26 新たな任務へ
「君たちに、特殊任務を言い渡す」
クーデリアのその言葉に、俺たちは息をのんだ。
「特殊任務……実戦ですね」
エイルが言った。
「ああ」
うなずくクーデリア。
「数時間前から、王国東部辺境の森にて原因不明の魔力反応が複数確認されている。その調査に向かってもらいたい」
「原因不明の魔力反応?」
「魔族か、それに類する存在の可能性が高い。そうなれば、当然実戦も想定した任務となる」
たずねるジャネットにクーデリアが答える。
俺はそれを聞いて、思い出したことが一つあった。
『エルシド』のゲーム本編で似たようなイベントがあったな。
確か、森の奥に潜む強力な魔獣が原因だったか。
そいつは魔界と人間界の両方に『半分ずつ』存在していて、二つの世界の境界を揺らがせていた。
そいつが存在し続けることで、人間界と魔界はつながっていく。
一刻も早く始末しなければ、やがて魔界は人間界まで直通で行き来できるようになる。
そうなれば――世界中のあらゆる箇所で同時侵攻が可能になるだろう。
世界の、終わりだ。
「了解です、クーデリア団長」
俺は彼女に言った。
「さっそく行こう」
「……おい、何焦ってるんだ?」
「さすがに準備が必要でしょ。そう、せかさないでよ」
エイルとジャネットが俺をたしなめた。
「……ああ、分かってる」
俺はすぐにうなずいた。
出現する可能性のあるモンスターや、イベントの推移などを頭の中で整理する。
うん、大丈夫。
このメンバーなら問題なく対処できるだろう。
後は、時間との戦いだけど……一刻一秒を争うほどのレベルじゃない。
数日で駆け付け、すぐに撃破する。
これで十分のはずだ――。
「すごいな、レイヴンくんは……全然緊張してないみたいだ」
マルスが俺に言った。
「僕なんて初の任務だって思うと、緊張してきたよ……」
【書籍版のお知らせ】
書籍版2巻、発売中です! こちらは完全書き下ろしになります。
広告下の画像クリックから通販の一覧ページに飛べますので、ぜひ!
※補足
『どこまで続刊できるのか』については売り上げによるところもあり、最悪2巻打ち切りもありえます。なので、この作品に関しては2巻が最終巻になっても大丈夫なように、綺麗に区切りをつけました。
『打ち切られた場合、作品が中途半端なところで終わってしまう』という形にはならないので、そこは安心してお求めいただければと思います。
(3巻以降も続くようであれば、その展開も考えてあります)





