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第二十一話 女の戦い

ども、コウです。

試験期間中ですから、結構遅くなったかもしれません。……まだ、期間中ですから、さらにいえばそのあと修学旅行が待ってますから、次回更新は今回よりもっと遅くなるかもしれません。

とまあ、近況報告はここらで。今話、楽しんでいってくださいね。


「あぅ~……緊張する……」


「あ、ああ、あんたらしくないわね。こ、こんなのくしゃみで吹き飛ばしなさいよっ」


「………………」


 控え室にて。三人はそこで各々の試合が始まるのを待っていた。

 後五分ほどで開始される。


「アゲハは何でそんなに冷静なのよ?」


 エミリアとミーナの二人は、予選の時と違い観客数も倍増しているためにがちがちに緊張しているのだが、アゲハはいつも通りの表情を崩さない。


「勝つ。それだけ」


 愛刀の紅葉を手入れしながら、決定事項のように呟く。

 その大きな自信に、エミリアは問いかけたにもかかわらずなにも返せなくなった。


「…………そうだ! みんなで円陣組もっ!」


「ちょっと古いけど……いいかも。アゲハもやろっ」


 閃いたように言うミーナに便乗するエミリア。だが、アゲハは分かっていないようで首をかしげていた。


「円陣って言うのは、みんなで肩組んで掛け声かけてお―って言うの。ほら、時間ないから早くやるよ」


 手っ取り早く説明し、アゲハを引っ張ってミーナと三人で円を描くように肩を組む。


「じゃー、私が。ふぅー……ぜっったい、勝ちましょう!!」


『おぉー!!!』


 三人の気迫の声が重なった。




『さあさあさあさあ! やってまいりました二日目武術大会! 昨日は教師二人組が圧倒的な強さで勝ち進みましたが、今日はどうなのでしょう!』


 観客は、心なしか多くなっているような気がする。特に男が。

 女同士の戦いばかりだからだろうか?


