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少女たちの宿暮らし  作者: お餅
宿暮らしの慣れ編
10/11

9話 提供

7時前、半分以上の客は、すでにチェックアウトを済ませ、部屋で休んでいる。


「じゃあ、別館の方から料理を運んでいくよ。結衣は本館からよろしく」


「わかった」


「はい!」


運ぶのは、私とりんと、ゆめさん。母は厨房から離れられないし、まだ盛り付けていないところもあるから、るるも残る。


定食は、小さなキッチンワゴンに乗せて運ぶ。


コン、コン、コンと、1号室の戸を叩く。


「夕食をお持ちしました」


「今開けるよ」


「どうぞ、『仙台牛鍋の和食御膳』です。お鍋に火を点けますね」


ちゃっかまーん。無事、ロウに火を点けられた。


「火を消したいときは、こちらの蓋をご利用ください。8時頃に、食器を回収しに参りますが、よろしいですか?」


「ああ、構わないよ」


「それでは、ごゆっくり」


次は2号室だな。手際よく行こう。



ーーーーーー



「いい?りんちゃん、練習通りにやるんだよ?」


「はい!」


「でも、緊張してそうだから、1回目は私が言うわね」


「わかりますか…。ありがとうございます」


図星。優花にはよくわかるようだ。


(始めて仕事をさせたときの結衣に似ているわ)


コン、コン、コン、と、戸を叩く。結衣よりも短いテンポで。


「夕食をお持ちしました」


「開けますね」


「やっとご飯食べれる……」


「もうちょっと早い時間にすればよかったね」


女子が2人、大学生らしい。


「『仙台牛鍋の和食御膳』です。火をお点けいたしますね」


カチッと音を鳴らして、鍋に、光があたる。


「仙台牛鍋には、名物の仙台牛、お米は、名取市の『だて正夢』、そちらのお刺身にはメバチマグロを使用しております」


「美味しそー」


「お鍋の火を消したいときは、こちらの蓋を、ロウに被せてください」


「「どうぞ、ごゆるりと」」


そう言って部屋を出る。


「次はあなたの番よ」


「が、頑張ります」


「緊張しなくてもいいわ。私がフォローするから」


コン、コン、コンと、戸を叩く。少し強い叩き方だ。


「開けるわ」


「夕食をお持ちしました」


中に入っていくのは、りん1人だ。


「待っていたわ」


「『仙台牛鍋の和食御膳』です」


「火を点けますね」


手が震えているが、2回押して点火した。


「火を消したいときは、蓋をご利用ください」


「では、ごゆるりと」


「ありがとう」


戸を閉める。


「終わりました……。」


「頑張ったね」



ーーーーーー



「どう?」


夕食の提供は終わったので戻ってきていた。


「順調です」


「愛はほんとに上手いから、私いなくても大丈夫だね」


「そんなことありませんよ。結衣さんがいてくれたほうが安心できます」


「後、一組だから待っていようか」

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