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第六話 アゲハ、依頼初受け

 ども。コウです。

 いつの間にか一万PV越していました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

 さて、タイトルですが、ぱっとしたものがなかったので、微妙なものになってしまいました。

 思えば、本格的な戦闘シーンが二回目……。ま、まあ、ファンタジーなのでこれからバンバン出ますから。過剰な期待をされると、ちょっとプレッシャーが……。

 ということで、今回も楽しんでいってください。

――――カンカンカンカンカンカンカンカン!!

 すがすがしい朝だというのに、部屋に鳴り響く耳障りな金属音。

「キラぁ! 朝ですわよ! 早く起きてくださいな!」

 発信源は、金髪美女リリィのてもとの、お玉と鍋。どこからか取り出したそれで、どちらかをたたきつけるのではなく、どちらもたたきつけている。

「う、うぅ~~……」

 ベッドで寝ているキラは、ものすごい騒音にうなされている。

 『誰よりも強く、誰よりもかっこよく、誰よりも優しいキラ(リリィ曰く)』は、朝がとてつもなく苦手なのだ。

 旅をしている時など、警戒を怠らないときは、仮眠という状態で何が起きてもすぐに対応できるようにしていた。

 しかし、このような大きな町などにつくと、その分気が緩むのか、夫婦の営みも少なく朝まで爆睡してしまう。

「う、う……んー、おはよう」

 ようやく起きたのか、頭をぶんぶん振ってあいさつする。朝が苦手でも目覚めはいいキラ。

「おはようございますわ……ちゅっ」

 やはり夫婦。『おはようのチュー』なるものをする。

 それから、寝間着から普段着(ローブ姿などではない)になり、朝食を取り始めた。

「今日はどうします?」

 キラがリリィの料理をべた褒めしたりして、朝食を終えた。

 学園が始まるのは、春期休暇が終えて。つまり、明後日。

 それまでの間、何をするか決めていない。ので、とりあえずは今日の日程を決めることに。

「アゲハのところにでも行こうかな。あと、体なまっちゃいけないから、ギルドにでも行ってみる?」

「そうですわね」

 そうして二人は、またもやおそろいのコートを着てアゲハのいる学生寮へと向かった。




「よし。今日は勝った」


「勝ちましたわね。神に」


 瞬間記憶力の直前までの記憶力を持つキラによって、何とか迷子にならずに済んだ二人。これが普通なのだが、やはり毎度迷子になっているからか、相当うれしいようだ。

 二人はロビーに入り、アゲハの部屋を聞く。係員は怪訝そうな顔をしていたが、ゴールデンカードを見せると納得したような顔をして教えてくれた。

 部屋につき、ノックをする。

「ん」

 何の警戒もなくあけるのは、自分たちが来るのがわかったからだろう。心なしか、瞳に『嬉しい』という感情があるような気がする。表情もそうだ。

「遊びに来たよ。入れてくれるかな?」

「ん」

 今度の『ん』は、少し弾んだような感じがし、アゲハはキラの手をとって部屋へ引き連れていった。

 キラとリリィの二人は、テーブルに着き、アゲハが入れてくれた紅茶を飲んでいる。アゲハは、同じように飲んでいるのだが、その席はキラの膝の上。

 キラは、リリィが「私も膝に座りたいですわ」とつぶやいたのを聞いたが、あえて聞こえないフルをしていた。

「友達、できた」

「友達できるの早いね?」

 正直、社交的なタイプではないと思っていたキラは、そのあまりのできの速さに驚く。

「隣の、編入生」

 それだけでキラは分かってしまった。頭の中にパッと浮かぶ編入生といえば、アゲハのほかに――、

「……勇者君かな?」

 リリィもそれは感づいているし、アゲハにしたってそうだろう。魔力を抑えていても、その大体の量というのは分かってしまう。だから、聞いてみた。

 その証拠に、コクコクとうなづいている。

「ですけど、どういった了見でしょう? 完璧超人だと騒がれている勇者“様”が、なぜ学園に?」

「さあ? でも、勇者自身の育成のためだとしても、何の意味もなく通わせるわけないでしょ。あり得るのは、学園に何かあるか、だね」

 “学園”というきまった場所にミノタウロスが現れたのも、学園が何かからんでいる、とキラは睨んでいる。

「めんどくさそうですわね。……どうでもいいですけど」

 リリィはさらさら興味がないのか、紅茶を飲んで一息つく。

 キラも別に興味などないが、トラブルを抱えているかもしれないこの状況は、少し気味が悪い。

 だからひそかに思う。調べる必要がある、と。

「ま、その話はそこで終って。今日ギルドに行こうと思うんだけど、アゲハもいく?」

「ん」

「ローブとかどうします?」

「別にいいでしょ。そんなに難しいのに行くつもりないし」

 明日を含めて、二日で済むような依頼というのはあまり難しいものではない。森から何かの薬草を取ってこいだとか、畑を荒らす魔獣を倒してくれとか、そんな簡単なものばかりだ。

「よし。じゃあ転移で行こうか」

 言いながら立ち上がるキラに、そのままひっつくアゲハと腕に巻きつくリリィ。

 予想通りの結果に苦笑いしながらも、詠唱する。


「――――転移(トランスファー)――――」


 キラの足元に魔法陣が展開し、青白い光が三人を包み込んだ。



「うん。転移魔法を生み出した人に金貨一億枚あげたいよ」

 キラにとって、一番便利な魔法といえば転移魔法。旅をする前には覚えていなかった子の魔法だが、球に冗談じゃないぐらいのトラブルに巻き込まれるようになったため、必死に覚えたものだ。

「同感ですけど、さっさと行きましょう?」

 リリィがそう言って手を引っ張り、アゲハも無言で引っ張る。というかからめてつないでくる。

 中に入ると、葉巻や煙草、酒などのにおいでこもっており、お世辞にもいいとは言えないにおいだった。昨日は大勢のギルド加入者が依頼を受けていたため、ほとんどいないも同然だったからか、いつにもましてひどく思える。

