表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/144

7 想いは、揺れて


「ねえ、誓ってよ――」


 マチルダが顔を近づけてくる。


 もしかして、これって……キスしてほしい、ってことか!?


 前世ではこんなシチュエーションを経験したことがなくて、俺は完全にフリーズしていた。


 マチルダの顔がどんどん近づいてくる。


 ぷるんとした柔らかそうな唇が俺の唇に近づいてくる。


 このままでは触れてしまう。


 俺の、初めての――。


「レイヴン様!?」


 と、背後から甲高い悲鳴のような声でいきなり呼びかけられた。


「えっ!?」


 俺たちはその場で固まりつつ、声の主の方を振り返る。


「キサラ……?」


 そう、そこにはキサラが立っていた。


「ご、ごめんなさい、邪魔してしまって……」

「キサラ――」


 どうして彼女がここに現れたんだ?


「……何か用かしら、キサラ?」


 マチルダの表情が険しい。


 彼女とキサラは普段仲がいいから、こんな表情をするのは初めて見た。


「っ……! も、申し訳ありません、マチルダ様……」


 キサラは泣きそうな顔をしていた。


「あんたは大切な友だちだけど……でも、あたしにだって譲れないものはあるわ」


 マチルダの態度がいつになく厳しい。


「大切なものだってある。たとえキサラが相手でも――退かないから」

「私は……すみません、つい……気になって、ついてきてしまって……この家に仕える者として……あ、あるまじき行為でした……」


 キサラはしどろもどろだ。


 その目に涙がにじんでいく。


 たちまち決壊し、頬に涙が伝った。


「キサラ……!」

「そうですよね……お二人は婚約者なんだもの……だから、私なんて……」


 泣きながら去っていくキサラ。


 それを追おうとする俺。


「……あたしよりキサラを追いかけるんだ……?」


 マチルダが怒ったような顔で俺をにらんでいる。


「……ごめん」


 でも、泣いていたキサラを放っておけなかった。


 俺は、ひどい罪悪感を抱えながらも、キサラを追いかけていった。


 マチルダを置き去りにして……。




「ごめん、驚かせて」

「レイヴン様は何も悪くありません。私が……」


 キサラが寂しげな顔で首を何度も左右に振った。


「私が勝手にショックを受けて、逃げて……申し訳ありませんでした」

「キサラ……?」

「でも、嫌……だったん……です……」


 キサラは喉から振り絞るような声でうめいた。


「あなたが遠くに行ってしまうのが……お傍にいられなくなるのが……」

「キサラ……」

「いいえ、私は……嫉妬しているんです……誰よりもあなたの側にいられるマチルダ様に……」


 顔を上げたキサラは潤んだ瞳で俺を見つめている。


「レイヴン様を、渡したくないです――」

【読んでくださった方へのお願い】

面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!

評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!


評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある

☆☆☆☆☆をポチっと押すことで

★★★★★になり評価されます!

未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