第八話 使い魔
ども。コウです。
なんか、毎日のように更新していたから、久しぶりのように感じます。
ということで、今回は使い魔です。……やっとファンタジーの重大要素が出てきたって感じですね。
と、いうことで、頑張って書いたので、楽しんでやってください。
「さて。これから使い魔の召喚をするけど、みんな集まってるよね?」
きめ細かい砂で敷き詰められたグラウンドで。キラはリリィを隣に従い、生徒たち全員を見渡す。
「んじゃ、この時間の流れを言っておくよ。まず一人ずつ使い魔を召喚する。で、終わったら何人かでグループ作って魔武器の生成。元の魔原石は後から取ってきて配るから。わかった?」
「しつもーん」
レインが手を挙げる。
「ん、何?」
「召喚のときに何か詠唱とかあるんスか?」
敬語とため口の中間あたりの口調だが、キラは特に気にした風もなく答える。
「いらないよ。魔法陣描くから」
一般的に、魔法陣と詠唱は同じものとされている。ゆえに、例外を除き、魔法陣を使っての魔法は詠唱は必要ないのだ。
「魔力はどれぐらい注げばいいんスか?」
「普通ぐらいかな。どんな使い魔が出るかっていうのは、魔力の量じゃなくて質で判断されるからね。まあ、注ぎたかったら注いでもいいけど、召喚した使い魔が凶暴な性格だったら、かなりヤバいことになるね」
「やばいって?」
今度はエミリアだ。
「そのまま。戦闘になるんだよ。まれに、だけど」
みんなも気をつけてね―、と付け加えると、その場にいる全員が緊張し始めた。
それを確認したキラは、リリィに何かを告げて、地面に魔法陣を書き始めた。
「っと。リリィが帰ってくるまで、少し雑談してていいよ。あっ、召喚する順番は出席番号順だから」
数分したら、リリィが木の箱をかかえてきた。
「ありがと、リリィ。……せっかくだから僕らも召喚しようか」
「どういたしまして。……それもそうですわね」
キラはリリィと少し話し合い、結論として全員の使い魔召喚と魔武器生成が終わってからしようということになった。
「んじゃ、出席番号順に並んで」
それから、順々に使い魔をしていく。
キラが思うのは、やはりS組といったところ。
比較的、ランクが高い。下位、中位、上位、最上位と四つに分けられているのだが、今やっているほとんどが上位を占めている。その中でもまた、三つのランクに分けられているのだが、それを差し引いてでも、優秀といえる。
その中でもだんとつだったのが、アゲハ、ミーナ、エミリア、レインの四人だった。
まずアゲハ。その正体はドラゴンであるがゆえに、結果も当然だと思えるが、それでも十分凄かった。というのも、召喚したのは『紅蓮の天狐』と称される、イフリートだったのだ。
イフリートといえば、炎属性を司る精霊の頂点に立つ存在。その火力は業火のごとく、すべての存在を塵と化してしまう。
まさに、アゲハに相性がピッタリな使い魔といえる。
ちなみに今、九尾の真紅の毛並みのキツネだったのが、子狐になって、なぜかキラに抱き締められている。
次にミーナ。キラが見る限りでは、勇者や巫女である、レインとエミリア、そしてアゲハに次いで魔力が多い。
この三人とは雲泥の差があるのだが、ただの何の筋書きもない人間にしては、異常ともいえるほどの量なのだ。そこらの教師など、足元にも及ばない。
そのためか魔力のコントロールがうまくできず、垂れ流しに魔法陣へと魔力を注いでいた。
そして召喚したのは、『水の女神』ことウンディーネ。
外見は子供でも、位的にはイフリートと同じ。水属性でなく、氷属性も使えるという、少しお得な精霊でもある。
なぜか今は、キラにすりすりと寄り添っているが。
そしてエミリア。巫女である彼女は、光属性という特定の人物にしか与えられない属性もあわせ持つ。
なので、キラはかなり楽しみだった。
そして現れたのは、『堕天使』ルシファー。一対の漆黒の翼と純白の翼をもつその女性に、キラは目を見張った。
堕天使というのは、光と闇のかけ橋となる存在。天使と悪魔は仲が悪いわけでもないが、それでも思想の違いから、たまに仲たがいしてしまうことがある。その仲介役といったところ。