『早速行きましょう第三回戦は! 紅の姿に似合う業火の炎! 強き可憐少女、アゲハ!』


 そんな疑問はよそに、司会は進行され、納刀状態の紅葉を手にしたアゲハが入場してきた。


『続いて! この学園でも随一の実力を誇る美しき教師! レナ・バーンズ!』


 同じく剣を携えたレナが、きらめく金髪を揺らしながら歩いてくる。



『試合、開始!』



 ぱっと向けたアゲハの手のひらに炎が集まり、噴出。

 轟! という爆音とともに炎がレナに迫る。が、


「刺突・雷牙」


 レナの剣の切っ先に雷が集まり、それとともに炎を突く。

 雷と炎が交わり、それは決着がつくことなく相殺。


 衝撃によってたてられる土ぼこり。



「居合・黒紅葉」



紫雷閃しらいせん



 それを振り払うようにぶつかる二人。

 いつものオレンジ色ではなく闇色の炎を刀に纏わせるアゲハに、先ほどの黄色ではなく淡い紫の雷を剣に巻きつかせるレナ。


 拮抗する二つの武器は、やがて会場を炎と雷の色に染め上げた。


 引く二人には、焦りも疲れもない。


「やるな、アゲハ。その年でよくそんな力をつけたものだ」


「まだまだ」


 ダダッ、と黒影を残しながら移動するアゲハは、今度はオレンジの炎を紅葉に纏わる。そして、旅上がり上からたたきつける。

 それを、レナは雷を付与させて迎え撃つ。


「…………あぁ!」


 上から降りかぶり、受け止められたアゲハだが、それでも構わず炎を噴射させながら押していく。

 ボッボッ、とどんどん勢いを増していく炎。

 ついには、レナの足元を陥没させた。


「くっ……ぅぅぁあ!」


 負けじと雷を注いでいき、それに対抗する。

 数秒間、押し合いをした結果、大爆発。


 会場内が爆風にさらされる。


 だが、土ぼこりの中でも二人の戦いは続いていた。


「――――炎分身えんぶんしん――――」


 ここでアゲハは炎の翼をはやし、さらには自分の炎の化身を作りだす。

 驚くレナだが、それも一瞬。


「――――雷化らいか――――」


 自分の体を雷にする肉体強化。レナの持てる技の中でも最強のものだ。

 ブゥォン、と耳につくような音を残しながら一体の分身に近づく。


「片っ端から倒す」


 それは一人ずつということではなく、何体もまとめてだ。

 現に、レナの放った紫雷閃は先ほどの日でなく、目の前のものをすべてなくす勢いの斬撃。

「――――火炎弾フレイムボルト――――」

 すべてのアゲハが、容赦なく小さな火球を繰り出し、レナに降り注ぐ。

「――――放電ホールサンダー――――」

 雷化状態のままのレナが、剣を地面に突き刺して全方位へ雷を放つ。



 幾筋もの雷が超小規模マグマのような火球を貫き、それでも火球は勢いが止まらない。

 爆発が続く中、次々とアゲハの分身は消え、レナは放電しながらもアゲハの姿を追い求める。



「破滅炎」



 レナが振り返れば、両手に巨大な炎の刀身を抱えたアゲハ。

 今までにないほどの火力で襲いかかってくる。



「破滅ノ雷!」



 レナも同様に、巨大な雷柱をたて、アゲハと剣を交える。

 自ら雷になっているため、剣にその雷を送り込み増大。

 このまま押せば勝てる。そう見こんだレナだが、





「――――炎化――――」





 アゲハの体が、炎と化した。

 そして――――



 ――ゴォオオオオオオン!!!!



 自らの力を県に注ぎ込んでいく二人の間に、地震を引き起こすほどの大爆発が発生した。





『げほっげほっ……すごい大爆発です……こほっ……。煙の中にたっているのは……』


 もこもことわいてくる土ぼこりのなかに、たっている人影。

 ブゥオン、と煙を払って現れたのは……


『なんと、教師レナを倒し現れ出たのは、紅少女アゲハだぁ!!』


 肩に刀をかけたアゲハであった。






「やっぱあいつ……勝ちやがった」


 元帥専用の観覧席にて、ヴァンは知らずのうちに呟いていた。

「あれ? ヴァンさん、アゲハにあったことありますっけ?」

 隣に座っていたキラがそれを聞き、疑問に思うのは当然のことだ。

 リリィはキラの腕に抱きついて猫のようにじゃれている。


「あん? まあな……ほれ、お前さんがヴィーラになっちまった時、喫茶店で見かけたんだ。妙な魔力を持ってるもんだから印象に残ってな……」


 ついでに言うと、ヴィーラがキラの膝の上に載り、セレナが少し頬を染めた無表情面で背中に抱きついてる。


「へえ……そうですか」


 さらについでに言えば、ルルテアが三人を見て羨ましそうな顔をし、アランがその表情を作り出している人物、もといキラを射殺さんとばかりに睨んでいる。


「……何か知ってんのか? 反応が薄いが」

 

