14 レイヴン同士の戦い、決着
【24.5.10追記】
レイヴンの使う魔法等、設定説明を一部修正しました。感想欄で指摘してくださった方、ありがとうございます<m(__)m>
「【ルーンブレード】!」
俺は魔力を剣の形にして生み出した。
両手にそれぞれ魔力剣を構え、二刀流で攻め込む。
「ちいっ、近接戦闘か……」
レイヴンが舌打ちをした。
先ほどまでは余裕の表情だったのに、口元からいきなり笑みが消える。
そう、こいつがゲーム通りのレイヴンなら弱点は二つある。
一つは努力をまったくしないこと。
才能だけで戦っているから、『日々、努力によって強くなる』ということがない。
いきなりの『覚醒』で強くなることはあっても、少しずつ力が上積みされていくことはない。
一方の俺は、その『少しずつの上積み』をずっと続けてきた。
しかも、レイヴンはもともと超天才である。
わずかな努力でも成果は大きい。
まして、それを一年間、必死で続けてきた俺は――。
「ゲームのお前より、今の俺ははるかに強い――」
そして、もう一つは戦闘経験。
俺は一年間の鍛錬で実戦形式の訓練も山のように積んできた。
もちろん、本物の実戦はまた別かもしれない。
それでも『戦闘の経験』は、いくらレイヴンが天才でも一人では絶対に積めないものだ。
経験ゼロに等しいレイヴンと、ほとんどが訓練とはいえ、戦闘を積み重ねてきた俺。
その差は歴然だ。
「はあああああっ……!」
二刀を続けざまに繰り出す。
「【シールド】!」
レイヴンが防御魔法を発動した。
構わず斬りつける。
一撃、二撃、三撃――。
ばきんっ!
六撃加えて、何とか破壊した。
「このっ……!」
レイヴンは後退し、距離を取ろうとする。
遠距離戦の間合いまで遠ざかろうというのだろう。
「けど、そうはさせない――!」
俺はさらに踏み込み、近接戦闘の間合いを維持した。
右の魔力剣を振り下ろす。
左の魔力剣を薙ぎ払う。
さらに右、左、右――。
連続攻撃だ。
「てめぇ……っ!」
レイヴンの表情に焦りの色が濃い。
「終わりだ!」
俺はなおも踏み込み、より強い一撃を繰り出し――、
ぴたりっ。
俺の左右の魔力剣がレイヴンの首筋と胸元に押し当てられた。
「……俺の負けだ」
レイヴンがうつむいた。
「ふうっ……」
俺は魔力剣を解除し、レイヴンとあらためて向き直った。
すると、
ごうっ……!
俺の全身から純白のオーラが立ち上る。
「これは――」
分かる。
理屈じゃなく本能で実感する。
俺の『精神力』が大きく上がったのを。
これでレイヴンとの戦いは――精神力を鍛えるための戦いは、いったん終わりだ。
けど、俺がこの世界でやるべきことはまだ残っている。
俺は……レイヴンの正体を確かめなければならない。
さっき思いついた『仮説』が正しいのかどうか。