だがそこはあまり関係ない。大切なのは、光属性と闇属性を持っているということ。
唯一の例外のキラは別として、人間の身で相反するこの二つの属性を身に宿すことは、不可能である。
しかも、だ。ルシファーは風属性も使えるようで、合わせれば三つの属性があるということになる。
キラは、あとで探りを入れてみるか、と考えていた。
最後にレイン。勇者である彼も、エミリアと同じような堕天使が出てくるのかと思った。
だが、実際にはそれを大きく上回っていた。
今、レインが魔法陣の上に立って魔力を流している。
キラほどではないが、その純度は目を見張るものがある。
「来いっ、おれのパートナー!」
今まで召喚してきた生徒達と比べられないほどの光があふれた。
そして――、
『我を召喚できる人間がいるとは思わなかったぞ』
現れたのは、終焉の魔獣。だが、その姿は禍々しいまでの漆黒の巨躯ではなく、純白の鱗、背に生えている毛や瞳が金色のドラゴン。
そして、虹色の粒子のような翼。
どれすべてをとっても終焉の魔獣だが、どれすべてをとっても救世主だった。
『双竜事変』――そう呼ばれる漆黒の竜と純白の竜の戦いが、今から二年ほど前に起こった。
異常、ともいえる事態。存在理由が破壊活動と人間の間で知られていたからだ。そのために、二匹が争う理由も動機もわからなかった。
だが、ひとつわかったことがある。純白のドラゴンは町を壊そうとせず、結果的に街を救った。
それが波紋となり、世界各地にこの『双竜事変』が語り継がれた。
以来、その純白のドラゴンは『救世主』と呼ばれるようになった。
そして――レインの目の前にそびえているのがまさに、救世主。
『ふむ……勇者か……興味深いな』
当たり前だが、一瞬でばれた。
そして周りにはクラスの生徒がいるわけで。それが当然聞こえてしまっているわけで。
かくして、レインが勇者だという事実が、翌日には学園中に知られるのである。
「……っ! おれと契約するのか?」
その純白のドラゴンの力を肌で感じたのか、レインは大粒の汗を流しながら強気に問う。
『……まあよかろう。しかし、貴公が我の期待にこたえなかったら……その命、もらいうけるぞ』
威圧感たっぷりに言い終えた純白のドラゴンの口から、拳大の雷球が出てくる。それは、何が来るかと身構えているレインの胸に吸い込まれていく。
『契約終了だ。ここにいると、われの存在が目立つようでな。そろそろ帰らせてもらう』
周りを眼だけでぐるりと見まわし、そういうと雷に包まれて消え去った。
その後、勇者という事実に興奮したクラスメイトに、もみくちゃにされるレインであった。
「なあんていうか、災難だね。いろいろ」
ついでにエミリアが巫女だということもばれてしまったため、レインと一緒にもみくちゃにされている。
その光景を見て、のんきに笑うキラ。リリィも口元を押さえて上品に笑っている。
「ですけど、意外でしたわね。レインが……救世主を出すとは」
「ま、予想していたことだけどね」
正直言うと、キラもこの事態に驚いていたわけだが、不思議とあり得ないという気持ちはなかった。それが、勇者だからという理由もあるかもしれないが――
なんとなく、感じたのだ。“運命”というものを。
「はあ……面倒なことが起こりますわね、これから」
「そこは……我慢するしかないかなぁ……。なんたって、不幸体質だから」
それから十数分。やっとクラスメイトから解放されたレインとエミリアは、疲れた顔をしてアゲハとミーナとともに魔武器の生成に取りかかっていた。
「それにしても、レインが勇者だなんて……」
ミーナは初め、レインとエミリアが勇者と巫女と分かった時点で敬語で話していたが、二人の懇願により元の通りに戻った。アゲハは知っていたので、まったく変わらなかったが。
「なんでこんなに早くばれるんだよ……」
深く沈みこんでいるレイン。隣でエミリアも、同じように落ち込んでいる。
二人とも、勇者と巫女として国王に招かれた時、学園の守護のために入学してくれと言われて編入したのだ。もちろん、二人は断るはずもなく、こうして編入してきたわけだが、勇者ということがばれてはめんどくさいという理由で、隠して行こうとした。