 いつもの光景を見、総帥シリウスは威厳ある顔に穏やかな表情を浮かべている。


「ええ、知ってますよ。でも教えてあげません」


 で、オーフェンはというと、キラに恐縮しまくって何も言えないでいる。どうやら、ヴァンとセレナのしごきのおかげでずいぶん性格が丸まったようだ。


「お前、だんだんエマに似てきてんのな。めんでえことに」

「一応真剣ですよ? 八割方、ヴァンさんをいじめてるんですけど」


 キラは、周りには動じずにヴァンとの会話だけに集中している。

 いつものことだから、あまり気にならないのだ。


「性質悪ぃ……で、その真剣なのはなんだ?」

「ん~……結構重要なことだから言えない、ということですかね?」


 しまいには膝に載っているヴィーラとリリィが喧嘩し始めた。題は『どっちがキラの膝に載るのがふさわしいか』。


「んだそりゃ……ま、なんかしらあのアゲハっつうちびにゃあるってことだな?」

「ええ、そんなとこです。あんま深く詮索するのはよしてくださいよ?」

「……お前が言えた義理じゃねえな」

「ははっ、確かに」


 二人のケンカにセレナとルルテアが参加したところで、第四回戦が始まった。





「――――旋風球ストームボール――――!」



「――――闇玉シャドウボール――――」


 周りの風を掻き込む風の球と、影をそのままとりだしたような闇の球が会場の中心で交わる。

 幾分、闇の球が強かったようで、黒い衝撃波がエミリアを襲う。


「くっ……」


 戦っているのはもちろん、あの無口なローザ。

 すべての属性の中で、人間が最も扱いにくいとされる闇属性をいとも簡単に操っている。

「……それだけ?」

 余波だとしても、エミリアの体を吹き飛ばすには十分な威力があり、実際風をまとった状態のエミリアもずいぶん壁のほうまで押された。

「まだまだ!」

 アゲハが戦っていた間の緊張はどこへやら、強気な姿勢でローザへ先ほどの球を放つ。


「……無駄」


 今度は無詠唱で、地面から湧き出てきた闇で盾を作り防御。

「甘いわね、――――散れフォール――――!」

 先ほどよりも少しばかり大きな風の球は、闇の壁にぶつかる直前に分裂し、よけるように通り抜けてローザに牙をむく。

「――――全方位防御ホールシールド――――」

 しかしそれは、ぶわっと地面から現れ、ローザを包んだ闇の繭に阻まれた。


 エミリアにとって予想外。だが、驚いて攻撃の手を緩めることはない。

 これは、レインとともに旅をして得られた経験だ。


「――――無限の光剣インフィニティソード――――」


 今エミリアが使える最強の光属性魔法。

 エミリアの周りにはつばのない光の剣が十本ほど創られ、そのうちの一本を取る。


「行くわよ……!」


 無詠唱で足に風の肉体強化を施し、一気に駆け寄る。

「はあ!」

 気迫を込めて光剣をふるう。が、それはローザが無造作に作った闇の触手によって止められ、さらには剣に侵蝕。そして破壊。

「まだまだ!」

 剣を破壊されたエミリアは、周りに控えていた光剣を手に取る。引き抜けば、また同じところに同じものが構築された。


 ――パリン、パリン


 ローザに反撃を与えない勢いで、光剣をふるっては壊され、創造しまたふるう。

「……――――闇の福音ダークゴスペル――――」

 いい加減防ぐばかりのも嫌気がさしたのか、はたまた早く試合を終わらせるためか。それを知るのは本人のみ。

 ローザは、エミリアの剣を砕き、光剣を取り出すその一瞬のすきを突き、さっと手を向けて闇の魔法を放つ。


 闇の福音ダークゴスペル――闇属性の中でも特殊な魔法である。その効果は、魔法無効化。

 今現在使われている魔法の効果を打ち消すものだ。肉体強化も、結界魔法も、もちろん今エミリアが使っている無限の光剣インフィニティソードも。


 おぉん、と低い鐘のような音がローザの手から鳴り、音によってエミリアが創っていた光剣を壊す。そして、足についている風の肉体強化も。

「くっ……なら!」

 魔力でできた光剣をかなり使ってしまったために、今のエミリアに魔力はほとんどない。

 できることは一つ。


 剣による近接戦。


「――――復元レストレーション――――」

 ブレスレットにしていた聖剣デュランダルを復元。

 十字に模したその長剣を、容赦なくふるう。

 それを見たローザも闇で創りだした剣で対抗するのだが、


「そんなんじゃ止められないよ」


 先ほどとは逆に、ローザの剣が破壊され、予想だにしていなかったローザが目を見開くと同時に、そのきれいな首筋に剣が突きつけられていた。




 光属性を有したエミリアが、光属性の聖剣を使う。この意味は大きい。なんといっても、デュランダルの能力を最大限まで引き出すことができるから。

 光は闇を苦手としており、闇もまた光を苦手としている。どちらが攻撃でも、どちらが防御でも、結局決定づけるのは双方の魔力差。

 先ほどの光剣と闇の防御。あの場合は、いくつもの光剣を作りだしたことで一つの光剣への魔力が行く分少なくなってしまったために、闇の防御の魔力が上回ったのだ。

 逆に、今のは、一個人の魔力量がはるか昔から存在し、計り知れない聖剣を上回ることはない。


 これが、勝敗を喫したのだ。





「ふぅー……勝った勝った」

 エミリアの緊張はもはやどこにもなく、安心感いっぱいで控室に戻ってきた。

 次に控えるミーナは、目も当てられないくらいカタカタ震えて緊張していた。

「ミーナ……何とかなるからそんな顔しないの! 相手は、マリアちゃん、だっけ? ずいぶん仲良くなったって言うじゃないの」

 先ほどまで同じ状態だった自分が言えたもんじゃないか、と思いながらもとりあえず励ましてみる。

「……うぅ、いってくる……」

 まだ暗いミーナに、まあしょうがないか、と思いつつその後ろ姿を見送った。




『試合、開始!』

 

