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「いや、緊張してないわけじゃないけど……まあ、同行するメンバーが強いし、お前だっているだろ」


 俺はにっこり笑って答えた。


 実際のところ、緊張よりも任務への集中力が高まっている状態だった。


 それに、エイルやジャネットという魔法師団でも屈指の実力者が一緒だ。


 模擬戦と任務はまた勝手が違うと思うから、二人が一緒にいてくれるのは心強い。


 もちろん、マルスのことも頼りにしている。


「僕は、以前よりも精神的に強くなったつもりだけど、やっぱり事あるごとに心が揺らいじゃうな。正直、ちょっと怖いよ」


 マルスが苦笑した。


「……いいんじゃないか。お前は、それで」


 俺は少しだけ考え、答えた。


 冗談めかした軽口で、マルスの緊張をほぐすという選択肢もあるけど、ここは真面目に俺が思うことを伝えようと考えたのだ。


「今までだって、マルスは自信がなかったり、心が折れそうな局面にぶつかってきただろ。でも、最後には乗り越えてきたじゃないか。立ち向かって、もがいて、悩んで――そこから答えを見出して進むことができるのが、お前の強さだ」


「僕の、強さ――」


「強さの形は人それぞれさ。お前からは俺が強い人間に見えるかもしれないけど、俺からはお前こそが強い人間に見えている」


 言って、俺は笑った。


「だから、頼りにしてるぜ、相棒」

「っ……!」


 マルスは照れたような顔をした。

 と、


「本当に仲いいね、君たち」


 ジャネットがからかってくる。


「はは、友だちだからな」


 俺はにっこりとした顔で答える。


「友情は素晴らしいが、任務では気を抜くなよ」


 エイルが俺とマルスを見て、軽くにらむ。


「特にレイヴン、君は俺やジャネットより確実に強い。模擬戦においては、な。そこは認める」


 と、真剣な表情で続けるエイル。


「だが任務は――実戦は模擬戦とは違う。俺やジャネットの指示に従ってもらう局面も出てくる。実力で劣る俺たちに従えるか?」

「少なくとも実戦経験なら、エイルやジャネットの方が上だろ。なら、その経験には素直に敬意を払うし、命令にも従う」


 俺はエイルを見つめ返した。


「二人の仕事ぶりから、俺も学ばせてもらう。もっと強くなるためにね」


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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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