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少女たちの宿暮らし  作者: お餅
宿暮らしの慣れ編
5/5

4話 まったり

 結衣はゲームカードをアフターに挿し、起動させる。

「ルールはスタンダードでいいよね?」

 結衣はコントローラを配りつつ、訊く。

「はい。大丈夫です」

「順番は…るる、私、りん、愛だね」

「どこに住むか決めてねー」

「ここは大阪やろ」

「宮城にする」

「じゃあ福岡で!」

「愛知県にしてみます」

「あっ、みんな【都会】になっちゃった」

「チュートリアル的には【田舎】も選んだほうがいいのか」

「それなら私、岐阜県にしますね」

「ありがとー、愛ちゃん」

「都会と田舎の違いって何なん?」

「その都道府県にも違いはあるけど、都会は商業が発達してて、田舎は逆に林業や水産業、農業が発達してる感じだよー」

「現実に近いイメージなんですね」

「今回だと大阪が商業、観光業、製造業特化。宮城が商業、農業特化。福岡が商業、製造業特化。岐阜が農業、林業特化って感じかな」

「特化してるとそこで特定の産業を営んだ場合にメリットが大きいってことか」

「そうそう。そんな感じだよー」

「難しそうですが…最初はその都道府県にあった立ち回りをすることが大切ですね」

「せやな。それめっちゃ大事とちゃう?」

「そうだね。基本はそれがいいかな」

「じゃあ、うちの番や」

 るるはカードを選び、ターンを終える。

「るるちゃんは【アルバイト】にしたんだね」

「私の番ね。【正社員】でいいかな」

「うーん、じゃあ【投資】カード使って、20万円を投資!サイコロを振り出目が1なら40万円獲得。6なら投資額が10万円になる。それ以外なら次の月に持ち越し。出目は…3!そのまま!」

「そんなカードもあるんですね。私は正社員にします」

「ターンが終わると月が変わるよー。月が変わると電気代とか食費とか取られるから注意してね。給料も入るよ」

「うちは…所持金50万円やな。アルバイトカード使って掛け持ちや」

「アルバイトはそれができるのか。所持金65万円。【勉強】カード使って所持金が63万円」

「勉強カードも使いやすくていいよね。サイコロ振りまーす。出目は―2!そのまま!勉強カード使って所持金が18万。ターンエンド!」

「所持金は70万円ですね。5万円の【自転車】を買います」

「勉強カードは4ヶ月出費額が同じで、そこからは利益が出てくるよ―。最初は小さいけど、いつかマイナスを取り返せる感じのカード」

「所持金80万円スタートや。アルバイト掛け持ちすると勉強でけへんのか。投資カード使うわ。20万円投資して出目は…1!よっしゃ。所持金一気に100万円や」

「すご…単独トップじゃん。私の所持金76万円かー」


 ………そうして時間が過ぎ、時刻は3時前になる。

「そろそろ休憩しようか」

 結衣は大きく伸びをした後に、言う。

「そうですね。1時間以上してましたし」

「あと1時間もしたら風呂入らなあかんしな」

「じゃあセーブして終了っと」

「私、お菓子持ってくるねー」

 結衣が立ち上がる。

「えっ、いいのー?」

「うん、お母さんが私に買ってくれてるものだし」

「次買こうてくるときは、うちらも払わなあかんな」

「そうですね。購入金額を3で割ればいいですね」

「そういう感じにするんだったら私も払ったほうがいいよね…」

「いいじゃないですか。結衣さんはこの宿を手伝っているのですから」

「まぁ、それもそっか」

 そう言い結衣はリビングに向かう。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 時刻は4時を回る。4人は風呂に入る準備をしていた。

「昨日も思いましたけど、温泉だからかとても気持ちがいいです」

「疲れてたんもあると思うわ」

「そうだね。めっちゃ気持ちよかったー」

「温泉水直引きだからね。温度は調整してるけど」

「傘見温泉に入れるなんて、思いもしませんでした」

 そう。傘見は温泉街でもあるのだ。裏北傘を進むと傘見山かさみやまがあり、そこの湧き水が使われている。

「まぁ、温泉施設ではないんだけどね」

「それでも中々入れませんからね」

「せやな。大阪からここまでごっつ遠かったし」


 少女らは脱衣所に移動し、服を脱ぐ。

「昨日から思ってたけど、愛、…いや何でもない」

 結衣は愛の体を見る。

「どうかしましたか?」

「ごめん。気にしないで」

「そうですか…わかりました」

「悩める少女って感じだね」

「せやね」

「じゃあ入りましょうか」

「そうだね」

 結衣は引き戸を開け大浴場に入り、3人がそれに続く。

「湯加減もちょうどいいですね」

「え?なんかいつもより熱い気がする」

「せやな。昨日よりは熱いわ」

 りんは温泉に手を入れ、驚く。

「熱っ。めっちゃ熱いじゃん」

「愛って江戸っ子なのか」

「いつも何度で入ってたの?愛ちゃん」

「そうですね…44度です」

「そりゃ熱いわ。のぼせてまうで」

「基本みんな40度くらいだよね」

「そうだったんですね…家族も44度で入浴していたので、それが普通だと思ってました」


 温泉をあがった四人は部屋で各々の時間を過ごしていた。

「楽しそうだけど、愛はしないの?」

 対戦ゲームをするりんとるるを横目に、結衣は尋ねる。

「はい。小説も読みたいですし、それに私結構疲れてて気力がないというか…」

「あぁ、疲れはしょうがないよね」

「結衣さんはしないんですか?」

「絵描きたいからね」

「納得です。その絵、すごく上手ですね」

 紙には、深く帽子を被った少女が描かれている。

「まぁ、趣味でしてるだけだからあんまり上手くないけどね」

「お上手です。私にはそのような絵は描けません」

「愛も上手いと思うけどね」


 時刻は6時を回り、少女らは夕飯を取っていた。

「明日は何かするんですか?」

 愛が尋ねる。

「うーん、特になにかすることもないしな。仙台でも行く?」

「仙台行ってみたい!」

「せやな。うちも仙台行ったこと無いわ」

「じゃあ、傘見駅から電車で仙台に行こうか」

「はい。わかりました」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 時刻は10時になる。少女らは布団を敷き、眠りにつく。

 結衣は思う。今は調子いいけど、いつかこれが壊れてしまうかもしれない。―と恐怖するのだった。

人物紹介

草姿るる

15歳女子

関西弁。書きやすい。

これと行った特徴がない人物の二人目

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