 先ほどまではがちがちになっていたのだが、キラが視界に入ったことにより、俄然やる気になった。

 そして、


「キラ様ぁ! 絶対勝ちますからぁ!」


 いつもの調子でキラに手を振ってみれば、自分を取り戻すミーナ。

「むぅー、勝つのは私ですー、ミーナちゃん」

「ふふん、キラ様にかっこ悪いとこは見せられないの!」

 ない胸張るミーナ。なぜかマリアも同じように胸を張る。


「じゃ、一発勝負にしちゃいましょー」


「へっ? なんで?」

 突拍子もないことを言うマリアにわけがわからず、ミーナは聞く。

「だってー、私たち同じ属性なんですよー? やるだけ体力魔力の無駄ですー。そんなことするくらいなら、いっそ一発で、て。それに、このほうがおもしろいしー」

「その誘い、乗った! 水属性の魔法で勝負だよね?」

「そうですー。じゃ、やりましょー」

 会場全体がざわめいているのにも気にせず、二人はどんどん話を進め適度な距離につき、自らの魔力を高めていく。


 静寂が会場を牛耳る中、その時は来た。





「――――深淵の涙アビス・ティーズ――――」





「――――水の波動リキッド・レイ――――」





 前者はマリア、後者はミーナ。

 マリアの背後には、ずずず、と地面から鋼鉄の大きな扉が。

 ミーナの頭上には、二重に重なる巨大な魔法陣が。


「「ぃけえええぇぇぇぇぇ!!!」」


 ばん、扉があけ放たれ、巨大な水の塊が放出。重なる魔法陣が内と外、違う方向に回転し始め、鉄砲水が打たれる。

 水と水がぶつかり、当たりに水しぶきをまき散らす。

 たんに水しぶきといっても、砂地である地面を削っているほどの水圧を持っている。


 数分、数秒、数瞬。どれが正しい表現かわからないが、その時間が過ぎた後、立っていたのは――



「うぅ……ぎぼぢわるい……」



 今にも倒れそうにしているミーナであった。






「で、何かわかったんすか? エマさん」

 先ほどまで行きつけの店で食事をしていたレックスは、昨日渡した残留魔力の正体がつかめたか確かめるために、薄暗いエマの部屋に来ていた。

「ん~……わかったっちゃあわかったんだけど……もう一度聞くけど、これ何の残留魔力かな?」

 回転するイスをくるりとまわしてレックスのほうを向き、手に持った紫色の球を見せながら聞く。

「ランベルクっていう、なかなかやる奴の魔剣っすよ。……なんか変なとこでも?」

「魔剣、か……あり得ないこともないだけど……。……あぁ、実はこの魔力の波動、“侵蝕“の波動を持ってるんだ」

「侵蝕……? ってたしか、闇属性の波動によくあるもんすよね? それが、なんかおかしいんすか?」


 人それぞれ違う波動を持っているように、属性にもそれぞれ波動を持っている。

 侵蝕の波動といえば有名なもので、魔力が魔力を喰らうのだ。

 その波動を闇属性は宿しており、その最たる例が闇の福音ダークゴスペル。この魔法は、魔法を無効化する効果があり、それを可能とするのが侵蝕の波動である。


「そこが微妙なのよ。侵蝕の波動を持った魔力が付与されている魔剣はいくつかあるんだけど、この魔力の浸食は極端なんだよ。これ見て」

 言って見せてきたのは、透明な魔力の球。

「近づけると……」


 ――――スゥゥゥ……


 二つの球を近づけると、透明な球のほうが見る見るうちに小さくなっていく。吸収されるのではない。

「おいおい……これって……」



「そうだよ。終焉の魔獣ドラゴンが持つ“侵蝕“だよ」



 終焉の魔獣ドラゴンの鱗は、その一つ一つに魔力が宿っており、それが常時発動されている侵蝕の波動を持っている。

