プロローグ 宿暮らし
時は2100年。
円安の危機から免れた日本は、賃金が上昇し物価が下がる、まさに好景気な経済状況だった。
そんな日本の中で流行したのが田舎の宿の部屋を借り、生活する。「宿暮らし」と呼ばれるものだ。宿暮らしは基本的に、宿屋を営んでいる親の子がネットに宿暮らしの募集をかけ、参加した若者がその宿でシェアハウスのような生活を送るというものだ。大人数で行うと、人間関係での面で失敗することが多くあり、人数は2~4人程度で募集をかける。また、参加した若者は宿の仕事を手伝ったり、家事をしたりする、「宿伝い」と呼ばれる暗黙のルールが存在する。
これは、そんな宿暮らしを先駆けた4人の少女の日常である。
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私の名前は、佐藤結衣。小学校を卒業した15歳だ。小学校と言っても昔とは違い、9年制であり、社会で必要になることを教え込まれる。昔のことはよく知らないが今はそんな感じだ。
賃金があがり、消費者、生産者が増えている。私の母は宿屋の女将なのでよくわかる。近年は旅行客も増え、年々、人口減少の一途をたどっていたこの場所も、活気を取り戻しつつある。
学校生活は終わったし、金銭的な余裕もあるから、普段は母の手伝いをしながら自由な生活をしている。最近は、アイデア次第でどうにでもなるようになってきた。若い子がビジネスをやってたりする。私もそういうの考えようかな。思いつくものはある、が少し大変だ。母に協力してもらうか。うん、そうしよう。私は夕飯のときに聞いてみた。
「お母さん、宿の1部屋自由に使っていい?」
「いいけど、何に使うの?」
「シェアハウス?みたいなのをしたいなって思って」
「それってお金とか取ったりするの?」
「お金は取らないけど、アイデアとしてはいいかなって」
「ならいいわよ。好きに使いなさい」
「ありがとう!」
よし! 部屋を使う許可が降りた。シェアハウスの募集はネットでかけよう。人数は多いと大変だから3人までかな。
宿の部屋でシェアハウス!
定員は3名
15~18歳女子のみ
宿の手伝いをしたくれたらそれでok!
お金は取りません
こんな感じで「投稿」っと。どんな人が来てくれるかな。
〜人物紹介〜
佐藤結衣
15歳女子
母親が女将、父は行方不明
面倒見が良く、常に周りに気を使っている。
一応主人公