1 悪役と主人公、対峙する
「これより学内トーナメント決勝戦、魔法学園一年A組レイヴン・ドラクセルと同じく一年A組マルス・ボードウィンの試合を行う。両者、闘技場へ」
審判役の教官に促され、俺とマルスはそれぞれ闘技場に上がった。
十メートルほどの距離を置いて向かい合う。
【魔弾】を得意とし、中距離での戦いがメインのマルスと、近距離から遠距離までまんべんなく戦える俺……とはいえ、接近戦はそれほど得意じゃない。
俺たちの戦いは中距離から遠距離戦になるだろう。
「――始め!」
教官の合図で試合が始まった。
「【身体強化】」
どんっ!
床を蹴り、マルスが猛スピードで突進してきた。
「何……!?」
いきなり接近戦狙い――?
マルスのこんな戦い方を見るのは初めてだった。
いや、ゲームの戦闘パートではよく見かけた光景だ。
けれど、俺にとってマルスはゲームのキャラクターではなく現実の世界に生きる人間だった。
だから、失念していたんだ。
マルスの戦闘パターンは、基本的にゲームに準拠したものだ、って。
「ちいっ……【フライト】!」
意表を突かれて反応が遅れたけど、俺はすぐに気持ちを立て直した。
飛行呪文でマルスから距離を取る。
「【フライト】!」
マルスも飛行魔法を発動し、俺を追いかけてきた。
「お前……この魔法も習得していたのか……!? いつの間に……」
「僕だって成長するってことさ!」
マルスが得意の【魔弾】を放ってきた。
俺は【シールド】でそれを受け止める――。
「何……!?」
マルスの姿が突然消えた。
俺がマルスから【魔弾】に視線を移した一瞬のうちに。
「【ゴッドサンダーボルト】!」
「!?」
横合いから放たれた雷撃に、俺は【シールド】を追加で一枚張った。
ばちっ、ばちばちぃっ!
さすがに俺の魔力で作った【シールド】を貫通されることはなく、雷撃は飛び散った。
「……いつの間にそんな魔法を覚えたんだ?」
マルスが使えるのは主に魔力弾を放つ【魔弾】の魔法と、後は二、三の下級魔法だけのはず。
だが今使ってみせた雷撃魔法【ゴッドサンダーボルト】は上級の魔法である。
「さっきも言っただろ。僕だって――成長するってことさ」
普段はおとなしいマルスの顔に、今は闘志がみなぎっていた。
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