 慣れっこなキラとリリィはそうではないが、アゲハは違うようで顔をしかめている。ドラゴンは鼻がいいのだろうかと聞いてみたいキラであった。 

 においなどは無視できるが、酔っている大バカ者どもは無視できない。

 今も、どれだけ難しい依頼を受けたのか、一人のひげもじゃ男が仲間とともに、豪快に笑い声をあげながら酒を煽っている。

「おうねーちゃん、いい体してんなあ! どうだ、おれの相手でもしないか」

 お決まりのナンパ。街中のチンピラなら強引に振りほどけるが、相手は仮にも冒険者。実力は確実はある。そのためにたちが悪い。 

 ここでキラなら、即座に助けにいく。話し合いをしようと試みて、それでも駄目だったら最終的には暴力。


 だが運が悪かった、相手にとって。なんせそのナンパ相手がリリィだったのだから。


「なあなあ、返事ぐらい――ぶはっ!」

 話し合いの余地なく、キラがひげもじゃ男の顔を殴る。

「てめえ! なにしやが――ぶへっ!」

 殴られた男は、当然キレる。キラは無表情で追加。

「ちょっ、おまっ、落ち着け――ぐひゃっ!」

 恐怖を感じた男は、キラに落ち着きを求める。が、あえなく撃沈。

「てめぇごら! 下手に出てたらいい気に――うぼぁっ!」

 逆切れする男だが、キラの容赦ない仕打ち。

 そのうち、言い返そうとするが一言めで殴られ、ついには何も反論することができずに、ただ殴られ続ける。

 そして――、


「す、すびびゃしぇんでした……」


 可哀そうなくらいに顔を腫らされたひげもじゃの男は、土下座をしてキラに謝る。

 その言葉を聞いたキラ、すがすがしいぐらいの顔で、


「有り金全部よこせ」


 恐ろしい言葉を吐いた。当然唖然とする男からはまぬけな声が出るわけで、

「えっ?」


「あ?」


「はい。持っていってください」

 ぎろりと睨まれたひげもじゃの男は、なすすべもなく懐にあるお金とテーブルにあるお金をキラに渡す。

 もらったキラは、ホクホク顔で、いつの間にか依頼を受けに行ったリリィたちの元へと向かった。



「世の中には優しい人もいるよ。リリィのために、だって」

 何を選ぼうか悩んでいるリリィに近づき、キラはいい笑顔でそう言いながらお金の入った袋を渡す。

「ありがとうございますわ、キラ」

 結構な額のお金に感激したリリィは、キラの頬にキスをし、アゲハはキラの腕にひっつく。

「どれにするか決まった?」

「ん~、いま決まりましたわ」

 クエストボードから紙をピッとちぎるリリィ。その依頼は、

『リング平原のウルフェン五十頭の討伐』

 だった。

 数はすごいが、それほど難易度の高い依頼ではない。ウルフェンという魔獣は、狼が少し大きくなり少し素早いだけの、至ってオーソドックスといえる強さだ。

「……リング平原って、行ったことないね」

「歩き、ですわね」

「面倒」

 それから三人は、その依頼を受け、アゲハを先頭にリング平原へと向かった。



「おおっ、昼寝したい」

 世界広しといえど、キラはこんなにふさふさした平原は見たことがなかった。そのために口を衝いて出た言葉だった。

「今度、三人でピクニックに来ませんか?」

「いいね」

「ん」

 なごむ三人。そこへ――


――ウォオオオオオオオオオオン!!


