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4 四天王たち

「レイヴン様、一回戦突破おめでとうございます!」

「さすがに瞬殺だったわね。おめでとう、レイヴン」


 試合が終わるとキサラとマチルダが祝福に来てくれた。


「ありがとう。二人はどうだった?」

「あたしたちはシードよ」

「シード?」

「大半は2回戦からなのよ。組み合わせの関係で、ね。1回戦から出るのは抽選で当たった人だけ」

「そうなのか……」

「2回戦からは全生徒が登場するわよ。あたしもキサラもね」

「じゃあ、次は全員で勝ってお祝いしたいな」

「だね」

「です


 俺たちは微笑み合った。


「へえ、あなたがレイヴンくん?」

「あの帝王ブライを圧倒したって噂の……」

「強い魔力の気配……ただ物じゃないわね」


 三人の女子生徒が近づいてきた。


「君たちは――」


 全員初対面だけど、顔や名前は知っている。


 ゲーム内で登場するキャラばかりだからな。


 学内最強の四天王たち……学内ランキング2位の『雷光姫』アリサ・ディルブレイク、3位の『魔剣士』ファービィ・エッジ、4位の『白銀結界』ラーミア・シェル。


 アリサは金髪セミロング、ファービィは黒髪ポニテ、ラーミアが銀髪ショートヘアである。


 当然のように全員が美少女だった。


 ちなみにこの中で、俺はファービィはちょくちょく使っていた。


 魔法と剣の両方を扱える便利キャラなんだよなぁ……。


 ――などと懐かしい思いに浸っていると、


「言っておくけど、一年生が優勝できるほど学内トーナメントは甘くないわよ」

「優勝はあたしたち四天王の誰か」

「いいえ、この私が優勝をいただくわ」


 三人が口々に言った。


「今の組み合わせだと、あたしたち三人はいずれもレイヴンくん……君とトーナメントで当たるわね」

「まあ、君が勝ちあがってくれば、の話だけど」

「対戦するときは容赦しないから」


 ええと、つまり宣戦布告に来たってことか?


 ……あれ?


 ゲーム内だとこの三人と対戦するのは主人公のマルスだったはずだぞ?


 俺は驚いて懐からトーナメント表が書かれた紙を取り出した。


「なんだ、これ……?」


 俺が記憶している組み合わせと変わっている。


 というか、たぶん俺とマルスの位置が入れ替わっている。


 ゲームだと、主人公のマルスは激戦区のブロックに入り、四天王全員と対戦し、最後に決勝戦で俺と対戦する。


 けれど、俺の手元にあるトーナメント表では、俺が目の前の三人と対戦、マルスが対戦するのは四天王最強のブライだけだ。


「シナリオが変わってきている……のか?」


 それは、俺にとっていいことなのか、悪いことなのか――。


    ※


「はあ、はあ、はあ……」


 マルスは修練場で荒い息をついていた。


 いよいよ三日後に学内トーナメントの二回戦が始まる。


 大半の生徒にとっては、ここが初戦である。


 マルスもそうなのだが、一回戦の相手は学内ランキング上位の三年生だった。


「勝てるのか、僕は……」


 不安で、先ほどからやっている自主練習に身が入らない。


「僕は……レイヴンくんみたいな天才じゃない……」


 魔術師としては平凡な才能しかない。


 それでも強くなりたいという気持ちは持ち続けている。


 ただ――学内トーナメントで自分よりずっと才能のある魔術師たちと戦い、敗れ去り、自分の『才能のなさ』を突きつけられるかもしれない、と考えると気持ちが晴れなかった。


「あれ、マルスじゃないか?」


 と、誰かが近づいてきた。


 銀髪碧眼の美しい少年だ。


「レイヴンくん……!」


 マルスは驚いて彼を見つめた。


「どうしてここに……?」

「いや、俺も練習に来たんだよ」


 レイヴンが明るく笑う。


「マルスを見かけたから、ちょっと寄っただけだ。練習の邪魔して悪かったな」

「いや、ちょうど休憩中だったから……」


 言って、マルスはレイヴンを見つめた。


「あの――一つお願いしたいことがあるんだ」

「ん、なんだ?」

「僕に、稽古をつけてほしい」

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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