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19 決着と自信

「お、おのれぇっ! 【(くろ)終焉(しゅうえん)】!」


 ディフォールが絶叫と共に漆黒の光球を放った。


 ずおおおおおお……っ!


 空間そのものをぐにゃりと歪ませながら巨大な黒球がマルスへと迫る。


「これは――」


 マルスは息を飲んだ。


 肌を刺すようなプレッシャー。


 尋常ではない魔力の奔流。


(……おそらく人間が扱える魔法じゃない)


 内心でつぶやく。


 魔族級の――いや、もしかしたら魔王級の魔法!?


 直撃すれば、ひとたまりもないだろう。


「それでも僕なら――いや、僕と()なら!」


 マルスは右手に握る黄金の剣を強く握りしめ、高々と掲げた。


 自らの相棒と信じる剣。


 彼女の力が宿る剣に呼びかける。


「力を……貸してくれっ!」


 マルスの意志に応えるように、剣の輝きが一層増した。


 黄金の光が周囲を照らし出す。


 ディフォールが放った黒い光球が、マルスの眼前に迫る。


 だが――。


 ぱしゅんっ!


 マルスの剣から放たれた黄金の光が、漆黒の光球を一瞬で消し去った。


「馬鹿な!? 我が魔王級魔法が――」


 ディフォールが信じられないといった表情で目を見開く。


 その隙マルスは見逃さない。


「これで――」


 黄金の剣を構え、反撃に出る。


「終わりだ!」


 放たれた斬撃が閃光のように走った。


 ざんっ!


 ディフォールの右腕が肩口から切断される。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 凄まじい苦鳴を上げながらディフォールが後退した。


「貴様ごときが……私を……うぐぐぐ……」


 切断された腕の断面を押さえ、マルスをにらむ。


「ゆ、許さんぞ、いずれ……必ずお前を……!」


 恨みの言葉を吐き捨てると、ディフォールは素早く踵を返し、走り去っていった。


「…………」


 後に残されたマルスは、呆然と立ち尽くしていた。


 激しい戦闘の余韻が、まだ体に痺れのように残っている。


「勝った……僕が、高位魔族に――」


 それも――あのレイヴンの力を借りずに。


 学園の仲間たちの力も借りずに。


 マルス一人の力で、強大な魔族に勝利したのだ。


「いや、僕一人じゃない。君が一緒だ」


 マルスは手にした黄金の剣を見つめた。


 その輝く刀身に可憐な少女の笑顔が一瞬映り、そしてすぐに消えた。


「ありがとう、セレン。君のおかげで、僕は――」


 ――やっと一歩を踏み出せそうだよ。


 マルスは内心で彼女への感謝を捧げた。


 その胸には、確かな自信が芽生え始めていた。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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