表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/144

15 レイヴンの正体

「ふん、大した奴だ」


 レイヴンが俺を見て、小さく笑った。


「……お前のことを聞きたい」

「何?」


 俺はさっき思いついた『こいつの正体』について確かめることにした。


「お前は――『本来のレイヴン・ドラクセル』なんじゃないか?」


 俺はしばらく前に突然『前世』を思い出した。


 ただ、それ以前から俺は自分の意識を持っていたし、『前世の自分』に意識を乗っ取られたわけじゃない。


 自分の記憶の中に『前世の自分』の記憶が新たに現れた――と、考えていた。


 けれど、本当に『俺』は最初から俺だったんだろうか?


 もしかしたら、もともとは『レイヴン・ドラクセル』というゲームそのままの意識が存在し、そこに俺の意識なり魂なりが宿った――という可能性はないだろうか?


 そして今、俺は自分の精神世界で『レイヴン・ドラクセル』に出会った。


 だから、以前の疑問が解消された気がしたんだ。


『前世の記憶』がよみがえったあの日――『俺』は『レイヴン』を乗っ取ったんじゃないか、と。


「……だいたいは察しているようだな」


 レイヴンが言った。


「俺がお前を乗っ取った、ということか?」

「乗っ取るというのは少し違うな」


 レイヴンが笑った。


「もしかして罪悪感でも持っていたのか?」

「まあ、な」


 俺はうなずいた。


「けど、乗っ取りじゃないというなら――お前の正体はなんだ?」

「だから『レイヴン・ドラクセル』さ。お前の想像通り、な」


 レイヴンが笑う。


「ただ、お前の存在によって俺の意識が『レイヴン』の体から追いやられたわけじゃない。俺は――『神』によってこの体から追い出されたんだ。正確には『主導権』をお前に譲るよう命令された」

「神……?」

「便宜的に俺はそう呼んでいる。実際の正体は分からない。神か悪魔か、それとも別の何かなのか――」


 たずねる俺にレイヴンが言った。


「ただ、この世界には俺たちの考えが及びもつかないような『超存在』がいるようだ。そいつによって俺はこの体の『主導権』を失った。精神世界の片隅に宿り、お前が人生を謳歌するのを羨む毎日さ」

「レイヴン……」


 俺は彼を見つめた。


「その神はどうしてお前から『主導権』を奪ったんだ?」

「分からない。神の思し召しだろうさ」


 レイヴンが冗談めかして言った。


「だが忘れるな。お前が今、『レイヴン・ドラクセル』なのは間違いなく『神の意志』だってことをな。俺もお前も――神の操り人形に過ぎないのかもしれん」

「操り人形……」


 その言葉は、俺の胸に重く響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