 だから、終焉の魔獣ドラゴンに魔法を放っても魔力を無効化され、無意味になるのだ。

 だがこの極端な侵蝕の波動は、終焉の魔獣ドラゴンしか持っていない。

「いやでも。キラさんはあの魔剣を魔力で斬ってたんすよ?」

「それは多分、キラ君の魔力が純粋だからだよ。純粋すぎる魔力は、たとえ終焉の魔獣ドラゴンだとしても、完全に拒むのは無理だろうから」

「納得……つか、何でヤツと同じ波動が……?」

 規格外なキラのことだから、それぐらいできるだろうと見切りをつけ、レックスはもともとの問題に目を向けた。

 だが、いくら首をひねって考えようとも、答えは出てこない。


「たぶん、リリィ大元帥とキラ君が追っている、グノーシスって連中のものじゃないかな?」


 エマもおなく答えが出ないかと思われたが、意外にも出たようだ。

「ぐのー、しす? ……なんすか、それ」

「私もよく知らないんだ。ただ、キラ君から少し聞いただけで」

「大元帥に? ……俺、聞いたことないんすけど」

「そりゃそうだよ。旅に出た本当の理由を聞いたと同じなんだから」

 それを聞いてまたも首をかしげるレックス。

 旅に出る理由は、リリィに世界を見せてあげたい、というキラの願いである。リリィもそれに便乗し、アランほどでないにしても親バカなシリウスも賛成したものだ。


「……正直言えば、ちょびっと脅迫して聞きだしたんだけど。考えてもみなよ? リリィ大元帥だって、依頼やら何やらで世界中飛び回ってるんだよ? ――キラ君連れて。そりゃ、キラ君のほうがずっと旅してたから詳しいけどさ、それじゃちょっとした旅行でもいいじゃない?」


「まあ、確かに……」


「そこで、さっきも言ったように聞きだしたんだ。そしたら、『グノーシスっていう連中を追っているんだ。それ以上のことは言えない。リリィにも、言ってないんだから。その理由を』って。深刻そうだったからそれ以上は聞けなかったけど……それが本当の理由だと思うよ」


「…………ま、あの人は考えてること分かんないからな」


 しばらく黙って何事かを考えていたレックスだが、結局はどーでもいい、という答えになり呟きを答えにした。


 思えば、キラについて誰もなにも知らない。リリィも、その例外ではない。

 唯一の手掛かりは、『血塗られた戦争ブラッディ・ウォーズ』の生き残りということだけ。

 だがそれでは、キラがどこの出身で、どんな親を持ち、どのような交友関係を持っていたのか、知ることはできない。

 もっともリリィだけは、キラのことを少し知っているようだが。


 知らないから、キラが何を考えどう行動するのか、まったく予想がつかないのだ。――リリィを除いて。


「あ、今の話、キラ君には内緒だよ? 怒られるからね」

「へーい」

「んじゃ、これを持ってキラ君のところに報告ね。後、報酬だけど……っと、これに書いてあるもの全部ね」

 紫の球を渡され、ついでレックスはメモ用紙も受け取る。

 目を通し、顔が青くなる。


「全部、君もちね」


「……………………」



 その内容は、グランバールの特産品という特産品、各十個ずつであった。



ども。

この調子でいくと、武術大会編はかなりの話数になりそうです……飽きるかもしれませんが、付き合ってください、はい。

と、次回予告は、第六回戦レインVSシーナ、第七回戦レックスVSラルク。ついに本選二回戦出場者が決まります。お楽しみに。


引き続き、よろしくお願いします。

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