7 覚醒するマルス
稲妻と水流が左右からマルスに迫る――。
そのいずれもが最上級の魔法のようだ。
さすがはレイヴンだった。
並の術者では習得すら困難な最上級魔法を二つ同時に放つとは。
「やっぱり君は天才だ……それでこそレイヴン・ドラクセルだよ……」
マルスはうなだれ、弱々しくうめく。
才能ではとても勝てない。
凡人と天才の超えられない壁――。
結局、この決勝戦はそれを実感させられるだけの戦いだった。
才能の差に打ちのめされ続ける戦いだった。
彼と出会ってから、ずっとそうだった。
選ばれた者と選ばれなかった者。
持っている者と持っていない者。
神は――運命は残酷だ。
最初から優れた者や勝者というものは決められているのかもしれない。
ならば、敗者側に生まれた人間は何をやっても無駄なのだろうか?
「――違う」
マルスはゆっくりと顔を上げた。
諦めない。
挑み続ける。
それは天才にも凡人にも等しく許された権利であり、最大の武器だ。
だから――マルスは挑み続ける。
たとえ相手が、どれほど天才的な魔術師でも。
凡人の自分がどこまで届くか分からないが、挑み続ける。
諦めずに。
――そうだ、お前はこの世界の『主人公』なのだ。
――最後には必ず勝つ。
――それがお前に定められた運命だ。
――その運命を信じろ。
――そして勝て。
頭の中に突然無数の声が響いた。
以前にも聞いたことがあるような声。
そう【神】の声――。
「おおおおおおおおおおおおおおおっ……!」
魔力が、吹き上がった。
「もっとだ……僕の中に眠る、すべての力よ――」
命そのものを絞り出すように。
マルスは魔力を振り絞った。
――そして。
ばしゅっ……!
変化は、突然だった。
彼の魔力が虹色の光を帯びたかと思うと、押し寄せる水流と雷撃を一瞬で消し去った――。
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