7話 初日の終わり
「ようやく、最後の部屋だね」
「はい、頑張ります」
結衣が戻ってきた頃、2人は、5号室の掃除を終え、6号室の掃除に入るところだった。
「どう?掃除大変じゃなかった?」
職場体験風に。
「そんなこともないです。掃除は好きですし、ゆめさんと話していたら、あっという間でした」
「なら良かった」
「ゆめさんのおかげです。これからもよろしくお願いします」
ペコリ、と深い礼をする。
「よろしく、愛ちゃん」
ーーーーーー
やっぱり掃除は終わっていた。
おのれ、家電量販店め…。
仕方がない。気持ちを切り替えて、通路の掃除に取り掛かるとしよう。
「遅かったじゃん」
「ごめん、なんか、イオンのエディオンでは足りなくって」
「別の店まで行ってきたん?大変やったなぁ」
「うん、2人は休憩しなくてもいい?」
「大丈夫!」
「かまへん、通路の掃除するんやろ?」
「うん」
柔らかい色の照明で、通路は照らされている。雰囲気出てていいね。
るるには掃除機を使ってもらっている。大浴場の前と、この通路は床がカーペットになっているので、箒よりも適している。
私とりんは布巾を使って壁や窓を拭いていた。
「ねぇ、今度みんなで、傘見城行かない?」
提案。走ってたときに思った。
「いいね、行ってみたい」
「歴史には疎いけど、面白そうやね」
「それなら、ゆめさんも一緒に行ってみたいです」
別館から愛が来た。今さっき終わったのかな。
「愛ちゃん、部屋の掃除終わったんだ」
「はい。ゆめさんは歴史が好きで、一緒に行けたら解説もしてあげられると、おっしゃっておりました」
「詳しい解説があると、より一層楽しめそう!」
「『仁和寺にある法師』だね。私もあまり詳しくはないから」
「せやけど、スケジュールとか、大丈夫なんかな?」
「多分、GW開けたら余裕はできると思うんだけど」
「じゃあ、そのときに行けるかもね」
「楽しみですね」
「そうだね、愛、少し休憩してからでも構わないから、中庭の方からここの窓を拭いてくれない?」
「大丈夫です。今すぐにでも」
「ありがと、お母さんから布巾をもらってきてほしい」
「わかりました」
「そのまえに仙台だよね。何したい?」
「ずんだ餅食べたい!」
「いいね、駅に売ってると思うよ」
「うちは特に無いかな、ずんだ餅美味しそうやね」
フローを見て、そう言った。
「愛にも聞いてみよっか」
愛が戻ってきた。
「愛、仙台に行くとき、何したい?」
「仙台城跡に行きたいとは思いますが、時間もなさそうですし、ゆめさんと行くほうがより楽しめそうですよね」
「確かに。じゃあ、今度は仙台駅と周辺をみるって感じで」
「いいよ」
「大丈夫です」
「決まりやな」
ーーーーーー
掃除を終えてお風呂に入った私達は、部屋に戻ってきていた。
時刻は4時前。
「どう、掃除、大変だった?」
「そうでもなかったよ、楽しいし」
「せやな、思ったとよりは」
「ゆめんさんと一緒だと、そこまで難しくなかったです」
「なら良かった」
母が部屋に入ってきてお菓子をくれた。
「みんな、今日はお疲れ様、お礼よ」
「「「ありがとうございます」」」
「お母さん、優しいね」
「まぁ、初仕事だったからじゃない?」
「明日も頑張りましょう」
「せやな、大変なんは、今からやろ」
「そうだね、辞退したかったら、ちゃんと言ってね」
「まさか、楽しいし、そんな事するわけ無いじゃん」
「そうですね、そんな杞憂、しなくても良いものです」
「でも、無理したら、ダメだよ?」
「結衣が優しいのはわかったから、そんなんやめーや」
「そう?ありがと」
やっぱり、3人は優しいな。
私も、そうあれたらいいなと思う。
その後、私達は、お菓子を食べたり、ゲームや映画を見て、3人の初仕事の日は、終わった。
人物紹介
笹川ゆめ
宿のバイト。
一度傘見から離れて放浪していたが、戻ってきた。
歴史好き。




