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2 学園の帝王と最強の悪役

「この俺が大したことがない、だと? 一年坊主が言ってくれるじゃねーか……!」


 ブライさんは怒り心頭といった様子だ。


「さっきから威圧的ですね、先輩」


 俺は彼の怒りを正面から受け止めた。


 正直、こういう偉そうな手合いは嫌いだ。


 というか、ヤンキーが嫌いだ。


 前世でこの手の連中に嫌な目に遭わされた経験もあるからな……。


「ああ?」


 また威圧された。


「ひいい……」


 キサラがおびえた声を出した。



「……友人が怖がっています。それくらいにしてもらえますか、先輩」


 俺は席を立ち上がった。


 キサラがこれ以上怖がらないよう、ここは穏便に追い返そう。


「あああ?」


 ますます怒らせてしまった。


 うーん……どうやって追い返すか。


 やっぱり、こういうタイプは実力を示して、力でねじ伏せるしかないのか。


「じゃあ、試してみますか? 俺の力」


 俺はブライさんに言った。


「なので、場所を変えましょう」

「……いい度胸じゃねーか」


 ブライさんがニヤリとした。


「勢い余ってケガじゃ済まないくらいに叩きのめしちまうかもな。恨むなよ、一年坊主。くくく……」


 暴力的な笑顔だった。


 どうやら遠慮なく叩きのめしてよさそうだ。




 俺はブライさんと一緒に闘技場までやって来た。


 マチルダやキサラも一緒だ。


 さらに野次馬として、数十人の生徒たちが付いて来た。


 ギャラリー多いなぁ……。


「じゃあ、まずはこの俺様の魔力を見せてやろう。軽く……な」


 ブライさんがニヤリと笑い、腰を落とした。


「かああああああああああああああ……!」


 気合いの声とともに、その全身を魔力のオーラが包みこむ。


「す、すごい……!」


 俺の背後でマチルダとキサラ、さらにギャラリーの生徒たちがいっせいにどよめく。


「くくく、俺の魔力は『1109』だ。ただ、もちろんフルパワーでは戦わんから安心しろ」


 自慢げに語るブライさん。


 ちなみに通常の魔術師の魔力が『300』ほど、優秀な魔術師が『500』ほど、そして『700』を超えると天才の部類と言われている。


 確か以前に測った数値ではマチルダが『620』でキサラは『570』だったそうだ。


 そして俺は――。


「少なくとも『35000』だったよな……」

「どうした? 怖気づいたか?」


 ブライさんがニヤニヤする。


「怖いか? だが、これが『帝王』の怖さだ。よく覚えておけ……この恐怖が、いずれお前を強くするんだ」

「はあ……」


 そう言われても、別に怖くないしなぁ……。


「では、とりあえず――軽くいくぞ!」


 ブライさんが魔力弾を放つ。


 ばちん。


 それなりに魔力がこもってそうな一撃は、しかし俺が無意識にまとう魔力のオーラに阻まれ、消滅した。


「あ、あれ……?」

「もっと本気で撃ってきてもいいですよ」

「貴様ぁ……」


 俺の言葉にブライさんが青筋を立てる。


「なら、今度は50パーセントの力でいく! 食らえ、【爆裂魔弾】!」


 ごうっ!


 直径五メートルくらいの巨大なエネルギー弾が放たれた。


 なるほど、さっきの数倍の魔力がこもってそうだ。


 ばちん。


 で、これも俺の無意識オーラに阻まれ、消滅。


「な、な、なんで……なんでやねん……?」


 ブライさんは呆然としていた。


 こいつの威圧的な態度を見て、叩きのめそうと思っていたけど、実力差がありすぎて、そこまでやるのも良くない気がしてきたな。


 ……よし、さっさと戦意喪失させて終わりにしよう。


 それ以上は弱い者いじめになっちゃうし。


「俺の魔力も見せておきますね」


 魔力を、練り上げる。


「はあああっ……!」


 そして――解放する。


 ボウッ!


 俺の全身が黄金の魔力のオーラに包まれた。


「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁっ……!?」


 ブライさんが叫んだ。


 魔力値35000を超える、俺の本気の魔力――。


 ブライさんと比べても30倍以上はあるはずだ。


「くっ……ううううう……」


 ブライさんの顔から血の気が引いていく。


 狙い通り、戦意喪失させられたようだ。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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