2話 おはようございます
『ピピピピピピピピピピピピピピ』 あ、アラーム鳴ってますね。後で皆さんに謝らないと。今の時間は4:30。少し早く起きたかもしれません。特にすることもないので、布団を畳んでおきましょう。この布団、すごく質がいいです。肌触りがとてもサラサラしてます。
畳み終えたので、私服に着替えましょう。今日の私の服、黒シャツに黒スカートなんですよね。傍から見たらただの不審者ですよこれ。私こんな感じの服しか持ってませんね。いつか買いましょうか。
愛は着替えを終え、ふと気づく。
この部屋、すごくきれいですね。ホコリ一つない。畳も染みなく、とてもきれいです。結衣さんが掃除をしたのでしょうか。私も見習うべきところですね。新型の家庭用ゲームも置いてあります。結衣さんの私物でしょう。昨日もしたって言ってましたし。財政的な余裕があるのでしょう。駅からも近いですし、主に観光客が利用するのではないでしょうか。
朝ご飯を作りたいところですが、食器とか食材とか勝手に使うのは気が引けます。皆さんが起きたら聞いてみますか。
流石に二度寝はしないですが、少し眠たいですね。昨日遅く寝たからですかね。皆さん10時に寝るみたいですし。ここは合わせて5時30分に起きるようにしましょう。
時刻は6時です。りんさんが起きたみたいです。
「おはようございます」
「おはよ。ふぁー」
りんはあくびをした後、横に畳まれた布団を見る
「早いね。何時におきたの?」
「5時くらいです。アラームが鳴ったので。すみません」
「いいよいいよ。私起きなかったし。そうだ、私も布団畳んどこ」
「結衣さんが、シーツを外して三つ折りにしてと言ってました」
「ありがと」
りんは布団を畳み始める。すると、隣の少女も起き上がる。
「おはようございます。結衣さん」
「おはよう。みんな早いね」
「いやいや、早いのは愛ちゃんだよ。私今起きたし」
「5時くらいに私のアラームが鳴ってしまって。すみません」
「へぇー。アラームは周りに聞こえないくらいの音量にしてね」
「はい。以後気をつけます」
るるが起き、話しかける。
「みんな、起きるの早いんやね。びっくりやわ」
「おはようございます」
「おはようやで。もっとゆっくりしとるもんやと思てたわ」
「みんな起きるの遅くてもいいんだよ?」
「早起きは三文の徳とも言いますし、生活習慣なので」
「愛ちゃんの言うとおりだよ。健康にもいいしね」
「体に無理はさせないでね」
「わかってますよ」
「ならいいんだけど」
少女らは布団を畳み、着替えを始める。
「愛ちゃん、なんで全身黒服なの?」
「それうちも思たわ」
「私、ファッションセンスがあまり無くてシンプルな服を選んじゃうんですよね。こんな服しか持ってません」
「ファッションセンスが無いことはないんじゃない?似合ってると思うよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです。結衣さん」
「ところで、朝ご飯は私が作ってもよろしいでしょうか?」
「気持ちは嬉しいけど、1周間過ごしてからかな。それまでは母か私が作った料理で」
「わかりました。皆さんが楽しめる料理にしたいです」
時刻は6:30をまわる。
「じゃあ私、朝ご飯とってくるから、机出しといて」
結衣は部屋を出る。
「わかりました」
「うちも手伝うわ」
「ありがとうございます」
愛とるるは机を隣の部屋から運び出した。
「はいどうぞ。卵かけご飯とお味噌汁です。一応聞いておくけど、アレルギーとかないよね?」
「ありがとうございます。私は特に無いです」
「私もないよ」
「うちもないわ。」
「じゃあなんでも食べれるね」
結衣は8つの皿を机の上に置く。
「じゃあ」
「「「「いただきます」」」」
「美味しいです。卵の仄かな香りと、深い醤油の味が絡み合って、いいバランスだと思います」
「美味しいね。卵がしっかりしてるのかな」
「味噌汁もうまいわ。味噌の味がちゃんとしとる」
「卵は市販のだけどね。味噌は母が鍋で出汁取って作ってるよ」
愛は丁寧に上品に、りんはゆっくり噛み締めて、るるは大きく豪快にそれぞれ食べすすめてる。良かった。美味しくいただいてもらえたみたいだ。
結衣は安堵する。これなら宿暮らしはうまくいきそうだ、と。
人物紹介
柏原愛
16歳女子
育ちの良さから敬語を使い、周りに気を使う。
最初に自殺しそう