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第三話 迷子な三人

 ども。コウです。

 今回は少し長くできたかもしれません。これからもこの調子で少しずつ長くしていきたいと思います。

 では、楽しんでいってください。

 宿を出る前に、カウンターのおばちゃんからもらった地図をもとに、まずは不動産屋へと向かっていた。

「キラ。あなたは方向音痴なのですから、私の手を握っていてくださいな。迷子にならないために」

「……久しぶりのツンデレ」

「そ、そういうのじゃなくてですね……とりあえず、早く行きますわよ!」

 真っ赤にした顔を隠すように前を向き、キラの手を乱暴に握って前へと進みだした。その様子が可愛くて、キラはくすくすと笑ってしまう。それを聞いたリリィは、さらに赤くなってしまった。

「っとと、アゲハ、おいで」

 歩く歩幅が違うためにはぐれそうになるアゲハを、よっ、と抱きあげる。驚いていたアゲハだが、次には少しだけ微笑み、キラの首にしがみついた。

 にこにこ顔で、キラはリリィが歩くほうへ着いて行った。


 ~数分後~


「うん、僕も忘れていたよ。君も方向音痴だってこと」

 偉そうなリリィの言葉は、キラと手をつなぐための口実で、実際にはリリィも方向音痴なのだ。……それが原因でトラブルに巻き込まれるということが多々あることを、キラとリリィの二人は気づいていない。

 そうはいっても、一応は地図を読めるリリィ。だが悲しいかな、今回リリィは地図を逆向きに持っていた。

 今いる場所は、町並みはずれた路地裏。どこをどういったのか、そしてなぜキラもアゲハも、なぜ何も言わずについて行ったのかは定かではないが、どう考えてもきた道をたどればいいという状況ではなかった。

「ぐすん……」

 自分のふがいなさに打ちのめされたリリィは、キラの右腕に抱かれてしゃくりあげている。

「解決策はいくらでもあるからさ。だからほら、泣きやんで」

 最近リリィが泣く率高いなあ、などと思いながら右手で頭をなでる。左手も使いたいところだが、アゲハがいるため断念。だがその代わりに、アゲハがその小さな手でリリィの頭をなでている。

「ま、とりあえず適当に歩いてみよう。こういう路地裏にいい店があったって経験は多いでしょ?」

「そう……ですわね。ありがとうございます、キラ」

 元気を取り戻したリリィとともに、三人は歩きだした。


 ~さらに数分後~


「すっかり忘れていましたわ。私たちの不幸体質」

 今度はリリィの言葉。三人とも、歩いて行ったのはいいが、やはり路地裏。決してがらがいいものではなく、不良や盗賊といった輩の格好の隠れ家だ。

 だから、三人がチャラチャラした男たち十数人に囲まれたのだ。

「へっへっへっ。上玉が二つ」

「おいおい、久々じゃねえか?」

「よお兄ちゃん。悪いがそこの二人置いていってくれねえか?」

 品のない笑みとともに口々に言い、その中でもリーダー格の男が進み出て、汚い笑みを張り付けて言ってくる。

「いやだ、と言ったら?」

「無理やり奪うまでだが?」

「なら確認する必要ないじゃん」

 一応、王道の質問。もちろん相手はそれを否定的な言葉で返してくるわけで、キラもそれをわかっていたのだが、それでもあきれずにはいられなくて。

 結局は、解決策は暴力しかないということ。

「まあいいや」

「物分かりのいいやつでよかったな」

 キラの言葉を肯定と受けたのか、リーダー格の男は下品に笑いながら近づく。

 対するリリィの顔には絶望はなく、むしろ少し期待しているようなものだった。アゲハはよくわからないといった顔をしている。

「じゃ、さっそく――」


「見せしめにはちょうどいい」


 リリィを連れていこうとしていた男の腕が、半分消えた。

「ぎゃああああああああああああ!!」

 正確には、消えたのではなく切れた。肘の先からぷっつりと。

 原因はキラ。瞬時に右手にあらわした刀をふるったからだ。

「もう一丁」

 今度は左手にあらわした刀で男の脇腹をなぐ。そうしたことでまた悲鳴が追加され、裏路地には断末魔かと思えるような声が響いた。

「ひっ……」

 そうして数秒してから、ようやく周りの不良たちは事態に気付いたようで、左腕を失い、はらわたを出して悶絶している男を見て、全員が全員腰を抜かした。

「こうなりたくなかったら、大人しく道を開けろ」

 そう吐き捨てたキラの表情は、いつもの穏やかなそれではなかった。いつもの和やかな瞳は、鋭利な刃物よりも鋭く、のんびりとした口調も厳しいものに変わっている。

「くすくす……今のキラに逆らわないほうがいいですわよ? キレたキラは、人をも殺してしまう可能性がありますから。いえ、殺すよりひどいことをするかも」

 唯一キラの状況を正確に判断し、かつ発言が許されるリリィが、今のキラの状態を話す。

 逃げ出したいが逃げれる状況ではない不良たちは、ただただ怯えることしかできない。

「そこで大人しく怯えてろ」

 つまらなそうに鼻を鳴らしたキラは、次の瞬間には元の柔らかな表情になり、二人を促して路地裏を抜けた。


 ~さらにさらに数分後~


「てか、最初からアゲハに任せればよかったかも」

「そうですわね……」

 今度はアゲハを先頭に歩き続けていたら、冒険者ギルドと呼ばれる建物の目の前についていた。

 見た目子供が、大人も同然の二人を連れて案内をしていることを思えば、二人が落ち込むのも当然というもの。

「入る?」

「せっかくだし、アゲハの登録も済ませておこうか。いろいろと便利だし、お金もたまるし」

 キラは感謝の意味を込めて、アゲハを抱き上げる。アゲハはうれしいのか、ぎゅっとキラの首に抱きつく。

 それを確認したキラは、右手でアゲハを支え、左手をリリィのそれに絡めてギルドへとはいって行った。


 冒険者ギルドは、その名の通り、冒険者のためのギルドだ。

 その存在理由として、いろいろあるが、ギルドに届いた依頼を完遂させること。

 内容としては、例えば魔獣の討伐、さまざまな薬草の採取などがあげられる。たまに緊急依頼として、巨大魔獣――ドラゴンのような――の討伐を数十人編成のパーティーを組み立てることもある。

