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第十七話 本選出場者決定!

ども、コウです。

早くも本選出場者が決まっちゃいました。……はやすぎですかね?

まあ、気にせず投稿しちゃいました。

楽しんでいってくださいね

 武術大会三日目



『勝者、ラルク・ウォーレン!』


 会場が静まり返る中、登場口へと歩いていく一人の少年。

 その腰には木刀をささっている。


「キラ……今の……」


「うん……これは、レックスクラスだね……」


 いつものように膝に乗っかっているアゲハも、ただ驚くばかりで何も言葉を発しない。

 キラとリリィもそれと同じぐらいに驚いており、その視線の先には――




――――会場自体が、隕石が落ちたかのごとく陥没していたのだ。




 ことの発端、というほどのものではないが、先ほどの寡黙な少年が、会場の真ん中で突っ立ていた。


 当初、キラとリリィは昨日までのように派手な戦いは期待していなかったので、トランプを使ってポーカーで遊んでいた。

 この試合は、予選最終試合であるため午前の延長でポーカーを楽しんでいたわけだが、キラの眼の端に木刀を天にささげるかのようにあげたのを見て、何か面白そうなことが起こると予想し、じっとその行動を見つめていた。リリィもアゲハもそうだった。


 途端、乱暴なまでに魔力が寡黙な少年の剣先に集ったのだ。

 振りおろしたその破壊力は、あのレックスの打撃の数倍はあった。


 ドン! そんな生ぬるい擬音では表せないほどの轟音が観客の耳に響き、気付いた時には大きく陥没した地面。

 キラとリリィも、何が起きたか一瞬分からなかった。ただ、あの少年が魔力と腕力にものを言わせたということのみ。

 すべてを理解した時には、あの少年が退場し終えたのだった。



「あれって、やっぱただの生徒だよね?」


「ええ……。あれほどの魔力があるならば、簡単にこの場を粉々にできたはずですわ……手加減したようには見えませんでしたし。なにより、魔力の暴れ方が半端ないですわ」


 たしかに、あのラルクという寡黙な少年は木刀の剣先に、とんでもない魔力をかき集めていた。

 だからあの破壊力というのもうなづける。が、それにしては被害が小さすぎる。普通ならば、リリィの言っていたようにこの会場を粉々にすることはおろか、直径数キロのクレーターへと変えることもできるのだ。


 事実、あの時のレックスは人を少し強く押したぐらいの力であったのだ。


 そして、それよりももっと驚くべきことがある。


「木刀であの威力かぁ……」


 木刀は、刀の劣化版であり、斬れこそしないものの一応は斬ることに特化した武器である。

 対してレックスの使っていた鉄鞭は、砕くことに特化した武器だ。


 地面を砕くのに適した武器はどちらか、想像に難くない。


 だというのに、刀の、それも劣化版の破壊力があれだ。



 無茶苦茶にもほどがある。




「あれは、絶対引き抜くしかないよね」


 意外なところで収穫があったことに気付いたキラは、くすくすと笑うのであった。






 ラルクの衝撃から一時間。会場内には十人の予選通過者と、四人の教師が集まっていた。

 なぜ集まっているか。もちろん、本選の組み合わせを決めるためだ。そのため、予選に興味がなかった観客たちも会場に足を運び、どのような組み合わせになるか楽しみにしている。


