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6 準決勝第1試合

「今日はよろしくね、レイヴンくん」

「よろしく」


 軽い調子で言ってくるレスティアに、俺は微笑を返した。


 とはいえ、内心では気持ちが張り詰めている。


 こいつは魔王の化身だ。


 ゲームシナリオでは第一部の『魔法学園編』が終わった後、第二部で『魔王大戦』を起こし、全世界に攻め入ってくる魔族の軍団の主――。


 当然、打ち解けられるような相手じゃない。


「目が笑ってないね。真剣」


 レスティアが俺を見つめた。


「試合だからな」

「うん、真剣な君も悪くないね。素敵よ」


 ちゅっ、と投げキスをするレスティア。


 随分と余裕のようだ。


「そんなに緊張しないでよ。別に」


 レスティアの笑みが深まる。


 その笑みの雰囲気が、変わる。


「今すぐ『魔王大戦』が始まるわけじゃないよ?」

「……!」


 俺は表情を引き締めた。


「それは――いずれ人間の世界に攻め入る、ってことだろ」

「さあ? 今は試合を楽しみましょ?」


 レスティアが肩をすくめた。


 どうにも捉えどころがない女だ。


 とはいえ、今は試合に集中すべきかもしれない。


 今日は、レスティアを相手に試したいことがあるし、な。




「準決勝第一試合、レイヴンVSレスティア――始め!」


 教官の合図とともに、俺とレスティアは同時に魔力を高めた。


 ボウッ!


 爆発するような音とともに、俺たちの体はそれぞれ魔力のオーラに包まれる。


 俺は黄金、レスティアは漆黒。


 対照的な色合いだ。


「君の魔力……前より上がってるね」


 レスティアが微笑んだ。


「俺だって実戦経験を積んでるし、魔力の鍛錬だって毎日やってるからな」

「努力家なんだ? 普通、天才ってもっとサボりがちだと思うんだけどなー」

「人によりけりだろ。俺は勤勉なんだよ」


 レスティアの軽口に俺も軽口で返す。


 そうしている間にも、魔力はさらに高まっていく。


 レスティアは俺の魔力のことを褒めたけど、彼女の魔力もすさまじい。


 こうして対峙しているだけで全身が押しつぶされそうな威圧感を覚える。


「これが――本気のレスティアか……!?」


 さすがは魔王の化身だけある。


 そんな魔王と、試合とはいえ『勝負』ができる機会は貴重だ。


 今後、俺が破滅の運命を回避するために、魔王は重要な存在となる。


 いずれ雌雄を決するときが来るだろうけど、今はまだそうじゃない。


 だから、今のうちに彼女と力比べができるのはラッキーだった。


「【バニッシュフレア】」

「【サタンシールド】」


 俺が放った火炎呪文をレスティアはあっさりと防ぐ。


「そのレベルの呪文を小手調べで使えるんだ? 本当、すごいね。人間とは思えない――」

「どっちが……!」


 俺は奥歯を噛みしめ、レスティアを見据える。


 やっぱり半端な呪文は通じない。


 なら、今度は――。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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