14 最終試練
「いくぞ!」
俺は地を蹴り、突進した。
近接戦闘は決して得意じゃないけど、遠距離攻撃一辺倒では、どうしても攻撃が単調になる。
近接攻撃はあくまでもフェイント。
それでも隙あらば奴を倒す、という気持ちを込め、両手に魔力剣を生み出す。
「二刀流か。中々の動きだが――まだまだ遅い」
魔物が針金のように細い手を突き出した。
どんっ!
「ぐっ……!?」
俺の体は何かにぶつかって、跳ね返される。
目に見えない壁が前方にあるようだ。
「空間操作魔法か……」
「最上級魔法でも容易には破れぬ壁だ」
「だったら――」
俺はさらに魔力を込める。
左右の魔力剣を融合させ、一本の剣に。
そして、
ざんっ!
倍の威力の魔力剣で壁を切り裂いた。
「ほう……ここまで魔力が上がったか!」
魔物は感心したように叫んだ。
「だが、まだまだ」
ふたたび右手を突き出す。
さらに見えない壁が出現したらしい。
俺は融合した魔力剣を振るって壁を切り裂くが、奴はさらに壁を出現させる。
これでは簡単に近づけない。
「なら、これで――」
俺は再び前進する。
見えない壁を魔力剣で斬り裂き、
「【デッドリィボルト】!」
その瞬間、さらに雷撃を繰り出した。
「近接と遠距離を続けざまに使うか! ……ぐおっ」
雷撃に直撃され、初めてダメージを受けたようにうめく魔物。
「ならば、さらに上の力を見せよう」
ずずずず……。
魔物の体から無数の枝が生えてきた。
大樹のような姿に変化していく。
これがこいつの本性なのか……!?
「姿が変わろうと関係ない。このまま――」
勢いに乗って奴に斬りかかる。
「……!?」
その瞬間、背後に殺気を感じて、俺は横に跳んだ。
ごうっ!
さっきまで俺が居た地点を、槍のように尖った枝が通過する。
「よくかわしたな」
そこにも魔物がいた。
新手――いや、違う。
こいつ、自分の体を分裂できるのか。
「一体でも強いのに……厄介な奴だ」
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