表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/144

12 成長する主人公

    ※


 強い――。


 マルスは戦慄とともに対戦相手のブライ・ザックを見つめていた。


 さすがは学園の帝王と呼ばれるだけのことはある。


 マルスも学園に入り、授業で鍛えられ、学内トーナメントでも強敵たちと相まみえ、その経験によって強くなった自信がある。


 けれど、ブライは別格といっていい強さだった。


 魔力でも、そして魔法戦闘の経験値や引き出しの多さでも。


(とても今の僕が敵う相手じゃない――)


 弱気がこみ上げてくる。


 先ほどの一撃を受けて、マルスのライフポイントはすでに200ほど。


 次にブライの一撃を受ければ、確実に0になるだろう。


「もう一発食らったら負け――か」


 逆に相手のライフはほぼ無傷だ。


 このボロボロの状態から、一撃も食らわずに相手のライフを0にしない限り、マルスの勝ちはない。


(無理だ――)


 弱気が、諦めの気持ちへと変化する。


「……いや、無理じゃない」


 すぐにそんな自分を叱咤した。


 昔の自分なら、きっとすぐに諦めていただろう。


 けれど、今は違う。


「なんだ、まだ目が死んでねーな」


 ブライが笑った。


「諦めろよ。こっからお前が逆転する目はねーよ」

「諦めない――」


 マルスはブライをにらみつける。


「約束したんだ……彼と決勝を戦う、って」

「ほう?」

「僕は約束を――友だちとの約束を、守る!」

「はっ! 吠えてんじゃねーよ、雑魚が!」


 ごうっ!


 ブライの全身から魔力のオーラが立ち上る。


 今まで以上の強大な魔力――。


 だが、マルスはひるまなかった。


 魔力でも、魔法戦闘の経験値や引き出しの多さでも負けている。


 けれどマルスがたった一つ――ブライに勝っているものがある。


「成長性だ……!」


 魔力は、成長する。


 それは主に精神的な要素によって。


 そして、この『成長性』に関しては、マルスは学園の誰よりも優れていた。


 学園の生徒たちは定期的に己の魔力の測定を行う。


 魔力とは『意志の力』に起因する能力であり、本人の精神の状態によって大きく上下動する。


 その数値が――マルスは入学以来、飛躍的に伸びているのだ。


「魔力とは意志の力……だから、この試合の最中にだって、僕の魔力は成長している」

「ふん、そんな短期間で成長する魔力なんて、たかが知れてる!」

「どうかな……」


 嘲笑するブライを、マルスは静かに見据えた。


「なら、今見せてやる。僕の魔力の成長性を――」


 ごうっ!


 マルスの全身から、今までよりはるかに強大な魔力のオーラが立ち上る――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