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8 邪教の国アビス

 アーヴィスはあたしが殺した――。


 レスティアはそう言っていた。


 そして彼女は次代の魔王に成り代わったのだ、と。


 本来のゲームシナリオならラスボスになるであろう魔王アーヴィスが殺された……。


 それが本当なら、この世界の運命はシナリオとはまったく異なる方向に進むのかもしれない。


 あるいは魔王という役割がアーヴィスからレスティアに入れ替わっただけで、後はシナリオ通りに進むのか。


 どちらにせよ、アーヴィスの情報を得たい。


 そこからレスティアの情報も得られるだろう。


 いずれ彼女に敵対するときが来るかもしれない。


 そのときに備え、できるだけ情報を集めておくんだ。


 そう考え、俺はアビス王国にやって来た。


 ゲームではこの国の辺境にある神殿から魔王が復活するのだ。


 その魔王復活の儀式を行ったのが、誰あろうレイヴン・ドラクセルである。


 もちろん、俺はそんなことをするつもりはないが。


 ただ、レスティアがアーヴィスを殺したのであれば、そもそもそんなシナリオ自体が成り立たなくなる。


 彼女が魔王アーヴィスを殺したというのが事実なのか。


 神殿に行けば、なんらかの情報が得られるかもしれない。


 根拠が薄い気もしたけど、他にヒントらしいヒントがない以上、まず行ってみることだ――そう思って、俺は王国辺境まで一気に飛んだ。


 俺の超絶魔力を活かした飛行魔法なら、まさしくひとっ飛びだった。


「ここだ……」


 魔王神殿。


 ゲーム内で見たビジュアルそのままの古びた神殿が、俺の目の前にあった。


 神殿には巡礼者らしき人たちが、何人か行き来していた。


 俺も彼らに交じって神殿に入るか――。


 神殿の前まで来たところで、


「お前か。バームゲイルを殺した奴は」


 神殿から現れた男が俺にたずねる。


 バームゲイル。


 かつて俺が討伐した高位魔族の名前だ。


「……こいつ」


 その名前を知っているということは、当然ただの人間ではないだろう。


 おそらくは高位魔族。


 ただ、奴の質問に馬鹿正直に答える必要はない。


「バーム……ゲイル? なんの話だ?」

「あくまでも、しらばっくれる気か? ええ?」


 その魔族はねめつけるように俺をにらんでくる。


 好戦的な雰囲気だった。


 戦いは避けられないかもしれない。


 俺はとっさに周囲を見回す。


 巻き添えは避けたい。


 ならば――、


「場所を変えよう」


 俺は魔族を促した。


 倒すのは難しくない。


 けれど、まずこいつから情報を得たい。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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