 総部校長であるエスネットが、大きな水晶玉を持って選手たちを真ん中に呼び集めた。



「これが、本選の組み合わせを決める『組み合わせクン』です」



 あまりのネーミングセンスにキラは苦笑しながら、自分の知らないそれに興味を注ぐ。リリィも、レインたちもそうだ。


「これに全員、手を突っ込んでもらいます。が、その前に。これではあまりにも小さすぎるため、拡張しますね」


 そういうと校長は選手たちを少し離れさせ、『組み合わせクン』に手を入れる。

 魔力を込めただけで、『組み合わせクン』は見る見るうちに膨れ上がり、成人男性が一人丸み込めるような大きな球体に育った。



「シーナ。映像射出の用意を」



 いつの間にか後ろに控えていたシーナに、校長は指示を飛ばす。

 あらかじめ持っていた白い球体に魔力を注いでいくシーナ。


 と、ホワン、と間の抜けた音がし、かと思ったらキラたちの頭上には、正方形のホログラムが浮き上がっていた。

 会場がどよめく中、ホログラムの各面にまだ名前が描かれていないトーナメント票が刻まれていく。


「さあ、皆さん。『組み合わせクン』に手を」


 全員が『組み合わせクン』をとりか組むように並び、手を突っ込んだ。

 ゼリーの中に手をつけたような感覚で、笑えるような感じでもあった。


 数秒間、何も変化なかったが、『組み合わせクン』が突然光り出した。


「もういいですよ。手を抜いてください」


 ちゃぷん、と今度は自ら手を引き抜いたような感覚にとらわれ、球体の光は止まった。

 全員、頭上にあるホログラムに目を移すと、すでにトーナメント票が埋まっていた。


 そのトーナメント票は――――




 第一回戦――リリィ・フォルステインVSバルン・パーカー



 第二回戦――キラ・フォルステインVSランベルク・ジョーカー



 第三回戦――アゲハVSレナ・バーンズ



 第四回戦――ローザ・リベッティVSエミリア・ウェールズ



 第五回戦――マリア・ルイスVSミーナ・ミシェラン



 第六回戦――シーナ・ウェイトVSレイン・フォード



 第七回戦――レックス・アーバインVSラルク・ウォーレン




 となった。


「あれ? シーナも参加してるの?」


「ええ。私はホログラムの準備の前に組み合わせクンに波動登録を済ませましから」


 あの組み合わせクンは、ただ個人の魔力の波動を測定し、その波動値でランダムにかつ複雑に組み合わせをさせる魔法具だ、とシーナは丁寧に説明してくれた。





「で、僕はランベルクってのとか……」


 顔を向ければちょうどランベルクと視線がかちあう。向こうもどうやら何かライバル意識を燃やしているようで、見るというより睨んできた。


「ま、楽しくやろうかな」





「パーカー? 聞いたことがありますわね」


「あんたが新任の生意気な女か」


「ん?」


 顔を向けると、いつぞやのオールバックナルシストをほうふつさせるかのような男子生徒。


「へぇ、あいつが言った通り、いい女じゃねぇか」


「あら? おほめの言葉、ありがとうございますわ。しかし、貴方から何を言われても吐き気がするだけですので、しゃべらないで下さる?」


「……で、それ以上にむかつく女だ。こーいうのにはヤキいれとかねえとな。その体に」


 ニヤニヤしながらリリィの体を嘗めまわすように見る男。おそらく、リリィの対戦相手、バルン・パーカーだろう。

 リリィは先ほどよりもさらに冷めた視線で見、無視する。


「無視かよ。まあいいさ。たっぷり調教してやる」


 すると、手を伸ばしてくるバルン。

 今から何かしようとしているのは明白であった。が、


「っ!」


「のろまですわね。あなたの名のように。その名は、空飛ぶ風船のごとく弱弱しくさまよう様を現したものですわよね? またまた、ぴったりな名を」


 バルンの目の前にいたはずのリリィは、いつの間にかバルンの後ろ側にいた。

 くすくすと笑いながら、冷酷に名前を批判する。これは、かなり怒っている証拠だ。普段のリリィはここまで言わない。


 証拠に、キラが少し苦笑いしている。


「そのようにのろまですと、今度は死、ですわよ?」


 綺麗な長い金髪を揺らしながら、キラの元へとリリィは行った。



 バルンの首元には、赤い線とともにどろっとしたものがついていた。





「………………」


「………………」


 にらみ合うわけでもなく、ただ互いにお互いを見つめているアゲハとその対戦相手、レナ・バーンズ。

 レナは、貴族らしく綺麗な金髪であり、そしてきりりとした美しい女性だ。キラとしては、リリィのほうが数十倍も美しいというのだが。

 数十秒間、その状態が続いていたが、アゲハが手をすっと差し出し、


「アゲハ」


 握手を求めた。そのことにレナは碧眼を細め、


「レナだ。こちらもよろしく頼む」


 小さなアゲハの手を包んで握手。


「いっておくが、生徒だからといって手加減する気はないからな」


 レナは四人の教師陣の最後の一人だ。ランクでいえばナイト(序列二位)。この学園にいる教師の中ではトップクラスの実力を持つ。


「その必要はない」


 少しだけ強く握って、意志の強さを示す。


「なら十分だ」


