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5 決勝で会おう

「【螺旋魔弾(らせんまだん)】!」


 マルスの必殺魔法が炸裂する。


「こ、こいつの【魔弾】……なんて貫通力なの……っ!」


 対戦相手は防戦一方だ。


 現状、マルスはまだ学園の上位ランカーに比べれば未熟かもしれない。


 ただ俺との修行で身につけたオリジナル魔法の【螺旋魔弾】は攻撃力に一点突破した強力な術だ。


 これでゴリ押しすることで、総合力では勝る相手にも優位に試合を進めていた。


 ただし、守勢に回るとまずい。


「このおぉっ!」


「くっ……!」


 案の定、対戦相手の反撃を受け、マルスは大きく後退した。


「今度はあたしの番よ!」


 対戦相手が吠える。


 マルスは防御に回ると弱い。


 攻撃能力にかなり偏重したステータスをしているからな。


「だけど……大丈夫だ」


 俺はマルスを見つめる。


「『今の』お前なら――」


 ボウッ!


 マルスの全身から青い魔力のオーラが湧き上がった。


 その色が緑に変化する。


「えっ、何……!?」



 戸惑う対戦相手。


「お前は一戦一戦、進化しているんだ」


 俺は熱を込めてつぶやいた。


 さすがは主人公。


 確かに初期のステータスでは学園の生徒の中でもかなり弱い方だったけど、成長力が半端じゃない。


 これまでの学内トーナメントでの戦いの経験を通じ、マルスの能力は信じられないペースで成長を遂げていた。


「だから、今のお前なら――防御もある程度なんとかなるはずだ」

「【螺旋の盾】」


 マルスの前面にエネルギーの盾が出現する。


 名前の通り螺旋状に回転する円形の盾だ。


【魔弾】だけじゃなく【シールド】にも『螺旋回転』を応用したわけか。


 こういう応用能力は主人公ならでは、という感じだ。


「な、なんなの、その【シールド】は!?」


 対戦相手は驚きつつも雷撃魔法を放った。


 ばぢぃぃぃぃっ!


 おそらく上級の威力があるはずの雷撃が、マルスの盾によって簡単に弾かれる。


 螺旋回転が【シールド】の防御力を引き上げているのだ。


「これで攻防ともに僕が上回った。いける――!」


 マルスはふたたび攻撃に転じた。


 そして――。




「おめでとう、マルス。これで五回戦も突破だな」


 試合が終わり、俺はマルスの元に祝福に行った。


「ありがとう、レイヴンくん。君との特訓で身に付けた『螺旋』が今回も役に立ったよ」


 マルスが嬉しそうに笑った。


「このまま勝ち進んでいこう」

「ああ。僕は君と」


 マルスが俺を見つめた。


 まっすぐな目だ。


「決勝で戦いたい」

「マルス……!」


 俺は少し意外に思った。


 マルスはなんだかなんだで気が弱く、自信がないところがある。


 入学当初、自分が実力下位だという自覚があったからだろう。


 もちろん、その後の彼は成長を続けているわけだが――。


 そんなマルスが今、俺とまっすぐ向かい合っている。


 そして『戦いたい』という言葉をぶつけてきた。


「決勝で会おう。約束だ」


 俺たちは固い握手を交わした。




 そして、さらに時間が流れ――夏。


 七月の中旬、ずいぶんと暑くなってきた。


 この日、学内トーナメントの準決勝戦が行われる。


 組み合わせは俺と『魔王の化身』レスティア。


 そしてマルスと『学園の帝王』ブライだ。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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