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4 敵か、友か

 SIDE マルス



「あなたの元に現れたのは魔族です。決して言うことを聞いてはいけません、マルス様」


 その日、放課後に話しかけてきたのはセレンだった。


「心理的な揺さぶりに長けた魔族です。おそらくあなたの心に迷いが生じるようなことを吹き込んだのではありませんか?」

「っ……!」


 マルスは思わず絶句した。


 まさに、その通りだ。


 ディフォールと話して以来。彼の心の中には嵐が吹き荒れている。


 レイヴンに対する思いが歪み、ねじれ、荒れているのを感じる。


 それは自分でもどうしようもない感情のうねりだった。


「あなたは以前にこう言いました。レイヴン・ドラクセルは敵ではなく友だと……今もその気持ちは変わりませんか?」

「っ……!」


 マルスは口ごもった。


「もし友だと思うなら、私があなたに新たな力を与えましょう。友としてのレイヴンを凌駕する力を。ですが」


 セレンが顔を伏せる。


「もし敵と思うなら……私にはどうしようもありません。そのときは、魔族ディフォールの元を訪れた方がいいかもしれませんね」

「僕は――」


 自分はレイヴンのことをどう思っているのだろう?


 友か、敵か?


 以前ならこの問いに即答できた。


 彼は素晴らしい友であり、尊敬すべき友であり、憧れの存在だ。


 だけど、今は――。


「あなたの味方は、この私です。魔族などではありません」


 セレンが言った。


「神は――いつもあなたを見ていますよ。選ばれた者であるあなたを。世界の主人公たるあなたを」


 主人公……本当にそうだろうか?


 もし、そういえる存在がいるとしたら、それはレイヴンではないだろうか?


 マルスの気持ちはすっきりしなかった。




「話ってなんだい、レイヴンくん」


 数日後、マルスはレイヴンと二人で話していた。


 レイヴンの方から『話がある』と呼び出されたのだ。


「ああ、ちょっと進路のことで悩んでてさ……お前に意見を聞きたいんだ」

「僕に?」


 マルスは自嘲気味に笑った。


「君なら自分の意志で決められるだろうに」

「……なんかちょっと刺々しくないか、お前」


 レイヴンがわずかに眉を寄せた。


「いつもなら『僕でよければ喜んで』とか言いそうなのに」

「君は、僕を過大評価していないか?」


 マルスはレイヴンをにらんだ。


「本当の僕は君が思うほど強くもないし、性格がいいわけでもないよ」

「いや、お前は強いし、いい奴だよ」


 レイヴンがにっこりと笑った。


 邪気のない笑顔だった。


 今の言葉が本心からだと分かる――爽やかな笑顔。


 その爽やかさが、今のマルスには不快だった。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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