13話 結衣の兄
「え、解?」
そこにいたのは私の兄で大学生の解だった。
「あぁ、結衣じゃん。なんで来た?」
「何でって、観光目的だけど……」
「そっちの子たちが母さんが言ってた子?」
「伝えられてたんだ」
「何時に帰るん?」
「え、今日は遅くてもいいって言ってたけど」
なぜそれを?
「ウチでタコパしない?」
何を言い出すかと思えば……。
「待ってください。結衣さん、この方は?」
伝えてなくてすみません。
「こいつは――」
「俺、結衣の兄、解」
「お前の妹かよ!?」
連れに驚かれてる。
「ちょっと、邪魔しないでよ」
「邪魔はしてないだろ? 本人に紹介してもらったほうがわかりやすいし」
「本当ですか!? 結衣さん、お兄さんいたんですね」
「以外〜、一人っ子だと思ってた」
「大阪以外のたこ焼きも食ってみたいわ」
ちょっと!?
「まぁ、大阪には敵わないけど、美味しいと思うよ」
「夜ご飯も決まってないしね」
「提案に乗ってもいいかもしれません」
謎の一体感がある…。
「じゃあ、きまりだな」
「まって、私は賛同してない」
みんなでこいつの家に行くのは勘弁だ。せっかくの仙台旅行なのに。
「行きましょうよ結衣さん」
「楽しそうだよね」
「行こうや」
みんなにそう言われると断りづらい……。
「……わかった。私は折れるよ」
どうしてこうなった。
「6時にウチに来てくれ。場所、覚えてるよな?」
「はいはい覚えてますよ」
◇◆◆◆◇
あの後、ご飯を食べて、仙台駅の方に戻ってきた。
ちょっと憂鬱。主にあのバカのせいだ。
「美味しかったね、牛タン」
「ええ、とても柔らかくて脂ものっていました」
「お腹いっぱいやわ。スイーツは別腹やけど」
「ずんだ餅、だよね。私の知ってるお店にするね」
「なんだかツアーみたい」
「案内人は優秀やで」
「よく来ているのですよね」
「まぁね。あいつのせいでもあるんだけど」
引っ越しのときは、私が家具を持っていったりもした。 時々私が遊びに行ったこともあったっけ。
「大学生なんですか?」
「うん、東北芸術工科大学だったかな」
「お兄さんも絵を描くの?」
「描けるけど、美術科とかじゃなかったような……。ごめん、ちょっと覚えてない」
うーん、何科だったかな。
「まぁええに。後で本人に聞いてみよ」
「そだね」
仙台駅に戻ってきて、目当てのずんだ餅を買った。次は、服を見るらしい。
「これは、どうですか?」
愛が服を物色中。大きめの五分袖Tシャツだ。
「夏服買うんだったらいいね。私も買おうかな」
りんも、服を見始める。
「せやったら、愛は身長高いしパンツでも合うんちゃう?」
そう言うとるるは、これまたオーバーでゆったりしたハイウエストパンツを持ってくる。
「……試着してみたら?」
なんとなく想像できる。めっちゃ似合うに決まってる。
「そうですね。試着してみます」
――試着室から出てきたのは、天使でした。
って、似合い過ぎでは? 白いTシャツには可愛らしさがある感じで、ベージュのハイウエストパンツが大人っぽさを引き立たせている。
身長が高いと、ここまでオシャレにまとまるのか……。
「カッコええし、似合ってるんとちゃう?」
「そうだね。着心地はどう?」
「結構軽い生地みたいで、そこまで暑くなさそうです」
「え!? 愛ちゃんめっちゃ似合ってる!」
りんはもう会計まで済ませたみたい。即決だったのかな。白い紙袋からチェック柄の生地が覗かせる。
「本当ですか。ありがとうございます。買ってきますね」
愛はレジの方へ向かった。
「るるは、買わなくていいの?」
「うちは結構張り切ってしもて、夏服も多少持ってきたんや。まぁ、欲しなったら買いに行くわ」
「そう、行きたいときは言ってね」




