16 ラッシュスタイル
青い炎が俺の拳にまとわりついている。
全身に魔力をまとうよりも、一点に集中して覆う方がイメージが作りやすい。
だから、レイヴンみたいに体中に魔力をまとうのは無理でも、これなら――。
「今の俺にも、できる」
俺は魔物の本体と分裂体に向き直った。
「むう、それは――」
「追い詰めてくれたおかげで、身に付けられたみたいだ。礼を言うよ」
俺は右こぶしに青い炎をまとったまま、奴らに近づく。
ごうっ!
槍枝が放たれた。
それを俺は右手で払いのける。
じゅうっ……。
一瞬にして槍枝は消滅した。
「なんという魔力濃度――」
魔物が息を飲んだ。
「このまま終わらせる」
「笑わせるな」
言うなり、魔物は大きく後方に跳躍した。
「拳に魔力をまとったところで、その射程はせいぜい1,2メートルだろう。距離を取ればどうということはない」
「……!」
確かに、そうだ。
現状でこの戦闘スタイル――仮に【デモノギア拳撃形態】とでも呼ぼうか――は射程が短すぎる。
かといって、魔法攻撃は効果が薄い。
現状で一番通用しそうなのは、やっぱりこの【デモノギア】の力だ。
破壊力が格段に高い。
こいつを当てられれば――。
と、そのとき俺の頭にひらめくものがあった。
その場に足を止め、拳を構える。
「なんだ? そんな位置からでは届かんぞ」
「どうかな――」
俺はニヤリと笑い、
「伸びろ――!」
拳をまっすぐに突き出す。
拳に宿った魔力がひときわまぶしい輝きを放つ。
そして、
ぐんっ!
「なんだと!?」
魔物の、驚愕の声。
俺が突き出した右手から、青い光が槍となって一直線に伸びる。
そう、これは奴の分裂体の攻撃方法である【枝槍】のイメージだ。
青く輝く『光の槍』が、魔物と分裂体へと向かっていく――。
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