24 ある日の模擬戦風景1
魔法師団での訓練が本格化する中、俺は誰が相手でも圧倒できるようになっていった。
模擬戦では俺の魔法の威力に、魔法師団のメンバーたちはいずれも目を見張っているのが分かる。
もう、正面からの戦いでは誰も俺に勝てないだろう。
そんな状態だ。
ある日の模擬戦ではこんなことがあった。
「くっ、なんて威力だ――」
序列一桁の男性メンバーと戦っていたんだけど、開始数秒で俺が放った魔法を受け止めきれず、そのまま瞬殺同然の敗北。
「駄目だ、強すぎる……」
と、悔しそうにうめいた。
「……悪いね、俺なんかじゃ君の相手にならないだろ」
彼は申し訳なさそうな顔で俺に頭を下げた。
俺との実力差を痛感したのかもしれない。
けれど、俺はむしろ戦えたことを感謝していた。
「いえ、俺が知らない戦術をいくつも使ってましたし、勉強になりました。俺も、もっと戦い方の引き出しを増やしたいので」
俺はここに来てから、さまざまなタイプの戦い方をする魔法師団のメンバーたちと戦うことで多くを学んでいた。
彼らとの模擬戦は、俺に不足していた『実戦経験』を補い、『実戦での立ち回り』をさらに磨く絶好の機会となった。
多種多様な戦術に触れることで、俺の戦闘スタイルもより洗練されていくのを感じる。
「よかったら、また戦ってください」
俺がそう言うと、彼は少し驚いたような顔をしたが、やがて安堵したように微笑んだ。
「謙虚だなぁ」
近くで聞いていた別のメンバーが感心したように言った。
「そうそう、レイヴンくんってそんなに強いのにちっとも偉ぶらないよね」
さらに別の女性メンバーも、俺の態度に好感を持ったようだ。
「いや、はは……」
俺は照れてしまった。
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