18 キサラとの語らい、そして決勝当日
「ふふ、それって格好つけたいってことですか?」
「まあ、そうだな」
クスリと笑うキサラに、俺は苦笑いした。
「見栄っ張りかな?」
「どうでしょう? 私はいいと思いますよ、そういうの。なんだか『男の子』って感じがします」
「じゃあ、『格好いい俺』を見せるよ。あいつに」
俺はキサラに言った。
「私、応援してます」
キサラが俺を見つめた。
「私は途中で負けてしまいましたが……ずっと応援してきましたので。これからも、ずっと」
「ありがとう、キサラ」
俺は彼女を見つめ返した。
「勝たなきゃな。君のためにも」
「っ……!」
とたんにキサラが両手で頬を押さえた。
あれ、なんだか顔が赤いぞ……?
「レイヴン様、『君のために』って言ってくれた……『君のために』って……」
「キサラ?」
「うううう嬉しいよう……」
めちゃくちゃ顔がにやけてる!
翌日の朝、ちょうど校門のところでマルスと出くわした。
よりによって今日は――あんまり顔を合わせたくない気分だ。
マルスに対して悪い感情なんてないけど、試合前だしな……。
それは向こうも同じだったのか、困惑したような焦ったような、なんともいえない表情をしている。
「よ、よう」
「お、おはよう」
俺たちはぎこちない挨拶を交わした。
……いや、そこまで緊張する必要はないか。
試合は試合、今は今だ。
「はは」
俺は自然と笑っていた。
「? どうしたの?」
キョトンとするマルス。
「いや、まだ試合前なんだし、普通に話してもいいよな、って思ってさ」
「……君は自然体だね。僕は緊張しっぱなしだよ」
マルスがため息をついた。
ぎこちない表情に、笑みはなかった。
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