15 試行錯誤
「【バニッシュフレア】!」
俺の放った火炎が分裂体を燃やし尽くす。
が、
ごうっ!
また別の場所から枝槍が放たれた。
「間髪入れずに次の分裂体を作ってきた――」
俺はそれを避けつつ、風系統の魔法で二体目をバラバラにする。
が、予想通りすぐに三体目の攻撃が来た。
「埒が明かないな」
俺は大きく後退する。
分裂体は一体ずつしか生み出せないのか、俺が破壊した瞬間に次のやつが襲ってくる。
とはいえ、それもフェイントで――本当は複数体を同時に生み出せるのに、一体ずつしか生み出せないフリをしているのかもしれない。
俺の油断を誘うために。
「――やるか、あれ」
俺はキッと本体を分裂体をにらみつける。
一か八かだけど、試す価値はある。
レイヴンが見せてくれた、あの術式を。
すでに試練を二つくぐっている俺なら、多少なりとも会得できているかもしれない。
少なくともレイヴンが一度見せてくれたおかげで、脳内にイメージはできている。
後はそれを俺が、どれだけ鮮明に思い浮かべ、具現化できるかだ。
この本番というシチュエーションで、俺の集中力は普段よりも高まっている。
その集中力に賭ける――!
「はああああああああああああっ……!」
ボウッ!
俺の周囲から魔力のオーラが立ち上る。
青い炎に似たオーラ。
「違う――」
これじゃ、ただ魔力を高めただけだ。
奴が使っているのは『デモノギア』を【昇華】した術式のはず。
俺も、もっと――。
ごうっ!
ちいっ、こっちが術式を試している間にも攻撃してくる!
当たり前の話ではあるけど、これじゃ術に集中というわけにはいかない。
「【デッドリィボルト】!」
稲妻で槍を撃ち落としつつ、俺はさらに後退する。
もう一度、イメージを形作る。
魔力を吹き上がらせるんじゃない。
放出じゃない。
身にまとうイメージ――。
ボウッ……!
そのとき、魔力のオーラの一部が拳にまとわりついた。
「ん、これは――?」
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