が、その志もむなしく、こうして登校初日でばれてしまったのだ。
これにより、不幸体質三号(キラが一号、リリィが二号)が誕生した。
「ここは開き直るしかないんじゃない? 私も当事者だけど」
不幸体質四号は苦笑いする。
「諦めが肝心」
アゲハが追い打ちをかけてその話は終わった。
「つか、おれらが武器作る必要あんのか?」
「キラ……先生に聞けばいいじゃない」
「んー……そうだな。じゃ、ちょっと聞いてくる」
魔武器生成をしようとしていたが、すでに武器のあるレインとエミリアはどうしていいかわからず、レインがキラの元へ向かった。
「アゲハちゃんもあるの?」
「ん」
「じゃあ、魔武器は?」
「いらない」
そっかぁ、とつぶやいたミーナは、黒曜石にも似た魔原石を握りしめ、魔力を送り始める。
魔武器生成には、本人の魔力で最適な武器に変わる魔原石があるため、詠唱というものを必要としない。
ミーナは魔原石にどんどん魔力を送っていく。
すると、黒いそれが白く輝き始め、徐々にその形を変えていく。
形状が変化し続けること数秒、ミーナの手には一丁の黒い拳銃があった。
「あぅ……なんか、物騒……」
分厚い自動式拳銃をまじまじと見ながら、顔をしかめる。
「しかも……使ったことないし」
「…………キラが、使ってた」
使えないのであれば、その拳銃は宝の持ち腐れとなる。しかも、それは本人の意思でないのだから性質が悪く、それを不憫に思ったアゲハは、キラが以前のウルフェンとの戦いのときに使っていたのを思い出し、そう助言する。
「本当!?」
「ほんと」
「やったぁ!!」
目を輝かせながら聞いてくるミーナを、少し無気味に思いながらアゲハはうなづくと、文字通りミーナは飛び跳ねた。
ぴょんぴょん飛び跳ねているミーナに首をかしげながら、喜んでいるのでいいかとアゲハはほっといた。
「ミーナはもう……って、何喜んでんだ?」
飛び跳ねるのをやめ、拳銃を両手で包み胸に抱いて恍惚とした顔のミーナを見て、少し引きびみにレインが聞くと、
「え? ……へへぇ」
恍惚とした顔がだらしなく弛んだ顔に変化した。
レインはだめだと判断してずっと一緒にいたアゲハに視線を移すが、さらっと無視される。
「……ま、いっか。アゲハは創らないのか?」
しまいにはよだれを垂らしてしまっているミーナを無視し、アゲハに尋ねる。
アゲハはフルフルと首を振って答えた。
「そっか。おれらは創らないことにしたから」
「そう」
放っておく二人に対して、エミリアは何とかミーナを現実に引き戻そうと奮闘しているため、会話に加わっていない。
「はあ……暇だ……」
「さて、と。みんな出来た?」
キラは全員を集め、そう問うと、元気のいい返事が返ってくる。
何事もなくてよかった、とうんうんとうなづき、言葉をつなげる。
「じゃ、これで今日の授業は終わりだから。解散」
予想以上に早い解散に喜ぶ生徒達は、次々と足早に帰っていく。
「で。君たちは何で残ってるのかな?」
「拳銃の扱い方を教えてほしいです!」
「暇。だから刀の扱いを……」
「いや、ノリで?」
「私もノリね」
「はあ……」
「まあいいじゃないですの」
「それもそうだね」
怒る理由もなく、キラとリリィは了承する。
そしてリリィは、キラが描いた魔法陣へと向かう。
「……使い魔の召喚をするんですか?」
「うん。この機会にね。今までちょっとできな状況にいたから」
キラがニコニコと答える目の先には、胸の前で両手を握り、魔力を魔法陣へと注ぎこんでいくリリィの姿。
リリィが一定の量を注ぎ終えると、魔法陣が目も開けられないほどの光を放つ。
予想していたキラは、ほかの四人とは違い、しっかり光の中で目を開けて見ていた。
すると突然、眩い光を、霧を晴らすがごとく炎が吹き荒れた。
本日何度目か、目を見開くキラ。なぜなら、その炎はリリィが本来持つ紅の色ではなく、光のように輝く黄金の炎。
黄金の炎は浄化の炎。それを意味するのは一つ。
――クゥォオオオオオオオオオオオオオオ!!
