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8 それぞれの戦い

「おおおおおっ、【爆裂魔弾(ばくれつまだん)】!」


 ブライの放った巨大な火球が、対戦相手を大きく押し込む。


「ちいっ……【アイスシールド】!」


 が、対戦相手もさすがに精鋭中の精鋭だ。


 氷の壁でその火球を凍り付かせ、さらに反撃の魔弾を繰り出し、ブライを吹き飛ばした。


「ぐあっ……はあ、はあ、はあ……」

「そこまで! 勝者バラッド!」


 審判役を務めていたクーデリアが試合終了を告げる。


「くそ……この俺が……」


 敗れたブライは悔しげだ。


「はは、学生が俺たちに勝とうなんて十年早いぜ」


 対戦相手のニヒルな雰囲気の青年――バラッドが笑う。


 それから倒れたブライに手を差し出し、


「が、その年でそれだけ戦えるのは大したもんだ。学生のころの俺より数段上だろうな」

「……ふん」

「期待してるぜ、ルーキー」

「……どうも」


 ブライは仏頂面のまま、その手をつかんだ。


 さすがに帝王ブライといえど、相手が悪かったんだろう。


 ただ、存在感は示していた。


 一方で――、




「うああああっ……」


 マルスは全く手も足も出ず、対戦相手に吹き飛ばされていた。


「そこまで! 勝者ダニエラ!」


 審判のクーデリアが宣言する。


「うーん……いくら学生だからってさ、手応えなさすぎかなー」


 対戦相手の若い女――おそらく俺たちと一つか二つしか違わないだろう――がため息をついた。


「レイヴンくんは即戦力だし、ブライくんもかなりやるみたいだけど、君はちょっと……ねえ、団長。彼だけちょっとレベル落ちますよね」


 容赦のない品評だった。


 けれど、別にマルスを馬鹿にした調子はまったくない。


 実力第一主義の精鋭集団にとって、これが当たり前の空気感なんだろう。


「くっ……」


 マルスは顔をしかめながら起き上がる。


「大丈夫か、マルス」


 俺は慌てて歩み寄った。


 ちょっと痛そうにしていたからだ。


「……平気だよ。みっともないところを見せたね」


 マルスは暗い顔でうつむいた。


「僕は……ここでやっていけるのかな」


 弱気な台詞だった。



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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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