しながら待機しているのである。
2人はキッチン。ゆめさんも一緒。
ーーーーーー
「るるー、お魚切るの上手いー」
「兵庫のおじさんに教えてもらったんや」
――完全に打ち解けていた。
「りんちゃん、出汁巻きできた?」
「はい、できました!」
「練習したかいあったねぇ、すごくきれいだよ〜」
「ありがとうございます」
「ゆめ、お米入れてちょーだい」
「はーい」
完璧な連携の取れたキッチンルームだった。
ーーーーーー
「「いらっしゃいませ」」
6時前。1人目のお客さんだ。
「予約をしている、鈴木だ」
「鈴木様ですね」
「こちらに、スマートフォン、または、フローティングフォンをかざしてください」
パソコンの画面に表示された、鈴木様の情報。予約情報と一致する。
「お部屋は本館の1号室です。こちら、1号室の鍵となります。万一、紛失された場合は、鍵の交換費用をお支払い頂く場合がありますので、くれぐれも紛失されないようお気をつけください。また、お部屋は、オートロックではございません。ご自身で鍵をかけていただくよう、お願いします」
「今回、夕食有りのプランになっておりますので、お客様のお部屋に夕食をお持ちいたします。何時頃にお持ちいたしましょうか?」
「7時に頼む」
「かしこまりました。大浴場は本館の廊下を進んでいただいた奥になります。ご利用時間は24時までですので、お早めにご入浴ください」
「Wi-Fiは、お部屋の机の上に説明がありますので、よければご利用ください」
「アメニティは、お部屋にタオルのみございます。それ以外は、そちらから必要な分、お取りください」
「その他、お困りごとございましたら、お部屋にある電話で、#7にかけていただきますと、フロントにつながります」
「では、ごゆっくり」
男性は、大きな荷物を抱えて室内に入っていった。
「お手本、お上手です」
「いやいや、私もまだまだだよ。お母さんのほうがすごいもん」
「それはそうかも知れませんが、私からしたらどちらもすごいです」
聞こえないように、小声で会話している。
「「いらっしゃいませ」」
2人目、カップルみたいだ。
(次は、愛の番だよ)そう、目で合図する。
愛も、頑張ります、と合図してくれたような気がした。
「予約をしている、加藤です」
「加藤様ですね」
「こちらに、スマートフォン、または、フローティングフォンをかざしてください」
愛は、パソコンの画面を確認する
「お部屋は別館の1号室です。この廊下を奥に進んでいただくと大浴場です。右に曲がっていただくと別館の方になります。こちら、1号室の鍵となります。万一、紛失された場合は、鍵の交換費用をお支払い頂く場合がありますので、くれぐれも紛失されないようお気をつけください。また、お部屋は、オートロックではございません。ご自身で鍵をかけていただくよう、お願いします」
「今回、夕食有りのプランになっておりますので、お客様のお部屋に夕食をお持ちいたします。何時頃にお持ちいたしましょうか?」
「7時にする?」
「もうちょっと遅くてもいいんじゃない?」
「じゃあ、8時にしようか」
「そうだね」
「8時でよろしいですか?」
「それで、お願いします」
「大浴場のご利用時間は24時までですので、お早めにご入浴ください」
「アメニティは、お部屋にタオルのみございます。それ以外は、そちらから必要な分、お取りください」
「その他、お困りごとございましたら、お部屋にある電話で、#7にかけていただきますと、フロントにつながります」
「では、ごゆっくり」
愛は、一つ一つ丁寧に、覚えたことを必死に言ってくれた。上手い。
2人は、雑談をしながら別館の方へと進んでいく。
「どうでした、か?」
「Wi-Fiの説明無かったけど、めっちゃよかったよ。私よりも上手いんじゃない?」
「本当ですか。気づきませんでした」
「次から頑張ればいいよ。まぁ、こっからも人は来るから、気を引き締めていこうね」
「はい。頑張ります」