 レナも強く握り返し、にっこりとほほ笑んだ。





 エミリアはすごく困っていた。

 というのも、対戦相手にあいさつでもしようかとうろうろとしていたら、アゲハとも変わらぬ小さな銀髪少女が目の前にい、さらには自分の相手だというからだ。


「えっと、ローザさん――ちゃん? えっと、失礼だけど、年は?」


「……十七」


 意外にも、本当に意外にも自分より年上なのに驚く。

 同時に、この寡黙な姿はどこかアゲハとかぶっている、とも思う。


「そ、そう。その、よろしく、ね?」


 敬語にするかどうか迷ったが、結局はアゲハと接しているような感じがしてできなかった。


「……よろしく」


 ワンテンポ遅く話す少女に耐えきれず、エミリアは「じゃ、じゃあっ!」といってその場を離れてしまった。





「さいしょはぐー! じゃんけんぽん! あっちむいてほいっ」


「わーっ、まけたですー、ミーナちゃんは強いですー」


 ミーナとマリアは『あっちむいてほい』をして遊んでいた。

 アゲハとローザのように、彼女たちには似通った点がある。

 例えば発展途上の体。例えば水の属性を得意とすること。例えばほわわんとしていること。


 だからなのか、二人はあった瞬間に打ちとけ合い、一緒に遊んでいた。


「んむー……でもでも、大会じゃ負けないですー」


「それはこっちのセリフだよ」


 ふふふふふ、と笑い合う二人は、本当に仲がよさそうだった。





「んげ、先生とかよ」


「あら、何がいけないのですか? 勇者様?」


 自分の相手が教師のシーナだと知って心底嫌そうな顔をするレインに、シーナはくすくすと笑いながらほんの少し嫌味を放つ。


「まあ、いいんすけど。けど、女性相手ってどーにも気が乗らなくて。あ、先生、降参とかは――」


「しませんしさせませんよ? ふふ、降参すればないことすべて――」


「わかりましたからやめてください! ってか、全部デマってことじゃないっすか!」


「ならいいです。間違っても、手加減とかしないで下さいよ? 私はこれでも教師陣の中でトップを張っているわけですから」


 その事実に純粋に驚くレイン。まさか、そこまで強いとは感じなかったのだ。

 こりゃかなり苦戦するな、と思いながら、


「ま、頑張りますよ」


 気楽に構えてみた。





「ふーん……あんたがキラさんの言ってた要注意人物その一、ねぇ……」


 腕組みをして直立不動になっているラルクの周りを、眼帯少年ことレックスが回っていた。


「でもなー、あんとき俺は食堂でおやつのカレー食ってたからなぁ。確かに、雰囲気はあるんだが……」


「……君は何をしてるんだ?」


 いきなり、寡黙な少年がレックスのほうを向き、木刀に手をやる。


「おっと、そんな殺気立てんなよ。ちょいとばかり観察していただけだろ?」


 独り言にしては大きすぎる言葉を吐きながら、そんなことをしらっと言ってのけるレックス。

 むっ、とラルクは不愉快だとばかりに眉をひそめ、


「それ以上何か言うなら……斬る」


 腰にある木刀に手をあてがい、いつでも抜刀できる体勢へと移る。

 その姿に、面白い、と口端を上げ、


「やってみろよ」


 挑発する。


 次の瞬間にはレックスが上段から鉄鞭を振りおろし、ラルクが抜刀した木刀を振り上げる。



 交わり、スパークが散り、そして二人は瞬時に距離をとる。



「ふぅん……やるじゃん」


 周りがざわめいているのも気にせず、ようやくかかった大物にますます笑みを深める。



「…………」


 一方のラルクも、先ほどの一撃でしびれている右手を見、レックスを見る。

 強い。ラルクの思ったことがこれであった。



「はっ」



 たっ、とラルクはレックスに向かって疾走。残像を残しながらレックスに肉薄、ついでもっともよけにくい胴へ突きを放った。

 神速の勢いで放ったそれは、レックスに軽いものこなしでかわされ、逆に右脇に打撃を放たれる。

 突きで使った力のベクトルを無理やり引き戻し、防御へ。


 間一髪、間に合う。


 魔力をいっぺんに高め、ラルクはレックスを振り払う。それは空を切り、両者後方へ。

 今度は軽口などたたかず、二人は相手をたたきのめすために走り、攻撃を。



 だがそれは、第三者の手によって止められた。



 先ほどと同じように振り上げられた木刀は、二本の指の間で、振り下ろされた鉄鞭はもう片方の手によって音もなく止められた。



「戦いたいのは分かるけど、それ以上は本選でね」



 にこりと笑うのは、この二人の斬撃を見事に受け止めたのは、キラであった。


「……!」


「あちゃー……」


 驚くラルクに、しまったぁ、という顔をするレックス。

 レックスはすぐに、へーい、と言って引き下がったがラルクはそうはいかなかった。


「邪魔だ。どけ」


「はは、威勢がいいのはいいことだけど、場をわきまえてね?」


 指から木刀を話すキラに、ラルクは再び構える。

 キラは肩をすくめ、


「うーん……ひかない?」


「邪魔だ」


 ラルクはそう短くいい、走る。またも残像を引き連れながら、キラに接近。



「少しは謙虚さを学ばなきゃ」



