13 【神】に関する伝承
巨大な長方形の石板――。
描かれている【神】の姿は、極めてシンプルな姿をしていた。
「もうちょっとこう……威厳があったり、かっこよかったりしないのか……?」
「そうでしょうか? 非常にこう……ほとばしるセンスの良さを感じませんか?」
レイナードはなぜか目をキラキラさせている。
こいつにとっては、これがカッコいいデザインということか?
まあ、人の感じ方はそれぞれだけど――。
「【神】と魔王はどっちが勝ったんだ?」
俺は単刀直入に聞いてみた。
魔王教団にとっては答えづらい質問かもしれない。
「【神】です」
――と思ったら、即答だった。
「魔王より強いのか、【神】って」
「強い弱いという次元で語るのは難しいかと思います。【神】はあらゆる事象を規定し、同時に無効化することもできます。対抗できる者は存在しません」
レイナードが説明する。
「対抗できる者は……存在しない?」
俺はその言葉を繰り返した。
「本当に対抗手段はないのか?」
「ありません。少なくとも我ら教団の伝承にはそうあります」
と、レイナード。
「じゃあ、魔王はどうなんだ? 神と戦っていたなら、そいつへの対抗手段なり何らかの策を持ってたんじゃないのか?」
「魔王様の御心は我らごときには図りかねます」
レイナードが首を左右に振った。
「……先ほどから妙に【神】への対抗手段にこだわりますね?」
「ただの知的好奇心だ」
「それだけですか?」
レイナードは疑わしそうに俺を見詰めている。
「本当だって。でも、まあ、対抗手段はない……少なくともお前たちは知らない、ってことなんだよな?」
もし教団でそれを教えてもらえるなら一番よかったんだけど。
分からない、ということなら、俺が自分で見つけるしかないだろう。
いずれにせよ、俺が破滅ルートを回避し、ゲームシナリオとは違う運命を実現させようと思ったら――遅かれ早かれ、【神】と衝突する。
そんな気がするんだ。
「これ以外に【神】に関する資料とか情報はないのか?」
「いや、やっぱりめちゃくちゃ食いついてるじゃないですか!?」
「そうかなぁ……」
「明らかに執着心が見えますよ」
「もしかして、この気持ちは……恋?」
「はいはい」
軽くいなされた。
ここはもうちょっとこう……なんというか、ツッコミ的な反応をされないと寂しい。
――と、そのときだった。
「し、侵入者だ!」
数人の男たちが部屋の中に入ってきた。
いずれも血まみれで、何者かと交戦状態にあった様子だ。
「侵入者?」
眉を寄せる俺の前で、部屋の扉が吹き飛んだ。
かつ、かつ、と向こうから誰かが歩いてくる。
「君は――」
俺はその人物を見つめた。
魔法師団のクーデリアだ――。
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