13 最終魔人
「もしかしたら、最初の二体は小手調べみたいな意味合いなのか?」
「奴らは最低限の実力を持っているかどうかを振り分けるための役割だ。あまりにも弱すぎては、我と戦う資格などないからな」
現れたのは、針金のように細い手足を持つ魔族だった。
体も丸く、頭部には赤い瞳が三つついた異形――。
「お前を倒せば、儀式を完全にクリアしたってことでいいのか?」
「左様」
うなずく魔物。
「人間ごときに、そんなことは不可能だが――な」
そして、戦いが始まった。
「が、がはっ……」
俺はその場に崩れ落ちた。
強い――!
最終儀式の魔物は信じられない強さだった。
レイヴンが『危険』だと言った意味が、よく分かる。
「最初の二つの試練と……違い過ぎだろ……」
ハアハアと息を荒げながら、立ち上がる俺。
実際、こんな強い奴と戦うのは初めてだ。
あのレスティアより上なんじゃないだろうか?
そして、決勝で戦ったときのマルスよりも。
「まだ生きているのか。さすがにこの試練を受けるだけのことはある」
魔物が言った。
「……お前を倒せば、試練は終わりなのか? それとも、まだ上がいるのか?」
「私が最後だ」
俺の問いに答える魔物。
「見事、倒してみせよ。さすれば、お前は魔王の術式を得ることができよう」
「魔王の……術式」
俺はゴクリと息を飲んだ。
「そうだ、俺がこれから相手をするのは『主人公』と『魔王』なんだ……だったら、俺だって魔王級の力くらいは手に入れないとな」
魔力を高める。
ごうっ!
周囲の空間が焼け焦げるほどの魔力――。
「……あれ? もしかして、以前よりも俺の魔力が上がってる……?」
「試練を二つ潜り抜けたからな」
魔物が言った。
「一時的にではあるが、お前の魔力は増大している。ただし――試練を最後まで潜り抜けられなければ、その魔力はお前に定着しない」
「一時的でも魔力が上がるのはありがたいよ」
俺はニヤリと笑って、魔物を見据えた。
「この力で……お前を倒す!」
「そう上手くいくかな?」
さあ、バトル再開だ。
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