 ラルクが木刀をふるう直前に、懐へ割り込んだキラはラルクの手首をつかみ、攻撃をやめさせ、


「ほりゃ」


 残った左手でラルクの腹に手のひらを向け、とん、と押した。なのに。軽く押されたはずのラルクは、一気に壁際まで吹き飛んだ。


「ま、少しは頭を冷やすんだね。いこ、リリィ」


 ととと、と駆け寄ってきたリリィとともに、キラは会場を後にした。





 二人で会場を出た二人は、そのまま寮までのびている道を歩いていた。


「そういえば、連絡来てないの? アランさん達から」


「来ていませんわね。……セレナとアランをのぞいたら、みんな時間にルーズですから」


「ふーん……やっぱりね」


 アラン達大元帥に元帥が、ベスト8までの生徒を鍛えてくれるはずだ。

 まだ到着していないのかと疑問に思ったキラは、騎士団の行動を一番把握しているリリィに聞いてみたわけだが、予想通りの答えが返ってきて生返事を返す。


「あ、でも。風のたよりで、セレナとヴァン、それに……ルーファンもすでにこの街にいるそうですわよ」


 リリィはルーファンの名を口にすると、苦虫を噛み潰したような顔になる。


「へぇ……ルーファンって、リリィの言ってた仮の大元帥だよね? 役立たずって聞いたけど、なんでまたあの二人に?」


「なんでも、悪い方ではないそうですから、成り行きで鍛えることになったそうですわよ?」


「ふぅん……リリィ目当てに行動してると思ったけど、案外そうでもないんだ。んじゃ、虐殺からタコ殴りに下げないとね」


 キラは、リリィにオーフェンが自分を狙っているということ聞いていたのでかなり不快に思っていたのだが、セレスからの確かな情報で、幾分怒りが和らいだようだ。

 恐ろしいことを言っているのだが、「まあ……」と言って頬を染めて、きらきらした目でキラを見つめている。何かが間違っていた。


「……まあ、あの二人に目をつけられた時点で終わりだけどね」


 黒い笑顔から一変、一気に苦笑いへと変わる。

 それほど、あの二人のしごきは厳しいのだ。受けたキラだからわかる。


 それ以降も、ルーファン家のことや元帥たちのことを話しながら帰っていく二人。



――――………………ぅぅ~



「ん?」


「どうしましたの?」


「いや、なんか聞こえたかなって」


――――…………ぅぅぅ~


「ほら」


「確かに……これは……何か落ちる音でしょうか?」


――――……ううぅぅ~


「だよね。でもどっから……?」


「あら?」


 謎の落下音に遠くで何か起こっているのではないかとあたりを見回す二人。

 そこで、リリィは自分たちの前に動いている影があった。むろん、そこに人はいなく、


「ま、まさか……」


 キラも気づいたようで、リリィとともに顔を上げると、


――――ひゅうううぅぅぅぅ~




「キーラーさーまぁぁぁぁ!!」




「えええぇぇぇぇ!?」




――――ゴッチィィィン!




 なぜか空から落ちてきたエルフ少女ヴィーラとキラは額と額をゴッツンしたのであった。







「あぐぅぅぅ……」


「うぅぅ……」


 落ちてきたのはヴィーラだけではなく、セレナにヴァン、アランにルルテアに目をまわしているオーフェンと、大所帯で落ちてきたのである。

 今は、近くにあった公園で、キラはベンチでリリィに膝枕をされて看病、同じようにベンチで寝ころんで唸っているヴィーラはセレナにうちわでパタパタと仰がれている。



「まったく! キラをこんな目に合わせるなんて! アラン、セレナ! 貴方達がいながらなんというざまですか、これは!」



 呻いているキラの頭を心配そうに撫でながら、リリィはアラン達に怒鳴り散らす。かなりご立腹のようだ。――当たり前だが。



「い、いや、だな、お嬢? その、この街に坊主が住んでいると聞いたヴィーラが、それはもうすごい発狂ぶりでだな……」



「あ、アランの旦那の言うとおりだぜ? ほら、狂ったヴィーラはやたら転移魔法を使うだろ? で、だな……」



「そ、それで、その、使って、失敗したんです。あ、いやっ、でもっ。止めようとしたんですよ? だからその、巻き込まれたというか、なんというか……」



「そしたら、上空にいたというわけです」



 それはもう、すごい勢いで。リリィの本気の殺気にあてられ、全員がしどろもどろに説明する。セレナ以外。

 オーフェンはがちがちと震えている。


「はぁ……もういいですわ。二年ぶりの再会ですし、これぐらいで許しましょう」


 リリィはキラを撫でている手を止めず、みんなのほうへと向き、



「お久しぶりですわね、みなさん」



 ふわりと笑い、再会のあいさつを述べた。



ども。

新キャラぞくぞくですね。さらには、ヴァンたちとキラたちが合流してしまって……。

さて、したこともない次回予告をしましょうかね。

次は、多分レインたちの出番はありませんね。主にキラたちの絡みだと思います。久々にコメディを入れようかなと。……コメディ、ちょっと苦手なんですよね。

はい、じゃあ頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします。

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