 そして、このような荒仕事には必ず上下関係が必要になる。それが、ギルドランク。ランクの分け方は、この世界で唯一の娯楽ともいえる、チェスのランクと同じだ。

 最低がポーンで最高がキングとクイーン。各ランクの中で上、中、下と分けられている。キングとクイーンはそのランクに達している人数は少なく、各国に一人いるかいないか。


 現在のキラのランクは『キングの上』で、リリィは『クイーンの上』。二人は本当に強いということなのだ。


「では、これでよろしいですね?」

 コクリとうなずくアゲハ。

 アゲハはカウンターにいる受付嬢からギルドについての説明を受け、契約書にサインと個人情報を登録していた。

 確認をとった受付嬢は、指の先から出した青い炎で二つの書類を燃やし始める。青い炎が完全に書類を覆ったところで、軽い空気がはじける音がし、受付嬢の手のひらには真っ白なカードがあった。

「はい、どうぞ。これにはすべての個人情報が記録されているのでなくさないよう注意してください。万が一にもなくされた場合は申してください。すぐに情報を削除しますので」

 何気に最先端技術が使われているギルドカードをまじまじと見るアゲハ。受付嬢の言葉を聞いているようには思えない。

「あの、地域登録をしたんですけど」

 地域登録というのは、各地域に散らばっている冒険者ギルドから依頼を受けるためにすることだ。そうすることで、その地域の依頼を受けることができる。

「お二人共ですか?」

「はい」

「……ではお預かりします。……登録しました。あちらのほうにクエストボードがありますので」

 さす先にあるものはたくさんの羊皮紙が張り付けられた木のボード。だがキラたちは依頼を受けにきたわけではないので、そのまま冒険者ギルドを出た。



「順番が逆になったけど、まあいいか」

 キラはギルドの近くにあった武器屋でぼそりと呟いた。

「扱いやすいといえば剣のたぐいのものですけれど。アゲハの戦い方を見る限り、スピードに力を乗せるようなやり方ですから……刀がいいかもしれませんね」

「…………刀?」

「そうですわ。詳しい扱い方は知りませんけど、でもキラが以前そう言っていましたわ。『速さと刀は相性ピッタリだからね』と。師匠としてはキラが一番適切でしょう」

 会話の通り、二人はアゲハの武器を探している。あれこれ数十分悩んだ上で、アゲハはキラと同じ武器である刀に決めたようだ。

 キラはキラで、所せましとばかりに並べられてある武器を眺めていた。

 長剣、大剣のようなポピュラーな武器はもちろん、蛇腹剣(鞭と剣が合わさったような剣)やトンファーのようなマイナーな武器もほとんど取りそろえられてある。

 新しい武器でも買うかなー、と思うキラは、くいくいと袖を引っ張られるような感じがした。振り向けばアゲハがいた。

「ちょっときて」

 袖を離さずに引っ張っていくアゲハについていくキラ。何かおねだりかと、少し期待している。

「刀、どれがいい?」

 たどり着いたのは刀が並べられた売り場。リリィもいる。

「これは……すごいな。刀なんて使う人が少ないのに……」

 その数にキラも驚く。なぜなら、刀も言ってみればマイナーな武器だからだ。


 剣の『たたき切る・突き刺す』に特化した武器で、刀は『切り裂く』に特化した武器。微妙だが、大きく扱い方に差がある分、剣になれきっている武人は刀を完全に扱うことは難しい。できるのは、剣術に関して天賦の才がある者だけだ。

 だといって、初心者が簡単に扱えるものではない。知識も経験もなければ、自分を切り裂いていくしかできない。

 よって、使おうとする者は、よほどの馬鹿か師匠に教えを請うことができる者に限定されるのだ。


「でもアゲハなら大丈夫でしょう? 身体能力が高いのですし」

「まあそうなんだけど……相手の急所とか斬線を見極めなきゃいけないし……」

 扱いが難しいといわれるゆえんは、対象物(人)の中で、もっとも斬りやすい個所を的確に攻撃しなければ本来の強さが発揮しないからだ。

「刀がいい」

 アゲハも、リリィに聞いたからか知っているようなのだが、それでも意思を変えない。

 意思を変えない人間は強い人間だ、などと誰かが言っていたことを思い出しながら、

「アゲハが言うならそれでいいか……よし、それじゃあどれがいいか、だよね」

 アゲハの瞳に宿る“強さ”を見て、キラは了承する。

「扱いやすいやすくないは、本人が確認することだからね。お金ならいくらでもあるから、自分に合うものを選んで」

 その言葉を聞いたアゲハは、一本一本じっくりと自分に合うか試していった。


 所要時間は一時間ほどだった。

 ずうずうしいかもしれませんが、一言でも感想がほしいです。皆さんがどのように思いながら読んでいるのかわかりませんので。

 誹謗・中傷なら受け付けませんので。

 では、これからもよろしくお願いします。

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