 単数ではなく、複数の遠吠え。群れで行動するウルフェンの、最大の特徴。

 そして、その意味は、敵を見つけた、ということ。

「来ますわよ!」

 普段着で来た今日は、相手からの攻撃を受けてしまうとかなり危険だ。

 だから、いつにも増して真剣に行く。本気は出さなくとも。

 総勢五十匹のウルフェンに囲まれる。

「――――復元(レストレーション)――――」

 リリィは、ペンダント化したドラゴンスレイヤーを復元する。

 キラも、亜空間からロングレンジライフル(結合銃)を取り出し、二丁の銃に別ける。

 アゲハは、炎の剣を形作り対峙する。


「とりあえず一人十頭。心配はいらないと思うけど、油断はしないで」


 そこからキラは、にこやかな表情を捨て、鋭い眼光をともす瞳とともにウルフェンの群れへと突っ込んでいった。



「――――炎属性付加(エンフレイム)――――」

 炎を剣に付加することで、炎剣となったリリィのドラゴンスレイヤー。それを、目の前にいるうっとうしいオオカミへとたたきつける。

 攻撃を受けたのは一匹。だが、受けた衝撃が周囲へと広がり、近くにいたウルフェンがすべて吹き飛ばされる。

「はぁっ!」

 容赦ない追撃。比較的直接攻撃に耐性のあるウルフェンに休む暇を与えていたら、すぐに自らの回復能力で傷を治してしまう。

 だから、まず一頭、下から上へとひり上げられた炎剣(ドラゴンスレイヤー)で、左右真っ二つに割れる。

 それを見たほかのウルフェンが、警戒し後ずさるももう遅い。

 疾風と化したリリィは、目にも見えない速さでばっさばっさと切り倒していく。

「ラスト!」

 あっけない終わり。所詮、リリィにとってウルフェンというのは、ちっぽけな存在で、特に苦労することもなく倒せる魔獣なのだ。

 ものを言わぬ残骸。これを見ればリリィは、苦労しないとはいえ生き残ったという思いと、命を奪ってしまったという思いが入り乱れる。

 矛盾なるこの気持ちは、いつまでたっても消え去らない。いや、消してはいけない気持ちだ。

 だから、いつもリリィは、必死で生きようとした“彼ら“に黙祷する。

 消え去った命を、無駄にしないように。



 アゲハは、炎自体でできた剣をふるう。振るうたびに、轟! と唸り、熱風を巻き起こす。

 一振りするだけで、大地は焦がれ、近くにあるものは何であろうが消し去ってしまう。

 ウルフェンもそうだ。飛びかかろうとした一頭が、アゲハの振るった剣に掠り、胴体の半分を消し去って絶命したのだ。

「滅」

 一頭一頭倒すことが面倒なアゲハは、地面に炎の剣を突き刺す。瞬間、紅蓮の炎が竜巻状に吹き荒れる。

 千度にも上る温度の炎は、周りを塵と化しながら、すべてを無に帰す。

「加減、考えないと」

 ドラゴンであるアゲハは、加減というものがよくわからない。

 最強であるドラゴンだからこそ、誰にも負けてはいけなくて、負けなしのドラゴンだからこそ、

相手には最大の礼儀を尽くさなくてはいけない。

 その考えが、代々伝わるドラゴン族の掟だから。だから、手加減というのはしてはいけない(・・・・・・・)のだ。

 そしてもう一つの掟。どんなに憎い相手でも、黙祷をささげること。

「難しい」

 形なき物の狭間に揺られながら、アゲハはこれからどうしていくか、少しだけ真剣に考え始めた。



