7 コンボ魔法対策
コンボ魔法。
それは、複数の魔法を特定の組み合わせで発動することで、より効果の高い【コンボ技】として発動するというものだ。
ゲーム内でもいくつか登場する術式である。
ただ、エイルが今言った魔法の組み合わせは初めて聞くものだった。
俺が知らないコンボ魔法が――ゲームには登場しないコンボ魔法が存在する、ということか。
今のエイルの動きは、やっぱり瞬間移動じゃなく、俺の認識を乱し、接近を気づかせないようにしたってだけだ。
「さあ、接近戦の時間だ――」
エイルが俺の目の前に立った。
「【ルーンブレード】!」
そして魔力の剣を生み出し、斬りかかってくる。
「【ルーンブレード】!」
俺も魔力剣を生み出して、それを受けた。
ぎいいんっ。
腹の底まで響くような衝撃。
「ほう? 意外に剣も使えるんだな」
「魔法だけじゃなく剣も鍛えてるんだ。こういうときのためにね」
俺は反撃の魔力剣を繰り出す。
それを簡単に防ぎ、後退するエイル。
「これなら――!」
右手に続き、左手にも魔力剣を生み出すと、俺は二刀流で攻めた。
「くっ……!」
後退するエイル。
「魔力消費量が激しい【ルーンブレード】を二本同時に……!」
「二本? 違うな――」
俺の頭上に、さらに五本の魔力剣が出現した。
「射出」
全部で七本の【ルーンブレード】。
そのうちの二本は俺が両手に握った接近戦用で、後の五本はこうやって矢のように撃ち出す『射出用』だ。
「ちいっ……」
それらをかろうじて避け、あるいは防ぐエイルだが――、
「隙あり」
その間に接近した俺が、二本の魔力剣を彼の前に突きつけていた。
「――参った」
エイルが悔しげにうなる。
「大したものだ、レイヴン。それにエイルも敗れたとはいえ、状況判断の正確さと接近戦へ移行するスキルはさすがだった」
と、クーデリアが満足げに微笑む。
実際、勝負は俺が勝ったけど、さすがに魔法師団はレベルが高い。
味方として戦ってくれるなら、十分に心強い存在だった。
少なくともシナリオのように魔法師団が全滅するルートは絶対に避けたいところだ。
彼らが生き残れば、魔王軍との戦いでも強力な味方になってくれる――。
エイルはもちろん、ジャネットだって十分に猛者だ。
彼らとの模擬戦を通じて、それをあらためて実感していた。