誇り高き炎の化身、不死鳥。
不死鳥といえば、おとぎ話などに出てくる神獣。実際にはイフリートと同じ強さを持つが、ただの一度も召喚されたことがないため、幻の生き物として扱われている。
七色に輝く羽、幾本にも分かれた黄金の尾、そして体中から燃え盛る黄金の炎。
誰がどう見ても、不死鳥だった。
『あなたが、私を呼んだのですか』
女神が話したかのような神々しいというべき声音で、不死鳥はリリィに話しかける。
「ええ、そうですわ。あなたが、私の使い魔ですか?」
幻の生き物が目の前だというのに、気遅れなどせず、逆に上から物を言う。
いつまでも変わらないリリィに、この状況であるにもかかわらず、キラはクスリと笑みをこぼす。
『ふふっ。予想通りの人ですね』
「あら、予想通りとは?」
『相手がどれだけ強いとしても、自分を貫き通せる“強さ”を持つ人間。まさにあなたがそれだからですよ』
「キラと同じようなことを言うのですね。……まあいいですわ。契約するのですか?」
『ええ。そのために呼んだのでしょう? 右手を出してください』
成人男性を軽くこえる大きな体を持っている不死鳥は、見る見るうちに縮み、ついには鶏ぐらいの大きさになっていた。
リリィが出した右手の甲に不死鳥が顔を近づけ、一粒に涙を垂らした。
「っ……!」
その涙はリリィの手の甲を焼き、小さな赤い魔法陣をかたどった。
リリィは、焼かれるチリッとした痛さに目を細めるが、痛みが治まると何もないような顔に戻る。
『これで契約完了です。あなたの体の中に、その魔法陣で異空間を創りました。普通はその中にいるので、念話で話しかけて召喚してください』
「それはまた……便利なものですね」
『あと、名前をください。呼びづらいでしょう?』
「そうですわね。それでは……フェリ、というのはどうでしょう」
『わかりました。では、必要な時に呼んでください』
名前が気に入ったのか、一度大きくうなづくと、フェリは飛びこむようにしてリリィの手の甲の魔法陣に飛び込み、入っていった。
「なんていうか、ここでしょぼいの出すとお笑もんだよね」
次はキラなわけだが、みなそれぞれが規格外の使い魔を召喚している。
紅蓮の天狐に水の女神、堕天使と救世主、果ては不死鳥。
キラ意外に人がいればこういうだろう。化け物集団、と。
言い方は悪いが、それだけ強いということを認められているということだ。
あり得ない話だが、キラがここで普通の犬などを出したら、本当にシャレにならない。
そういえるほど、キラへのプレッシャーは強い。誰もかけているわけではないが。
「キラに限ってそれはあり得ませんわ」
「ん。キラ、この中で一番強い」
「おあ。一応おれは勇者だぞ」
「ふん! 勇者が何? キラ様のほうが断然強いに決まってるの!」
「あんた、ミーナに嫌われてるわね、完全に」
ギャーギャー騒いでいる五人を背に、キラは魔法陣に向かった。
魔法陣に立ったキラは、息を、吸う。
必要なのは魔力の質。水と同じように不純物が多い魔力は、魔法を使うことによって、魔力同士の摩擦により、新たな純粋な魔力が生まれる。
使い古されたキラの魔力は、純粋なものしかない。
今度は、感覚を研ぎ澄ます。
それでもまだ不純なものがあるキラの魔力。だが、キラは生き延びることを目的として身につけた技がある。
純粋な魔力だけを放出すること、だ。
これによって、キラが使う魔法は、どれもが爆発的に威力が大きくなった。
反則的な条件があり、かつただ魔力を流すだけといっても、キラは手を抜かない。
手を抜けば、これからともに生き、戦いぬいていく使い魔に失礼だ。
だから全力を。
自身の歯車をかみ合わせたキラは、魔法陣に魔力を流し始めた。
感嘆。ただそれだけが、五人の間に流れた。
キラから浮き上がる青白いオーラ。それは、水のように静かで、オーロラのように綺麗。
そこから、すべてを包み込むような、そんな安心感。
そのオーラは、徐々にキラの足元の魔法陣へと流れていく。
しばらく流れ、そして次の瞬間。
リリィと同じように、目が焼かれるかと思えるほどの光があふれた。
「ほう……妾を呼び出すとは……力をつけたんじゃのう? キラ」
そして、キラの目の前にいたのは、長い銀髪少女だった。
なんか、自分でも思った以上にすごい使い魔を出してしまったなと思いました。多分、後悔はしてません。扱いにくいでしょうが。
最後らへん、付け加えたように書いてしまったのですが、僕の力ではこれが精一杯なので、すいません。何とか頑張っていきます。
ではこの辺で。次からもよろしくお願いします。




