1 今後について
決勝戦を終えてから、俺はずっとマルスのことを考えていた。
俺は、マルスに勝った。
だけど、それで俺がマルスに殺されるという破滅ルートを回避できるか、といえば、話はそう簡単じゃない。
マルスはこれから先、さらに成長していくだろう。
さらにさらに強くなっていくだろう。
もちろん、現時点では俺とマルスは友人関係にあるし、自分で言うのもなんだけど、結構いい関係を築けていると思う。
それに――。
「破滅ルートとか関係なしに、あいつとはこれからも友だちでいたいんだよな……」
マルスとは戦いたくない。
殺されたくないのは当然だけど、あいつと戦うルートは嫌だ――。
思い悩みながら数日が過ぎたある日のこと、学園に俺を訪ねてきた者がいた。
「学内トーナメントで優勝したそうだな。おめでとう。さすがだな」
バーンズ王国第一魔法師団長クーデリア・コートニー。
以前に俺を魔法師団に勧誘してきた女だ。
来たるべき『魔王大戦』に向けて、俺は最終的に魔法師団に入るべきじゃないかと考え始めている。
ゲーム本編では魔法師団内で内紛があり、結果として魔王が復活した際に、あっさりと魔法師団は全滅してしまう。
まあ、クーデリア自体はその時点で魔法師団から離れているわけだが。
「ありがとうございます、クーデリアさん」
「で、どうだ? 気持ちは固まったか?」
クーデリアは単刀直入にたずねてきた。
「私たち魔法師団に入る気持ちだ」
「それは――」
「お前が優勝したことで、我々はますますお前が欲しくなった。あのときの問いをもう一度させてもらう。我らの魔法師団に入らないか、レイヴン・ドラクセル」
クーデリアが俺を見つめる。
その瞳は強い光を放っていた。
期待に満ちた光――。
明らかに、俺を戦力として欲しがっている感じだ。
社交辞令とかじゃなく、現実的に交渉しに来た――。
「俺は……」
ごくりと喉を鳴らす。
さあ、俺はどう決断すべきか。
「……少し考えさせてください」
やっぱりすぐには決められない。
だって将来のことだしな。
それに、今まではマルスとの決戦のことで頭がいっぱいだった。
他のことを考える余裕なんてなかった。
その戦いが終わり――やっと他のことを考えられそうな気がする。
「分かった。ただ、今度は私も具体的な交渉をしに来たつもりだからな。良い返事を待っているし、期待している」
クーデリアが俺の肩にポンと手を置いた。
「ぜひ一緒に働こう。待っているぞ」
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