表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/144

10 二度目の選択

 マルスは一人、帰路についていた。


 レイヴンが一緒に帰ろうと誘ってくれたが、断って一人で宿までの道を歩いている。


 ちなみに学園は当面の間、休学扱いになり、明日からは本格的に魔法師団の訓練に参加する。


 住居に関しては魔法師団の訓練場にほど近い宿が用意された。


 レイヴンやブライも同じ宿である。


「はあ……やっていけるのかな、僕……」


 暗い気持ちでため息しか出ない。


「なんだ? 随分と落ち込んでいるようだな、我が友よ」


 前方から一人の少年が歩いてきた。


 金髪碧眼の、絶世の美少年といっていいほどの美貌。


「君は――」


 マルスはハッと身構える。


「ディフォール……!」


 以前彼に接触してきた高位魔族だ。


「覚えていてくれたとは嬉しいよ」


 彼が微笑む。


「以前にも一度誘ったな。私とお前は手を組むべきだ、と。そうすれば、お前は最強になれる」

「…………」

「あのレイヴン・ドラクセルをも超える最強の魔術師に、な」

「どうして魔族が僕と仲良くしたいんだ?」


 マルスはディフォールをにらんだ。


「私は人間との争いを望んでいない。だが、魔族の中には人間と戦おうとする者も少なからずいる。だから彼らを封じるために力を求めている」


 ディフォールが言った。


「私一人では足りないんだ。それに魔族同士の争いより、魔族と人間が手を組み、強硬派の魔族を抑え込んだ方がいい。そうなれば魔族と人間の間の絆も深まるだろう」

「僕に、その橋渡しをしろ……と?」

「ご名答だ。そして、それができるのは真に強き者だけ。すなわち――お前だ、マルス・ボードウィン」

「僕なんかよりレイヴンくんの方が――」

「素質だけなら、お前はレイヴンを凌ぐ」


 ディフォールが手を差し出した。


「さあ、私の陣営に来い。こんな場所で才能を腐らせることはない。私ならお前が真の強さを手に入れる手助けができる」

「僕の、強さ……」

「私と来い、マルス」


 ディフォールがさらに身を乗り出す。


 マルスはゴクリと喉を鳴らした。


 以前に誘われたとき、きっぱりと拒絶した。


 けれど、今は――。


 レイヴンへの劣等感は相変わらず消えず、今日の出来事でさらにそれは大きくなった。


 そんな劣等感を覆すためには、ディフォールの手を取るべきなんだろうか?


 マルスは逡巡しながら、ゆっくりと手を伸ばす――。

【書籍版のお知らせ】

書籍版2巻が6/30発売です! こちらは完全書き下ろしになります。

広告下の画像クリックから通販の一覧ページに飛べますので、ぜひ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