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11 さらなる力を得るために

「ふうん……」


 レスティアが興味深そうに俺を見つめている、


 奴には『洗脳』の能力がある。


 ゲームのシナリオ通り、俺を『洗脳』で操るつもりなら、おそらく抵抗できないだろう。


 けれど、奴だって俺に確実に『洗脳』が効くかどうかは分からないはず。


 そして『洗脳』に失敗すれば、俺は確実に奴の敵に回る。


『洗脳』を使うのは一種の賭けになる、と魔王は考えるだろう。


 それに加え、俺は奴に『同盟』の持ちかけまでした。


 なら、なおのこと俺と敵対するリスクは犯したくないはずだ。


 だから『洗脳』を簡単には使ってこない――。


「とりあえず様子見かな」


 長い沈黙の後、レスティアは言った。


「今すぐ結論を出さなきゃいけない問題でもないし。もともと魔王軍の侵攻は三年後の予定だしね」


 三年後――つまり俺たちが卒業する年だ。


 やはり、その辺りはゲームシナリオと合致するわけか。


「それでいいさ。すぐに答えを出す必要なんてない」


 これは――俺にとっても願ったり叶ったりの展開だ。


 奴にはできるだけ動かないでいてもらう。


 その間に俺はさらに修行を積み、必ず魔王を倒す力を手に入れる。


『洗脳』すら跳ねのけられる力を、必ず得てみせる。


「ま、今日のところはそれだけ。またね」


 レスティアが背を向けた。


 俺は最後まで緊張感を途切れさせず、奴の背中を見据える。


 この場は、とりあえずしのいだ。


 けれど、魔王の脅威は既に存在する。


 もっと――強くならないとな。




 当面の目標に、さらに一つ加わった。


 魔王とは当面の間、実質的に『同盟』の関係である。


 もちろん本気で奴と手を組むつもりなんてない。


 あくまでも時間稼ぎだ。


 その間に、俺は『洗脳』に対抗する手段を得なければならない。


「お帰りなさいませ、レイヴン様」


 自宅に戻るとキサラが出迎えてくれた。


 すでにメイド服に着替えており、狐耳とあいまって可愛さという名の破壊力がすさまじい。


 さっきまで悩んでいた気持ちが、フッと癒される。


「ただいま、キサラ」


 俺はにっこり笑った。


「……何かお悩みですか?」


 キサラが心配そうにたずねた。


「ん?」

「さっき深刻そうな顔をなさってましたよ?」


 キサラが俺をジッと見つめる。


 うーん……本当のことを全部話すわけにはいかない。


 俺が転生者ということもそうだが、レスティアが魔王である可能性が高い、という話も……知れば、巻きこまれる可能性が高くなる。


「いや、ちょっと……魔法の修行のことで考え事をしていたんだ」

「魔法の修行、ですか?」

「【精神支配】系統の魔法に立ち向かうにはどうすればいいかな、って」

「ああ、学内トーナメントの対策ですね。さすがレイヴン様。これほどの力をお持ちでも、なお微塵も油断なさらないなんて」


 お、うまい具合に誤解してくれた。


「キサラは何か知らないか? そういう練習方法」

「【精神支配】に対抗するには【精神防壁】を強力にすればいいと思いますが――」


 キサラはしばらく考えた後、そう言った。


「お屋敷にあったはずですよ。訓練道具」

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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