 双銃と呼ばれる武器は、基本的に遠距離からの攻撃だ。

 だが、キラはそうしなく、逆に相手に突っ込んでいく。

「――――炎の砲口(フレイムバレル)――――」

 カシャン、と軽い音が二丁の銃から聞こえる。この二つの銃、外見は自動式拳銃(オートマチック)だが、内面は回転式拳銃(リボルバー)となっており、先ほどの音は回転弾倉(シリンダー)が回転した音。

 そして、引き金を引けば、銃口から火球が噴き出る。

 それをウルフェンの目の前でしたものだから、その顔は炎に焼かれることとなった。

 キラはそれで止まることなく、後ろから襲いかかってきたウルフェンに一発浴びせる。

 これで二頭。あと、十頭。

「――――速射(スピードショット)――――」

 キラが、この二丁銃を扱うために生み出した武器強化の魔法。こうすることによって、本来では得られないほどの速さで弾丸を放つことができる。

 したがって―――― 


「終了、っと」


 相手は自分が死んだとわからないぐらいの速さで、滅することができるのだ。

「謝ることはしないさ。こっちだって、生きるのに必死だから」

 ほかの二人と、キラは違う。相手に黙祷することなんてのはやらない、やりたくない。

 魔獣だって、自分たちが生きるために人間を襲っている。逆にいえば、人間だってそうだ。死ぬのが嫌だから、魔獣を殺して生き延びる。

 そういった点ではすべてが同じだ。

 弱い。それだけで、この世界では“罪”。

 今回は、キラが強く、ウルフェン達が弱い。それだけで、それ以上も以下もない。

 それが、長年の旅で染み付いているキラだから、黙祷はしない。今はそうでもないが、ただ生き抜くだけで必死だったから、その考えは変わらないのだ。

「案外、もろかったな」

 銃を亜空間にしまった後、その場を去る。その時、キラが指を鳴らすと、ウルフェンの死骸は黄金の炎に包まれ、無くなった。




「なんか、あっけなかったなぁ」

 ギルドにて。久々にエールを煽りながら、キラはそうつぶやいた。

「まあ、あんなものでしょう」

 少し遅い昼食をとりながら、リリィはキラに言う。

「この後、どうする?」

 お決まりの、キラの膝の上に乗って果汁を飲んでいるアゲハは、キラを見上げながら聞く。

 かわいいなぁ、などと思いながら、キラはアゲハの頭を撫でる。

 現在の時刻は一時。依頼を受けて出たのが十時ごろ。普通に考えると早すぎる時間。初め、依頼完遂を受けた受付嬢がいぶかしむような顔になったが、キラたちのランクを見て納得していた。

 今はどうするか相談中。もう一つ依頼を受ければいいのだが、どうにも三人のやる気が起きない。

「……そういえば。僕、アゲハに刀の使い方教える、って言ってたよね?」

「ああ、確かに。時間的にもまだ十分ですし、そうします? アゲハ」

「……そうときまったら早く」


 行動が決まった三人の行動は早く、転移で寮へ帰っていった。


 なんか、難しいですね。戦闘シーン、って。三人のそれぞれの戦闘を書いているわけですが、まったく同じ時間なので。

 では、これからもよろしくお願いします。

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